マクマリーのメモランダム | 忘れないようにメモメモ(日本の歴史、近代史)

マクマリーのメモランダム

「大東亜戦争は、アメリカが悪い」鈴木敏明 から

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マクマリーのメモランダム


 マクマリーによれば、ワシントン会議後の体制である国際協調体制精神が完全に崩壊してしまったのは、満州事変でした。しかし満州事変という日本の武力行使を招いたのは、中国がワシントン会議における諸条約を無視した政策をとり、アメリカは中国を諌めるどころか迎合してしまったためだと主張しているのです。このマクマリーの見解は、戦前のアメリカが親中反日であったために、まったく例外的でした。当時のアメリカ人の大部分が、日本が中国を痛めつける悪役と信じていたからです。しかしマクマリーの見解が例外的でもまったく無視できず、それどころか見直さなければいけないのは、彼の先見性です。

 マクマリーは、アメリカが中国ばかりに肩入れして、日本の言い分を無視し続けるならば、日米戦争がおきてしまうと1935年の時点で警告しているのです。事実六年後に大東亜戦争がおきました。このマクマリーの見解も、アメリカでは無視され、1935年の時点では、日米戦争など起こるはずがないというのが一般的でした。さらにマクマリーメモランダムで驚くのは、日米戦後も的確に予言していることです。

 「日本の徹底的敗北は、極東にも世界にも何の恩恵にもならないであろう。それは単に、一連の緊張を生むだけであり、ロシア帝国の後継者たるソ連が、日本に代わって極東支配のための敵対者として現れることを促すに過ぎないだろう」(平和はいかに失われたかP189)

 (~中略~)「日本に対する米国の勝利は、極東での障害要素であった日本が排除されて、リベラルな路線での米中間の緊密なる理解と協力に役立つ機会が大いにひらけていくと予測する平和主義者や理想主義者がいるかもしれない。しかしそれは思い違いである(略)もし米国が日本の支配から中国を「救い出し」、中国人民の目から見て「ナンバー・ワンの国」となれば、それが中国人民にとってもっとも好ましい国になったというのではなく、逆に彼らが最も信頼しない国になったということである。(略)中国が、日本の拘束から開放されることについて米国に恩義を感じるとは考えられない。中国人は、我々には何も感謝しないだろうし、我々の意図が利己的でないと信じないだろう。そして、我々が果たす責任については、きっちりと我々に迫ってくるに違いない。よく見ても、日本との戦争は何の利益も得られないし、どうころんでも、巨大な犠牲と危険を必ず伴う。したがってこのような戦争の回避自体が、我々の最も重要な目標であることを認識しなければならない」(平和はいかに失われたかP191)

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マクマリーメモランダム

(1935年昭和十年 原題The 1935 Memorandum 1992年米国海軍大学教授アーサー・ウォルドロン氏が解説本「How The Peace Was Lost」を著す。日本語訳「平和はいかに失われたか」もあり)



こういう意見もあったということで。ラルフ・タウンゼントも近い立場です。しかしこの本(大東亜戦争は、アメリカが悪い)分厚すぎ。700ページぐらいある。もう記憶が薄れつつあります。

やはり民族には、各民族の性格というものがそれぞれあるんだろうと思いますな。中国、アメリカどちらも強欲さでは引けをとらない。アメリカなんかフィリピンまでとっておきながらモンロー主義だとか、奴隷解放宣言はいいけどそのあと排日移民法だとか。さすがです。面の皮の厚さが違う。日本も見習わないと。