
著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: アヒルと鴨のコインロッカー
勝手に採点 ☆☆☆☆
大学に入学した主人公が、知り合ったばかりの隣人に誘われ書店強盗
の片棒を担ぐ羽目に。盗みの目的は「広辞苑」
二枚目の隣人は一体何を考えてるのか?書店を襲う真の理由とは?
「現在の僕」と「二年前の私」の話が時間を超えてシンクロで進行する
構成に戸惑いつつも、小気味よいテンポで進むストーリー展開。
「何で?何で?知りたい!」が先行してドンドン進みたくなる。
前半部分では、「二年前の私」に何が起こったのか、スーダン人の留学
生が引きこもった理由、隣人の病状など、漠然とした不安感が漂う。
身内にこれから不幸が訪れるような、何とも落ち着かない気分に陥りな
がらも、想像を超えるどんでん返しに後半は良い意味で期待を裏切り続
けられる結果に。
よくよく考えると、知らないうちに事件に巻き込まれ、その謎解きを始
めるあたりは、「重力ピエロ」に似た構成だが、そんな臭いを感じさせ
ない力量に才能の片鱗が垣間見られる。
ペット店主の容姿や性格にいまひとつ違和感を感じるし、琴美とドルジ、
主人公と家庭の関係も釈然としない。あまりにサラッとし過ぎの感。
しかし、それを補って余りあるラストには清々しい気分とやっぱり・・・
と寂しい気分が交錯し、この後どうなるの?という程良い余韻も感じ
させてくれる。
物語のすべてが凝縮されているような題名、神様に例えたボブ・ディラン
の使い方など相変わらずの卓抜したセンスに魅せられる優れた作品。
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