桐野 夏生
残虐記

勝手に採点 ☆☆☆


小学生時代に誘拐され、1年以上の監禁生活を

送った女性小説家小海鳴海。


35歳になった彼女の元にある一通の手紙がりつけられる。


それは長い獄中生活を経て出所した犯人からだった。


OUTやグロテスクなどにも共通する、女性の心理描写、特

に特異な性的嗜好から生まれる複雑な精神世界はユニーク。


特殊な環境下で精神的に結ばれた若者と女子小学生の間に

生まれた葛藤と苦悩。


決して常人には理解できない世界に圧倒される。


当時、検察官として事件に携わった関係者が後に彼女の夫と

なる奇妙なめぐり合わせや若者と生活を共にしていた聾唖者

の存在も物語の陰鬱さを一層引き立てる。


しかし、一体失踪の理由は何なのか。事件の真相は何だったのか。

それが明かされない分、消化不良感が残る。