松岡 圭祐
ミッキーマウスの憂鬱

勝手に採点 ☆☆☆☆


東京ディズニーランドに準社員として派遣された後藤は、

夢と希望に燃えていた。


「ビソーブ」という聞きなれない部署に配属されるが、やる気が

空回りして、周りから浮いた存在に。


そんなとき、ミッキーが誘拐される!?大事件が勃発する。


やっぱり読まない方が良かったかな。というのが第一印象。

夢は夢のまま現実を知らない方が幸せで楽しめる。


それでも、その現実は一読に値する。


夢と魔法の王国を支える人々の複雑な人間関係やアトラクション

運営の困難さ、会社組織での階級意識など赤裸々に描かれている。


なかでも滑稽なほどに思えてしまうのが「ミッキーマウス」。


ランドでは、れっきとした生き物であるスターとして華やかに扱われる

反面、それを演じる演技者、共演者の間には葛藤や反目も存在する。


かなりシリアスな現実を描き、なるほどと思わせる前半部分に比べ、

後半のミッキー捜索劇は安っぽいドラマ仕立てに。


特に調査部と称する連中を悪玉に仕立て、会社幹部まで巻き込んだ

ラストは、「水戸黄門」か!と突っ込みたくなる。


新米キャスト後藤の成長を人間関係やアトラクション運営と密接に絡

め、落ち着いたストーリーに仕立てた方が、前半部分のリアルさが生

かされるはず。


それでも、ディズニーランドで働くキャストの苦労と彼らの笑顔を作り出

すために転嫁された入場料、商品の価格の高さもなんだか納得。