
著者: 京極 夏彦
タイトル: 魍魎の匣―文庫版
勝手に採点 ☆☆☆
人気の京極堂シリーズ第二弾!
魍魎に魅入られた空間恐怖症の犯人が引き起こす惨劇。
匣を祀る奇怪な宗教団体、連続少女バラバラ殺人事件、
天才科学者美馬坂幸四郎の正体とは?
鍵を握る元女優に淡い恋心を抱く刑事木場。ご存じ探偵
榎木津、作家関口も大活躍。
京極堂は難敵相手に憑物を落とせるのか!?
最近のものは、キャラクターの性格が定着し、研ぎ澄まさ
れ、単独行動が多くなってきてるだけに、主人公達が結末
以外でも結構絡んでいるので掛け合いが楽しめる。
設定としては若干「絡新婦の理」に似たところもあって、
それほど新鮮味は感じなかった。
また、研究所や研究内容が非現実的過ぎてあまり馴染め
ないこと、患者が消えるトリックが陳腐なこと、美馬坂と
陽子の関係が短絡的すぎということで満足度はいま一歩。
ただ、隙間を埋めずにいられない衝動はかなり奇抜。
箱にしまって大事に取っておきたいということはあるけど。
場面場面で織り込まれるこの妄想に取りつかれた人間の独白
がこの物語を一層幻想的に仕上げていて効果的。
それと宗教はそれが布教のため組織化されることで、本来の
宗旨を失って、法人化、営利化していくものだなと感じざる
を得ない。
「犯罪は、社会的条件と環境条件と、そして通り物みたいな
狂おしい瞬間の心の振幅で成立するんだよ。」
という京極堂の言葉が含蓄深い。