高村 薫
リヴェエラを撃て〈下〉

勝手に採点 ☆☆☆☆


東京で身元不明の若い外国人の男女が殺害された。

元IRAのテロリストだったジャックモーガンと恋人のリーアン。


なぜ彼らは異国の地日本にやって来たのか。

彼が追っていた白髪の東洋人「リヴィエラ」の正体とは?


英国警視庁、MI5、MI6、CIA、中国公安当局、警察庁らが入り

乱れて繰り広げられるスパイミステリーの決定版。


先日、上海の日本人外交官のニュースがあったが、諜報活動

の実態はシビアで生々しい。


国益という名の下に買収、恐喝、殺人、拷問などが日常的に

展開される世界。


本編でも壮絶ともいえる「リヴィエラ」をめぐる戦いが緻密な文章

構成と英国、日本を舞台にしたスケールの大きい背景で描かれ

ている。


下火になったとはいえ、IRAのテロ活動は記憶に生々しく、彼らの

過酷な生活ぶりが明らかになるにつれ、その苦悩・悲哀が伝わる。


ジャックモーガンという一人の若者の命をつなぎ止めるため、何人

もの尊い命を犠牲にした死のリレーはどこか物悲しい。


最後に守られた彼の息子だけが唯一の希望か。


戦争放棄、基本的人権の尊重など平和的思想も大切だが、国を

守るための隠れた努力、決して公にできない活動を蔑ろにしては

国の繁栄と未来はない。