半島を出よ (上)
村上 龍

勝手に採点 ☆☆☆☆ o(^-^)o


北朝鮮からテポドンが発射された今、まさにタイムリーな題材。

ここで描かれている設定もあながち的外れではないかも。


設定は近未来。経済破綻をきたし、国力が衰え、失業者の増加、

治安の悪化、核武装を主張するなど近隣諸国からも疎まれる

存在と成り果てた日本。


そこへ北朝鮮の反乱兵数百名が福岡へ侵攻し、駐留・統治を開始。

あわてた政府は九州地方を封鎖し、アメリカや国連に協力を求める

が、正規軍ではない相手のため、効果的な対応策が見出せない。


すると駐留軍は、後続12万人の軍隊の侵攻を発表。

混迷する事態を打開できるは一体誰か。


主人公を中心に進行するストーリーではなく、場面場面で登場人物

が切り変わっていくため、長編にもかかわらず読みやすい。


麻生幾や福井晴敏ばりのコテコテ軍事モノかと思うとそうでもなく、

より人間性にフォーカスした内容に仕上がっている。


結局、日本を救う役割を担うのが、社会から不適格の烙印を押された

若者たちというのも、なんとも皮肉な結末。


今まで集団行動や協調性からは全く正反対にいた彼らが、突然、北

朝鮮兵士をしのぐ完璧な役割分担、一糸乱れぬチームワークを見せ

るところはご愛嬌か。


実際、こうも堂々と自国へ侵攻されたらたまったものではないが、

アメリカのイラク、旧ソ連のアフガニスタン、イラクのクウェート、

そして日本の満州など、こういった例は後を絶たない。


それにしても、現在の北朝鮮の常軌を逸した行動にはあきれて空い

た口がふさがらない。本編でも登場する対米強硬派が政府内部で

力を保持している証拠か。