著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: オーデュボンの祈り

勝手に採点 ☆☆☆☆

コンビニ強盗を働き、警察に捕まった主人公。
護送途中に逃げ出し、「荻島」という隔絶された孤島に逃れる。

何かが足りない、どこか普通と違う島。

そこには、未来を予見し喋るカカシが主人公を待ち受ける。
しかし、すぐにそのカカシがバラバラにされているのが発見され・・・。

全く不思議で独創的な設定。優れた作家には独特の世界観があるが、
この若さですでにそれを作り上げてしまっている凄さ。

仙台という地方都市を舞台とし、個性的な家族に囲まれた主人公と
死やレイプが密接にまとわりついてくるストーリー展開は、「重力
ピエロ」に共通した部分も多い。

サイドストーリーとして展開する元彼女を襲う悪徳警察官の魔の手。

圧倒的な残虐さを秘めたこの幼なじみが醸し出す不気味な雰囲気が
全体を陰鬱にそして緊張感を高める役割を果たす。

ここまでファンタジックミステリー的要素が強いと何故彼が逮捕される
ことなく悪行を続けられるのかといった疑問を差し挟む余裕もない。

終盤に向かって急激に高まっていく緊張感が心地良い。
極悪人の終末に相応しい最期は、あっけなくも胸がすく思い。

そしてカカシの想いがつまったラストは清々しい。
ぜひサックスの音色を聞かせてあげたいものである。

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