14族元素に関する正誤問題
今日は,14族元素に関する正誤問題です。
周期表の14族に属する元素には,炭素C,ケイ素Si,ゲルマニウムGe,スズSn,鉛Pbがあります。これらはすべて典型元素ですがC,Siは非金属元素,Ge,Sn,Pbは金属元素に分類されます。
CとSiは,4個の価電子を持ち,イオンにはならずに他の原子とは共有結合によって化合物を作ります。
★★★14族元素を学習する上でのポイント★★★
① 炭素の同素体(特にダイヤモンドと黒鉛)の構造と性質に関する問題は頻出なので2つを比較しておさえる。
② ダイヤモンドとケイ素,一酸化炭素と二酸化炭素,二酸化炭素と二酸化ケイ素 の共通点・相違点をそれぞれ比較しておさえる。
③ 「二酸化ケイ素」→「ケイ酸ナトリウム」→「水ガラス」 →「ケイ酸」→ 「シリカゲル」の反応の流れをおさえる。
ここで,結晶の見分け方について解説します。
結晶とは物質を構成する粒子(原子・分子・イオン)が規則正しく配列した固体のことで,結晶には金属結晶,イオン結晶,分子結晶,共有結合の結晶の4種類があります。
結晶の見分け方は,結晶を構成する原子の組み合わせによって次のように判断します。

「分子を形成するかしないか」つまり「分子結晶か共有結合結晶か」の判断は,ダイヤモンドC,ケイ素Si,二酸化ケイ素SiO2,炭化ケイ素SiCの4つ以外は「分子を形成する」つまり『分子結晶』!と覚えるといいでしょう。
☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。
■Q1
天然の炭素原子には,質量数が12,13,14の3種類が存在し,このような原子を互いに同素体という。○or×
■Q2
ダイヤモンドと黒鉛は,いずれも共有結合の結晶で融点が非常に高く,電気伝導性がある。○or×
■Q3
フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素は,いずれも炭素の同素体である。○or×
■Q4
ケイ素は岩石や鉱物の成分として地殻中に酸素,アルミニウムに次いで多量に存在する。○or×
■Q5
単体のケイ素は,二酸化ケイ素を電気炉で融解し,コークスを用いて還元することによって得られる。○or×
■Q6
ケイ素はダイヤモンドと同じ構造をもち,硬くて融点が高い。○or×
■Q7
一酸化炭素は,加熱したコークスに酸素を反応させると得られる。○or×
■Q8
二酸化炭素は,石灰石や大理石に希塩酸を加えたり,強熱することで得られる。○or×
■Q9
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも水に溶け弱酸性を示す。○or×
■Q10
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも無色,無臭であるが,一酸化炭素は有毒で,二酸化炭素は無毒である。○or×
■Q11
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも還元性をもつ。○or×
■Q12
液体の二酸化炭素は,ドライアイスとよばれている。○or×
■Q13
一酸化炭素を空気中で点火すると,青色の炎をあげて燃焼し二酸化炭素になる。○or×
■Q14
石灰水に二酸化炭素を通じると白く濁る。○or×
■Q15
二酸化ケイ素は,ダイヤモンドと同じ正四面体の構造をもつ。 ○or×
■Q16
二酸化ケイ素は,塩酸などの強酸に溶けてヘキサフルオロケイ酸となる。○or×
■Q17
二酸化ケイ素は,酸性酸化物で水とも塩基とも反応して塩を生成する。○or×
■Q18
ケイ酸ナトリウムに水を加えて,加熱して溶かしたものを水ガラスという。○or×
■Q19
水ガラスに塩酸を加えると,白色ゲル状のケイ酸が得られる。○or×
■Q20
ケイ酸を加熱脱水して固体にしたものをシリカという。○or×
■Q21
石英ガラスは,ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られる。○or×
☆以下は解答と解説です。
□A1→ ○
☆解説
同素体ではなく同位体です。同位体とは,原子番号が同じで,中性子の数が異なる原子どうしをいいます。自然界に存在する炭素原子の約99%は,質量数12の同位体です。ごく微量に存在する質量数14の炭素原子は放射性同位体とよばれ,出土品などの年代測定に利用されています。
同素体とは,同じ元素の単体で,性質の異なる物質どうしをいいます。
同素体は,硫黄S,炭素C,酸素O,リンPの4つをおさえましょう。
□A2→ ×
☆解説
炭素Cの同素体であるダイヤモンドと黒鉛(グラファイト)は,共有結合の結晶で融点は非常に高いです。しかし,電気伝導性は黒鉛はありますが,ダイヤモンドにはありません。
☆ダイヤモンドと黒鉛の電気伝導性
ダイヤモンドは炭素原子が正四面体の中心と各頂点に位置した立体構造となっており,炭素原子の価電子4個すべてが原子間の共有結合に使われているので,電気伝導性はありません。
一方,黒鉛は炭素原子が3個の価電子を使い,正六角形の網目状に結合し平面構造をつくっています。この平面が幾つも重なり合った層状の結晶をつくっているのです。
このため,炭素原子に残った1個の価電子が,平面構造に沿って移動できるので,黒鉛には電気伝導性があります。
☆ダイヤモンドと黒鉛の用途
ダイヤモンドは,宝石として重宝される他に,天然の物質の中で最も硬いことから研磨剤などに用いられています。
黒鉛は,層間は結合力が弱い分子間力によって結合しているため,層状にはがれやすく,鉛筆の芯などに用いられています。
□A3→ ○
☆解説
炭素の単体には,ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素などの同素体があります。
☆カーボンナノチューブ
黒鉛の層を円筒状に巻いた構造をもつ分子。1991年に日本で発見され,半導体などの電子材料として注目を集めている。
☆無定形炭素
黒鉛の微小な結晶が不規則に配列したもの。脱水剤として用いられる活性炭やカーボンブラック・木炭もその一種。

□A4→ ×
☆解説
ケイ素Siは,地殻中で酸素に次いで2番目に多く存在する元素です。
地殻中の元素の割合の順番は,酸素からナトリウムまでを覚えておくといいでしょう。
☆地殻中の元素の割合(質量%)
O(約50%)>Si(約25%)>Al(約8%)>Fe(約5%)>Ca(約4%)>Na(約3%)
□A5→ ○
☆解説
炭素の単体は天然に存在しますが,ケイ素の単体は,天然には存在せず,酸化物である二酸化ケイ素SiO2を電気炉で融解し,コークスCで還元することによって得られます。
SiO2 + 2C → Si + 2CO
□A6→ ○
☆解説
ケイ素はダイヤモンドと同様に正四面体構造をもつ共有結合の結晶で,灰黒色の金属光沢をもち,融点は高く,硬いがもろいという特徴があります。また,Si-Si結合は,C-C結合に比べて弱く,光や熱によって共有結合が切れて価電子が結晶中に飛び出すため,わずかに電導性を示します。このような物質を半導体といいます。
☆ケイ素の用途
高純度のケイ素の単体は半導体の材料として,IC(集積回路)や太陽電池などに用いられています。
ダイヤモンドとケイ素の共通点・相違点は次のようになります。

□A7→ ×
☆解説
一酸化炭素COは,工業的には約1000℃以上に加熱したコークスCに水蒸気を送ると得られます。
C + H2O ⇔ CO + H2
生成したCOとH2の混合ガスを水性ガスといい,メタノールCH3OHの原料となります。(メタノールは,工業的には,酸化亜鉛ZnOなどの触媒を用いて,水性ガスを高温・高圧下で反応させることにより得られます。)
また,一酸化炭素は,実験室ではギ酸HCOOHに濃硫酸を加えて加熱することで得られます。濃硫酸は脱水作用をもち,HCOOHからH2Oを奪いCOとしています。
□A8→ ○
☆解説
二酸化炭素は,実験室では,石灰石や大理石の主成分である炭酸カルシウムCaCO3に希塩酸を作用させて発生させます。この反応は弱酸の遊離反応です。
このとき,二酸化炭素は水に少し溶け空気より重いため,下方置換で捕集します。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
また,工業的には,石灰石を強熱し熱分解することで得られます。
この反応はアンモニアソーダ法の副反応でもありますね。
□A9→ ×
☆解説
一酸化炭素は,水には溶けにくい気体です。二酸化炭素は水に少し溶け,その一部が水と反応して水素イオンH+を生じるため,弱酸性を示します。
□A10→ ○
☆解説
一酸化炭素は,酸素と比べて血液中のヘモグロビンと200倍以上も強く結合し,血液中の酸素の供給を阻害するため,きわめて有毒な気体です。
二酸化炭素は,大気中に約0.04%(体積)含まれている気体で,年々増加傾向にあり,地球温暖化の原因の1つと考えられています。
□A11→ ×
☆解説
一酸化炭素は,高温では他の物質から酸素を奪って二酸化炭素になりやすく還元性をもちます。
そのため,鉄の精錬などに用いられています。
☆鉄の精錬
Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2
一方,二酸化炭素は,還元性は持ちません。
☆還元作用がある気体
常温:二酸化硫黄SO2,硫化水素H2S,一酸化窒素NO
高温:一酸化炭素CO,水素H2
□A12→ ×
☆解説
液体ではなく,固体の二酸化炭素をドライアイスとよび,気圧1.013×10の5乗Paのもと,-78.5℃で昇華して気体になる性質を利用して,冷却剤として用いられています。
昇華性のある物質は,他にヨウ素I2(黒紫色),ナフタレンC10H8などがあります。
☆昇華性のある物質
ドライアイスCO2,ヨウ素I2,ナフタレンC10H8
□A13→ ○
☆解説
一酸化炭素は,青白いの炎をあげて燃焼し二酸化炭素になります。
一方,二酸化炭素を空気中で点火しても燃焼しません。
□A14→ ○
☆解説
石灰水とは,水酸化カルシウムCa(OH)2の飽和水溶液のことです。
Ca(OH)2水溶液に二酸化炭素を吹き込むと,炭酸塩である炭酸カルシウムCaCO3が白色沈殿するため白く濁ります。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
CaCO3に,さらに二酸化炭素を吹き込み続けるとCaCO3の沈殿が溶解します。
CaCO3 + H2O + CO2 ⇔ Ca(HCO3)2
この水溶液を加熱すると,逆反応が起こり,再びCaCO3が白色沈殿します。
一酸化炭素と二酸化炭素の共通点・相違点は次のようになります。
くらべてまとめて覚えましょう。

□A15→ ○
☆解説
二酸化ケイ素SiO2は,ケイ素単体のSi-Si結合がSi-O-Si結合に置き換わった正四面体構造をしています。
また,二酸化ケイ素はシリカとも呼ばれ,天然には石英,水晶,けい砂などとして多量に存在します。
※透明な石英を水晶とよび,砂状の石英をけい砂と呼びます。
□A16→ ×
☆解説
二酸化ケイ素は,共有結合の結晶のため化学的に安定で,ほとんどの試薬に溶けません。しかし,フッ化水素HFおよびフッ化水素酸(フッ化水素の水溶液)にはヘキサフルオロケイ酸H2SiF6を生じて溶けます。
■ 二酸化ケイ素とフッ化水素酸との反応
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O
☆二酸化ケイ素の用途
二酸化ケイ素は,融点が高く塩酸などの強酸にも侵されないので,試験管やフラスコなどの実験器具やガラス,陶磁器,セメントなどに用いられます。
☆フッ化水素の用途
フッ化水素酸は,二酸化ケイ素を溶かすので,くもりガラスの製造やガラスの目盛り付けに用いられます。そのため,保存の際にはポリエチレンの容器を使用します。
□A17→ ×
☆解説
二酸化ケイ素は酸性酸化物で,水と反応してオキソ酸を生じたり,塩基と反応して塩を生じたりするはずですが,共有結合結晶のため水とは反応せず,塩基とは常温では反応しません。
しかし,高温状態では塩基と反応します。
例えば,二酸化ケイ素に水酸化ナトリウムNaOHや炭酸ナトリウムNa2CO3を加えて加熱融解すると,ケイ酸ナトリウムNa2SiO3が生成します。
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2
□A18→ ○
☆解説
ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて長時間加熱すると,水ガラスという粘性の高い液体が得られます。
□A19→ ×
☆解説
水ガラスの水溶液に塩酸を加えると.白色ゲル状のケイ酸(H2SiO3またはSiO2・nH2O)が遊離します。
この反応は,ケイ酸(弱酸)が遊離する弱酸の遊離反応です。
□A20→ ×
☆解説
シリカではなく,シリカゲルです。シリカは,二酸化ケイ素の別称でしたね。
シリカゲルは,ケイ酸が部分的に脱水縮合して得られます。
シリカゲルには,すきまが多く,親水基のヒドロキシ基-OHをもつので,水分などを吸収(H2OやNH3と水素結合を形成)しやすいため乾燥剤,吸着剤として用いられます。
□A21→ ×
☆解説
石英ガラスは,水晶や石英を高温で融解し冷却して作られます。
ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られのはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)です。
ガラスの主成分は二酸化ケイ素で,ソーダ石灰ガラスは,普通のガラスのことで,ナトリウム(Sodium)と石灰石を含むのでソーダ石灰ガラスとよばれます。
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周期表の14族に属する元素には,炭素C,ケイ素Si,ゲルマニウムGe,スズSn,鉛Pbがあります。これらはすべて典型元素ですがC,Siは非金属元素,Ge,Sn,Pbは金属元素に分類されます。
CとSiは,4個の価電子を持ち,イオンにはならずに他の原子とは共有結合によって化合物を作ります。
★★★14族元素を学習する上でのポイント★★★
① 炭素の同素体(特にダイヤモンドと黒鉛)の構造と性質に関する問題は頻出なので2つを比較しておさえる。
② ダイヤモンドとケイ素,一酸化炭素と二酸化炭素,二酸化炭素と二酸化ケイ素 の共通点・相違点をそれぞれ比較しておさえる。
③ 「二酸化ケイ素」→「ケイ酸ナトリウム」→「水ガラス」 →「ケイ酸」→ 「シリカゲル」の反応の流れをおさえる。
ここで,結晶の見分け方について解説します。
結晶とは物質を構成する粒子(原子・分子・イオン)が規則正しく配列した固体のことで,結晶には金属結晶,イオン結晶,分子結晶,共有結合の結晶の4種類があります。
結晶の見分け方は,結晶を構成する原子の組み合わせによって次のように判断します。

「分子を形成するかしないか」つまり「分子結晶か共有結合結晶か」の判断は,ダイヤモンドC,ケイ素Si,二酸化ケイ素SiO2,炭化ケイ素SiCの4つ以外は「分子を形成する」つまり『分子結晶』!と覚えるといいでしょう。
☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。
■Q1
天然の炭素原子には,質量数が12,13,14の3種類が存在し,このような原子を互いに同素体という。○or×
■Q2
ダイヤモンドと黒鉛は,いずれも共有結合の結晶で融点が非常に高く,電気伝導性がある。○or×
■Q3
フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素は,いずれも炭素の同素体である。○or×
■Q4
ケイ素は岩石や鉱物の成分として地殻中に酸素,アルミニウムに次いで多量に存在する。○or×
■Q5
単体のケイ素は,二酸化ケイ素を電気炉で融解し,コークスを用いて還元することによって得られる。○or×
■Q6
ケイ素はダイヤモンドと同じ構造をもち,硬くて融点が高い。○or×
■Q7
一酸化炭素は,加熱したコークスに酸素を反応させると得られる。○or×
■Q8
二酸化炭素は,石灰石や大理石に希塩酸を加えたり,強熱することで得られる。○or×
■Q9
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも水に溶け弱酸性を示す。○or×
■Q10
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも無色,無臭であるが,一酸化炭素は有毒で,二酸化炭素は無毒である。○or×
■Q11
一酸化炭素と二酸化炭素は,いずれも還元性をもつ。○or×
■Q12
液体の二酸化炭素は,ドライアイスとよばれている。○or×
■Q13
一酸化炭素を空気中で点火すると,青色の炎をあげて燃焼し二酸化炭素になる。○or×
■Q14
石灰水に二酸化炭素を通じると白く濁る。○or×
■Q15
二酸化ケイ素は,ダイヤモンドと同じ正四面体の構造をもつ。 ○or×
■Q16
二酸化ケイ素は,塩酸などの強酸に溶けてヘキサフルオロケイ酸となる。○or×
■Q17
二酸化ケイ素は,酸性酸化物で水とも塩基とも反応して塩を生成する。○or×
■Q18
ケイ酸ナトリウムに水を加えて,加熱して溶かしたものを水ガラスという。○or×
■Q19
水ガラスに塩酸を加えると,白色ゲル状のケイ酸が得られる。○or×
■Q20
ケイ酸を加熱脱水して固体にしたものをシリカという。○or×
■Q21
石英ガラスは,ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られる。○or×
☆以下は解答と解説です。
□A1→ ○
☆解説
同素体ではなく同位体です。同位体とは,原子番号が同じで,中性子の数が異なる原子どうしをいいます。自然界に存在する炭素原子の約99%は,質量数12の同位体です。ごく微量に存在する質量数14の炭素原子は放射性同位体とよばれ,出土品などの年代測定に利用されています。
同素体とは,同じ元素の単体で,性質の異なる物質どうしをいいます。
同素体は,硫黄S,炭素C,酸素O,リンPの4つをおさえましょう。
□A2→ ×
☆解説
炭素Cの同素体であるダイヤモンドと黒鉛(グラファイト)は,共有結合の結晶で融点は非常に高いです。しかし,電気伝導性は黒鉛はありますが,ダイヤモンドにはありません。
☆ダイヤモンドと黒鉛の電気伝導性
ダイヤモンドは炭素原子が正四面体の中心と各頂点に位置した立体構造となっており,炭素原子の価電子4個すべてが原子間の共有結合に使われているので,電気伝導性はありません。
一方,黒鉛は炭素原子が3個の価電子を使い,正六角形の網目状に結合し平面構造をつくっています。この平面が幾つも重なり合った層状の結晶をつくっているのです。
このため,炭素原子に残った1個の価電子が,平面構造に沿って移動できるので,黒鉛には電気伝導性があります。
☆ダイヤモンドと黒鉛の用途
ダイヤモンドは,宝石として重宝される他に,天然の物質の中で最も硬いことから研磨剤などに用いられています。
黒鉛は,層間は結合力が弱い分子間力によって結合しているため,層状にはがれやすく,鉛筆の芯などに用いられています。
□A3→ ○
☆解説
炭素の単体には,ダイヤモンド,黒鉛,フラーレン,カーボンナノチューブ,無定形炭素などの同素体があります。
☆カーボンナノチューブ
黒鉛の層を円筒状に巻いた構造をもつ分子。1991年に日本で発見され,半導体などの電子材料として注目を集めている。
☆無定形炭素
黒鉛の微小な結晶が不規則に配列したもの。脱水剤として用いられる活性炭やカーボンブラック・木炭もその一種。

□A4→ ×
☆解説
ケイ素Siは,地殻中で酸素に次いで2番目に多く存在する元素です。
地殻中の元素の割合の順番は,酸素からナトリウムまでを覚えておくといいでしょう。
☆地殻中の元素の割合(質量%)
O(約50%)>Si(約25%)>Al(約8%)>Fe(約5%)>Ca(約4%)>Na(約3%)
□A5→ ○
☆解説
炭素の単体は天然に存在しますが,ケイ素の単体は,天然には存在せず,酸化物である二酸化ケイ素SiO2を電気炉で融解し,コークスCで還元することによって得られます。
SiO2 + 2C → Si + 2CO
□A6→ ○
☆解説
ケイ素はダイヤモンドと同様に正四面体構造をもつ共有結合の結晶で,灰黒色の金属光沢をもち,融点は高く,硬いがもろいという特徴があります。また,Si-Si結合は,C-C結合に比べて弱く,光や熱によって共有結合が切れて価電子が結晶中に飛び出すため,わずかに電導性を示します。このような物質を半導体といいます。
☆ケイ素の用途
高純度のケイ素の単体は半導体の材料として,IC(集積回路)や太陽電池などに用いられています。
ダイヤモンドとケイ素の共通点・相違点は次のようになります。

□A7→ ×
☆解説
一酸化炭素COは,工業的には約1000℃以上に加熱したコークスCに水蒸気を送ると得られます。
C + H2O ⇔ CO + H2
生成したCOとH2の混合ガスを水性ガスといい,メタノールCH3OHの原料となります。(メタノールは,工業的には,酸化亜鉛ZnOなどの触媒を用いて,水性ガスを高温・高圧下で反応させることにより得られます。)
また,一酸化炭素は,実験室ではギ酸HCOOHに濃硫酸を加えて加熱することで得られます。濃硫酸は脱水作用をもち,HCOOHからH2Oを奪いCOとしています。
□A8→ ○
☆解説
二酸化炭素は,実験室では,石灰石や大理石の主成分である炭酸カルシウムCaCO3に希塩酸を作用させて発生させます。この反応は弱酸の遊離反応です。
このとき,二酸化炭素は水に少し溶け空気より重いため,下方置換で捕集します。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
また,工業的には,石灰石を強熱し熱分解することで得られます。
この反応はアンモニアソーダ法の副反応でもありますね。
□A9→ ×
☆解説
一酸化炭素は,水には溶けにくい気体です。二酸化炭素は水に少し溶け,その一部が水と反応して水素イオンH+を生じるため,弱酸性を示します。
□A10→ ○
☆解説
一酸化炭素は,酸素と比べて血液中のヘモグロビンと200倍以上も強く結合し,血液中の酸素の供給を阻害するため,きわめて有毒な気体です。
二酸化炭素は,大気中に約0.04%(体積)含まれている気体で,年々増加傾向にあり,地球温暖化の原因の1つと考えられています。
□A11→ ×
☆解説
一酸化炭素は,高温では他の物質から酸素を奪って二酸化炭素になりやすく還元性をもちます。
そのため,鉄の精錬などに用いられています。
☆鉄の精錬
Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2
一方,二酸化炭素は,還元性は持ちません。
☆還元作用がある気体
常温:二酸化硫黄SO2,硫化水素H2S,一酸化窒素NO
高温:一酸化炭素CO,水素H2
□A12→ ×
☆解説
液体ではなく,固体の二酸化炭素をドライアイスとよび,気圧1.013×10の5乗Paのもと,-78.5℃で昇華して気体になる性質を利用して,冷却剤として用いられています。
昇華性のある物質は,他にヨウ素I2(黒紫色),ナフタレンC10H8などがあります。
☆昇華性のある物質
ドライアイスCO2,ヨウ素I2,ナフタレンC10H8
□A13→ ○
☆解説
一酸化炭素は,青白いの炎をあげて燃焼し二酸化炭素になります。
一方,二酸化炭素を空気中で点火しても燃焼しません。
□A14→ ○
☆解説
石灰水とは,水酸化カルシウムCa(OH)2の飽和水溶液のことです。
Ca(OH)2水溶液に二酸化炭素を吹き込むと,炭酸塩である炭酸カルシウムCaCO3が白色沈殿するため白く濁ります。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
CaCO3に,さらに二酸化炭素を吹き込み続けるとCaCO3の沈殿が溶解します。
CaCO3 + H2O + CO2 ⇔ Ca(HCO3)2
この水溶液を加熱すると,逆反応が起こり,再びCaCO3が白色沈殿します。
一酸化炭素と二酸化炭素の共通点・相違点は次のようになります。
くらべてまとめて覚えましょう。

□A15→ ○
☆解説
二酸化ケイ素SiO2は,ケイ素単体のSi-Si結合がSi-O-Si結合に置き換わった正四面体構造をしています。
また,二酸化ケイ素はシリカとも呼ばれ,天然には石英,水晶,けい砂などとして多量に存在します。
※透明な石英を水晶とよび,砂状の石英をけい砂と呼びます。
□A16→ ×
☆解説
二酸化ケイ素は,共有結合の結晶のため化学的に安定で,ほとんどの試薬に溶けません。しかし,フッ化水素HFおよびフッ化水素酸(フッ化水素の水溶液)にはヘキサフルオロケイ酸H2SiF6を生じて溶けます。
■ 二酸化ケイ素とフッ化水素酸との反応
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O
☆二酸化ケイ素の用途
二酸化ケイ素は,融点が高く塩酸などの強酸にも侵されないので,試験管やフラスコなどの実験器具やガラス,陶磁器,セメントなどに用いられます。
☆フッ化水素の用途
フッ化水素酸は,二酸化ケイ素を溶かすので,くもりガラスの製造やガラスの目盛り付けに用いられます。そのため,保存の際にはポリエチレンの容器を使用します。
□A17→ ×
☆解説
二酸化ケイ素は酸性酸化物で,水と反応してオキソ酸を生じたり,塩基と反応して塩を生じたりするはずですが,共有結合結晶のため水とは反応せず,塩基とは常温では反応しません。
しかし,高温状態では塩基と反応します。
例えば,二酸化ケイ素に水酸化ナトリウムNaOHや炭酸ナトリウムNa2CO3を加えて加熱融解すると,ケイ酸ナトリウムNa2SiO3が生成します。
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2
□A18→ ○
☆解説
ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて長時間加熱すると,水ガラスという粘性の高い液体が得られます。
□A19→ ×
☆解説
水ガラスの水溶液に塩酸を加えると.白色ゲル状のケイ酸(H2SiO3またはSiO2・nH2O)が遊離します。
この反応は,ケイ酸(弱酸)が遊離する弱酸の遊離反応です。
□A20→ ×
☆解説
シリカではなく,シリカゲルです。シリカは,二酸化ケイ素の別称でしたね。
シリカゲルは,ケイ酸が部分的に脱水縮合して得られます。
シリカゲルには,すきまが多く,親水基のヒドロキシ基-OHをもつので,水分などを吸収(H2OやNH3と水素結合を形成)しやすいため乾燥剤,吸着剤として用いられます。
□A21→ ×
☆解説
石英ガラスは,水晶や石英を高温で融解し冷却して作られます。
ケイ砂を石灰石と炭酸ナトリウムとともに高温で融解し,冷却することで作られのはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)です。
ガラスの主成分は二酸化ケイ素で,ソーダ石灰ガラスは,普通のガラスのことで,ナトリウム(Sodium)と石灰石を含むのでソーダ石灰ガラスとよばれます。
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2族元素に関する正誤問題
今日は,2族元素に関する正誤問題です。
周期表の2族に属する元素には,ベリリウムBe,マグネシウムMg,カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaがあります。
2族元素のうち,Be,MgとCa,Sr,Ba,Raは,多くの点で性質が異なるため,Ca,Sr,Ba,Raをアルカリ土類金属元素とよびBe,Mgと区別しています。
★★★2族元素を学習する上でのポイント★★★
2族の原子は2個の最外殻電子をもち,2個の電子を放出して2価の陽イオンになりやすいという特性があります。
アルカリ土類金属の単体は,いずれも銀白色の光沢をもち,アルカリ金属と比べると,融点は高く,密度も大きくなります。
これは,2個の価電子をもっているため,アルカリ金属よりも自由電子が多く,金属結合が強くなるためです。
また,単体はアルカリ金属同様に天然には存在せず,塩化物などの融解塩電解によって得られます。
☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。
■Q1
BeとMgは常温の水と反応しないが,Ca,Sr,Baは常温の水と反応する。○or×
■Q2
2族元素は,いずれも炎色反応を示す。○or×
■Q3
酸化カルシウムは,炭酸カルシウムを焼くことによって得られる。○or×
■Q4
酸化カルシウムは,水とも酸とも反応する。○or×
■Q5
酸化カルシウムにコークスCを混ぜて電気炉で強熱すると,アセチレンが生成する。○or×
■Q6
酸化カルシウムに濃いアンモニア水溶液をしみこませてから焼いて粒状にしたものをソーダ石灰という。○or×
■Q7
BeとMgの水酸化物は水に溶けるが,Ca,Sr,Baの水酸化物は水に溶けない。○or×
■Q8
水酸化カルシウムは,消石灰ともよばれ,その飽和水溶液は石灰水とよばれる。○or×
■Q9
水酸化カルシウムを空気中に放置すると分解して,酸化カルシウムになる。○or×
■Q10
水酸化カルシウムの水溶液に二酸化炭素を吹き込むと,白色沈殿を生じるが,さらに吹き込み続けると,沈殿が溶解する。○or×
■Q11
水酸化カルシウムは塩素を吸収し,塩化カルシウムになる。○or×
■Q12
炭酸カルシウムは水に溶けにくいが,酸には水素を発生して溶ける。○or×
■Q13
炭酸水素カルシウムを加熱すると,分解して酸化カルシウムCaOが生成し,二酸化炭素が発生する。○or×
■Q14
セッコウCaSO4・2H2Oを焼くと焼きセッコウとなり,これに水を加えて練ると,硬化して再びセッコウになる。○or×
■Q15
硫酸カルシウムと硫酸バリウムは水に溶解するが,硫酸マグネシウムは水に溶解しない。○or×
■Q16
ホタル石に濃硫酸を加えて加熱すると,フッ化水素が発生する。○or×
■Q17
塩化カルシウムの固体は,酸性の乾燥剤として利用される。○or×
以下は,解答と解説です。
□A1→ ○
☆解説
アルカリ土類金属であるカルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBaは,アルカリ金属と同様に,常温の水と反応し,水素H2を発生して水酸化物になります。
ベリリウムBeとマグネシウムMgは,常温の水とは反応しませんが,マグネシウムのみ熱水とは反応します。
例1:カルシウムと水との反応
Ca + 2H2O → Ca(OH)2 + H2
例2:マグネシウムと熱水との反応
Mg + 2H2O → Mg(OH)2 + H2
☆Point !
アルカリ金属・アルカリ土類金属の単体は常温の水と反応して水素を発生して水酸化物になる。

□A2→ ×
☆解説
アルカリ土類金属のCa,Sr,Baは,炎色反応を示しますが,BeとMgは示しません。
炎色反応を示すものは,アルカリ金属とアルカリ土類金属と銅と覚えましょう。

□A3→ ○
☆解説
酸化カルシウムCaOは生石灰ともよばれ,白色の固体で,炭酸カルシウムCaCO3(白色)を900℃以上で焼くことによって得られます。
この反応は,アンモニアソーダ法の副反応でもあります。
CaCO3 → CaO + CO2

□A4→ ○
☆解説
アルカリ土類金属の酸化物は,アルカリ金属同様に塩基性酸化物で,水に溶けて強い塩基性を示したり,酸と反応して塩を生じます。
したがって,酸化カルシウムは,水と反応して水酸化物の水酸化カルシウムCa(OH)2になり,その水溶液は強い塩基性を示します。
CaO + H2O → Ca(OH)2
この反応では,多量の熱を発するため,酸化カルシウムは缶入りの酒や駅弁を温める発熱剤として,また吸湿性があり乾燥剤にも利用されています。
アンモニアソーダ法の副反応でもありますね。
一方,酸化カルシウムが塩酸と反応すると,塩化カルシウムCaCl2と水が生成します。
CaO + 2HCl → CaCl2 + H2O
□A5→ ×
☆解説
アセチレンC2H2ではなく,次のように,炭化カルシウムCaC2(カルシウムカーバイドまたはカーバイドともよばれる)が生成します。
CaO + 3C → CaC2 + CO
アセチレンは,次のように炭化カルシウムに水を加えることで得られます。
この反応では,同時に水酸化カルシウムが生成することも重要なので一緒におさえてください。
CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2
□A6→ ×
☆解説
アンモニアNH3水溶液ではなく,水酸化ナトリウムNaOH水溶液です。
ソーダ石灰は,乾燥剤や二酸化炭素の吸収剤として用いられます。
また,酸化カルシウム自体でも吸湿性を示すため,乾燥剤として用いられます。
☆酸化カルシウムの反応と性質
① 白色の固体で生石灰とよばれる。
② 炭酸カルシウムCaCO3を焼くと生成。
③ 水と反応して水酸化カルシウムCa(OH)2となる際に,多量の熱を
発することから発熱剤となる。
④ 酸と反応する。
⑤ コークスCを作用させると炭化カルシウムCaC2が生成。
⑥ 乾燥剤となる。(ソーダ石灰はCO2も吸収。)
□A7→ ×
☆解説
水酸化ベリリウムBe(OH)2,水酸化マグネシウムMg(OH)2は水に溶けにくく,水酸化カルシウムCa(OH)2は少し溶け,水酸化ストロンチウムSr(OH)2,水酸化バリウムBa(OH)2はよく溶けます。
また,アルカリ金属,アルカリ土類金属の水酸化物は強塩基性となります。
(例:NaOH,KOH,Ca(OH)2など。)
☆Point !
アルカリ金属,アルカリ土類金属の水酸化物は強塩基性となる!
□A8→ ○
☆解説
水酸化カルシウムCa(OH)2は消石灰,その飽和水溶液は石灰水とよばれます。
また,漆喰(水酸化カルシウムを主成分とした建材)などの建築材料や,酸性土壌の改良剤として用いられています。
□A9→ ×
☆解説
水酸化カルシウムを放置ではなく加熱することで分解して,酸化カルシウムCaOになります。
Ca(OH)2 → CaO + H2O
これは,文字通り水酸化物から水がとれて酸化物になる反応で,アルカリ金属以外の多くの水酸化物に共通します。
□A10→ ○
☆解説
Ca(OH)2水溶液に二酸化炭素を吹き込むと,炭酸塩である炭酸カルシウムCaCO3が白色沈殿します。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O ……①
炭酸カルシウムに,さらに二酸化炭素を吹き込み続けると炭酸カルシウムの沈殿が溶解します。
CaCO3 + H2O + CO2 ⇔ Ca(HCO3)2 ……②
この水溶液を加熱すると,②式の逆反応が起こり,再び,炭酸カルシウムが白色沈殿します。漆喰は水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素を吸収して,炭酸カルシウムとなって固まる性質(①の反応)を利用しています。
また,①・②式の反応が起こってできる地形を鍾乳洞といいます。
☆鍾乳洞が作られる反応
石灰岩CaCO3からなる地層に二酸化炭素が溶け込んだ地下水がしみわたってくると,次の反応が起こり,炭酸カルシウムが溶け,鍾乳洞(洞窟)が作られます。
CaCO3 + H2O + CO2 → Ca(HCO3)2 ←鍾乳洞が作られる(穴があく)反応
また,鍾乳洞内では,Ca(HCO3)2を含んだ水が,石灰岩の割れ目から流れ落ち,ゆっくり滴り落ちる際に空気中へ水分が蒸発すると同時に二酸化炭素も放出するので,上式の逆反応が起こり,炭酸カルシウムが析出します。
析出した炭酸カルシウムのうち,鍾乳洞の天井からつららのように伸びたものを鍾乳石(しょうにゅうせき),地面から筍(たけのこ)のように伸びたものを石筍(せきじゅん)といいます。
Ca(HCO3)2 → CaCO3 + H2O + CO2

鍾乳洞が作られる反応は,よく出題されるので確実におさえましょう。
□A11→ ×
☆解説
次のように塩化カルシウムCaCl2ではなく,さらし粉CaCl(ClO)・H2Oが生成します。
Ca(OH)2 + Cl2 → CaCl(ClO)・H2O
さらし粉は水に溶かすと,次のように電離して酸化力の強い次亜塩素酸イオンClO-を生じるので,酸化剤,殺菌剤,漂白剤として広く用いられています。
Ca(OH)2の反応・性質についてまとめました。
☆Ca(OH)2の反応と性質
① 消石灰ともよばれ,その飽和水溶液は石灰水とよばれる。
② 水に少し溶け,その水溶液は強塩基性を示す。
③ 加熱すると分解して,酸化カルシウムCaOになる。
④ 二酸化炭素CO2を吸収させると,炭酸カルシウムCaCO3の沈殿が
生じ,さらにCO2を吸収させると沈殿が溶解する。
⑤ 塩素Cl2を吸収して,さらし粉CaCl(ClO)・H2Oが生成。
水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムの性質と反応はくらべてまとめて覚えましょう。

□A12→ ×
☆解説
炭酸カルシウムCaCO3は水に溶けにくく,塩酸などの酸には水素ではなく,二酸化炭素を発生して溶けます。このため,酸との反応は二酸化炭素の実験室での製法としても用いられます。
ただし,塩酸のかわりに希硫酸を用いるのは,CaCO3のまわりを水に不溶の硫酸カルシウムCaSO4(白色)が覆ってしまい,反応が滞ってしまうため適当ではありません。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
CaCO3は,石灰石,大理石,卵の殻,貝殻,真珠,珊瑚の主成分であり,セメントやガラスの原料,歯磨き粉やチョークなどに利用されています。
□A13→ ×
☆解説
加熱すると分解して,酸化カルシウムCaOが生成するのは,炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2ではなく,炭酸カルシウムCaCO3です。
CaCO3 → CaO + CO2
これは,アンモニアソーダ法の副反応でもありますね。
一方,Ca(HCO3)2の水溶液を加熱すると,炭酸カルシウムCaCO3が生成し,二酸化炭素が発生します。
Ca(HCO3)2 → CaCO3 + H2O + CO2
☆Ca(HCO3)2は水溶液中にのみ存在し,固体として取り出すことはできません。
Na・Caの化合物の熱分解についてまとめました。
くらべてまとめて覚えましょう!

CaCO3の性質・反応は,アルカリ金属の代表であるNaの炭酸塩Na2CO3ともくらべてまとめて覚えましょう。

□A14→ ○
☆解説
硫酸カルシウム二水和物CaSO4・2H2Oはセッコウとよばれ,約120℃~140℃まで加熱すると水和水の一部がとれて,焼きセッコウCaSO4・1/2H2Oとなります。
また,焼きセッコウに水を加えて練ると発熱しながら硬化し,再びセッコウにもどります。
硫酸カルシウムCaSO4(白色)は,天然には硫酸カルシウム二水和物CaSO4・2H2Oとして産出し,上記の性質から,建築材料や塑像,医療用ギプスなどに用いられます。
□A15→ ×
☆解説
逆で,硫酸カルシウムCaSO4と硫酸バリウムBaSO4(白色)は水に溶解しませんが,硫酸マグネシウムMgSO4は溶解します。
硫酸バリウムは白色顔料やX線撮影の造影剤(安定で胃液によっても溶解せず,X線をよく遮蔽することから)として用いられています。
※「バリウムを飲む」と言われますが,バリウムBaは冷水と反応して,水素を発生するので飲むと危険です。実際に,病院で飲むのはバリウムではなくて硫酸バリウムです!
☆入試によく出るX線関連の物質
鉛Pb …… X線の遮蔽剤
硫酸バリウムBaSO4 …… X線の造影剤
ここで,アルカリ土類金属のCa,Sr,BaとBe,Mgとの相違点についてまとめました。
よく狙われるのでしっかりおさえてください。
① Ca,Sr,Baは,炎色反応を示すが,Be,Mgは,示さない。
② Ca,Sr,Baは,常温の水と反応する(水酸化物になる。)が, Be,Mgは,反応しない。(Mgは,熱水とは反応する。)
③ Ca,Sr,Baの水酸化物は,水に溶ける(その水溶液は強塩基性)が, Be,Mgの水酸化物は,水に溶けにくい。
④ Ca,Sr,Baの硫酸塩は,水に溶けにくいが,Be,Mgの硫酸塩は,水によく溶ける。
□A16→ ○
☆解説
ホタル石CaF2に濃硫酸を加えて加熱すると,硫酸塩を生じ,フッ化水素HFが発生します。
CaF2 + H2SO4 → CaSO2 + 2HF
□A17→ ×
☆解説
塩化カルシウムCaCl2の固体は,強酸と強塩基からなる塩なので中性です。
吸湿性,潮解性があり,中性の乾燥剤として利用されます。
カルシウムの反応系統図についてまとめました。
どの反応も重要なのでしっかり覚えましょう。

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アルカリ金属に関する正誤問題
今日は,アルカリ金属に関する正誤問題です。
周期表の1族に属する元素には,水素H,リチウムLi,ナトリウムNa,カリウムK,ルビジウムRb,セシウムCs,フランシウムFrがあり,水素を除く元素をアルカリ金属とよびます。
アルカリ金属の単体は,いずれも銀白色の光沢をもち,密度が低く,軟らかく,融点が低いという特徴を持ちます。
また,1族の原子は1個の最外殻電子をもち,1個の電子を放出して1価の陽イオンになりやすいため反応性(還元力)が高くなります。
★★★アルカリ金属を学習する上でのポイント★★★
① アルカリ金属の代表であるナトリウムの単体,酸化物,水酸化物, 炭酸水素塩,炭酸塩の性質・反応を整理しておさえる。
② 原子番号の増加に対しての原子半径,密度,融点,イオン化エネルギーの大小傾向とその理由を理解する。
③ 炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの共通点・相違点を比較して覚える。
④ 水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウムの工業的製法は頻出なので,きちんと反応の流れを理解する。
☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。
■Q1
単体のナトリウムは,塩化ナトリウムの融解塩電解によって製造される。○or×
■Q2
一般に,アルカリ金属の原子半径,密度,イオン化エネルギーは原子番号が大きくなるほど大きくなり,融点は,原子番号が大きくなるほど低くなる。→ ○or×
■Q3
アルカリ金属の単体は,乾いた空気中でもすぐに酸化されて,酸化物が生成する。○or×
■Q4
アルカリ金属の単体は,常温の水と反応して水酸化物になり,酸素を発生する。○or×
■Q5
ナトリウムの化合物を,白金線につけてバーナーの外炎に入れると,赤色を示す。○or×
■Q6
アルカリ金属の酸化物は,水と反応して水酸化物になり,酸と反応して塩を生成する。○or×
■Q7
酸化ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,炭酸ナトリウムが生成する。○or×
■Q8
水酸化ナトリウムは,工業的には,炭酸ナトリウム水溶液の電気分解を利用して製造される。○or×
■Q9
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体は,空気中に放置すると,水蒸気を吸収し表面が次第に溶け出す。○or×
■Q10
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体や水溶液は,二酸化炭素とは反応しない。○or×
■Q11
炭酸ナトリウムは,工業的には,水酸化ナトリウムの水溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込み,炭酸水素ナトリウムの沈殿をつくり,これを集めて加熱することによりつくられる。
■Q12
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムは,いずれも水によく溶け,その水溶液は酸性を示す。
■Q13
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムをそれぞれ加熱すると,いずれも容易に熱分解し,二酸化炭素が発生する。
■Q14
Na2CO3・10H2Oを空気中に放置すると,水和水を失ってNa2CO3・H2Oになる。このような現象を風解という。
以下は解答と解説です。
□A1→ ○
☆解説
アルカリ金属・2族元素の単体は自然界には存在せず,融解塩電解によって得られます。
融解塩電解とは,イオン結合性の化合物を加熱し,融解液(液体)の状態にして電気分解することをいいます。
例えば,陽極に黒鉛C,陰極に鉄Feを用いて塩化ナトリウムNaClを融解して電気分解すると,陰極には単体のナトリウムNaが析出します。
☆融解塩電解を用いる理由
イオン化傾向(下記参照)が水素より大きい金属塩の水溶液を電気分解すると,水溶液中の水素イオンH+の方が電子を受け取ってしまい(水素H2が発生),金属の単体は析出しません。
そこで,水H2O(水素イオン)が存在しない金属化合物の融解液(液体)を電気分解することで,金属イオンの方が電子を受け取ることができ,金属の単体が析出します。
☆イオン化傾向
イオン化傾向とは,金属の単体が水溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする性質で,その順序をイオン化列といい,次のようになります。

□A2→ ×
☆解説
原子半径,密度(一部で逆転),融点についての記述は合っていますが,イオン化エネルギーは原子番号が大きくなる(周期表の下に行く)ほど小さくなります。
☆原子半径
アルカリ金属に限らず,同族間の原子半径は原子番号が大きくなるほど大きくなります。これは,最外殻電子がより外側の電子殻に存在するためです。
☆密度
一般に,アルカリ金属間の密度は原子番号が大きくなるほど大きくなります。(ただし,ナトリウムとカリウムは逆)
リチウム,ナトリウム,カリウムの密度は,水の密度(1.00g/cm3)より小さいため水に浮きます。金属単体中で密度が1.00g/cm3以下となるのは,Li(0.53g/cm3),Na(0.97g/cm3),K(0.86g/cm3)のみです。
☆イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは,一般に原子から1個の電子を取り去って一価の陽イオンにするのに必要なエネルギーをいいます。
同族間では,原子番号が大きいほど,最外殻電子がより外側の電子殻に存在し原子核の正電荷との引力が弱くなるため,イオン化エネルギーは小さくなります。
☆融点
アルカリ金属の1原子あたりの自由電子の数はどれも1個で等しいですが,原子番号が大きいほど,原子半径が大きくなり,単位体積あたりの自由電子の数は相対的に少なくなります。つまり,原子番号が大きくなるほど,金属間の結合が弱くなるため,融点は低くなります。
ちなみに,ナトリウムからセシウムまでの融点は水の沸点(100℃)より低くなります。

□A3→ ○
☆解説
アルカリ金属の単体は,空気中の酸素O2と速やかに反応し,酸化物が生成します。
例えば,ナトリウムは酸素と反応して,酸化ナトリウムNa2Oとなり金属光沢を失います。
4Na + O2 → 2Na2O
金属の単体の空気中での反応は,次のようになります。

□A4→ ×
☆解説
アルカリ金属の単体は,反応性に富むため,常温の水と反応しますが酸素ではなく水素が発生します。
例えば,ナトリウムは水と激しく反応して,水酸化ナトリウムNaOHになり,水素を発生します。
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2
Q3,4のように,アルカリ金属の単体は,常温の水や空気中の酸素と反応しやすい
ため,リチウム,ナトリウム,カリウムは石油中に保存します。
金属の単体と水との反応は,次のようになります。

□A5→ ×
☆解説
赤色ではなく黄色を示します。
アルカリ金属やアルカリ土類金属などの単体や化合物を炎の中に入れると
金属特有の色を示します。この反応を炎色反応といい,アルカリ金属の化合物は,
すべて水に溶け沈殿を作らないため,成分元素の検出には炎色反応を利用します。
アルカリ金属では,リチウム,ナトリウム,カリウムの3つの色を覚えましょう。

□A6→ ○
☆解説
金属元素の酸化物の多くは,水に溶けて塩基性を示したり,酸と反応して塩を生じます。このような酸化物を塩基性酸化物とよんでいます。
アルカリ金属の酸化物は塩基性酸化物で,水と反応して水酸化物となり,その水溶液は強い塩基性を示します。
例えば,酸化ナトリウムNa2Oは水と反応し,水酸化ナトリウムが生成します。
Na2O + H2O → 2NaOH
また,酸との反応では,酸化ナトリウムは塩酸と反応し,塩である塩化ナトリウムが生成します。
Na2O + 2HCl → 2NaCl + H2O
□A7→ ○
☆解説
次のように,白色の炭酸ナトリウムNa2CO3が生成します。
Na2O + CO2 → Na2CO3
アルカリ金属の酸化物の反応は,代表である酸化ナトリウムの次の3つの反応をおさえましょう。

□A8→ ×
☆解説
水酸化ナトリウムNaOHは,工業的には,塩化ナトリウムNaCl水溶液の電気分解を利用して製造されます。
現在主流である陽イオン交換膜法について解説します。
☆陽イオン交換膜法
陽イオン交換膜法では,下図に示すように,電解槽内部が陽イオン交換膜(※1)により,陽極室と陰極室に分けられて陽極室には飽和NaCl水溶液,陰極室に薄いNaOH水溶液(水の場合もある。)を入れています。
※1 陽イオン(Na+)は通過させるが,陰イオン(Cl-,OH-)は通過させない膜

電気分解すると,陽極室ではCl-イオンが減少(塩素Cl2が発生)し,陰極室ではOH-イオンが増加(水素H2が発生)します。すると,その電荷を打ち消すためにNa+イオンが陽極室から陰極室へ陽イオン交換膜を通って移動し,結果として,陰極室にNaOH水溶液が生成します。さらに,これを濃縮すると純度の高いNaOHが得られます。

□A9→ ○
☆解説
固体が空気中の水蒸気を吸収して,その水分に固体が溶けていく現象を潮解と
いいます。潮解性をもつ物質は,次のようになります。
☆潮解性をもつ物質
水酸化ナトリウムNaOH,水酸化カリウムKOH,リン酸H3PO4,
塩化カルシウムCaCl2,塩化マグネシウムMgCl2,塩化鉄(Ⅲ)六水和物FeCl3・ 6H2O
水酸化カリウムKOHは苛性カリ,水酸化ナトリウムNaOHは苛性ソーダとも
よばれ,ともに無色半透明(白色と表記される)の固体です。
水酸化ナトリウムは,紙やセッケンの製造に用いられます。
□A10→ ×
☆解説
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体や水溶液は,二酸化炭素を吸収し,炭酸塩や炭酸水素塩を生成します。
例えば,水酸化ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,白色の炭酸ナトリウムNa2CO3が生成します。
2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O
生成した炭酸塩に,さらに二酸化炭素を吸収させると,炭酸水素塩が生成します。
例えば,炭酸ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,白色の炭酸水素ナトリウム
NaHCO3が生成します。
Na2CO3 + H2O + CO2 → 2NaHCO3
☆NaOHとKOHの性質
① 無色半透明
② 潮解性をもつ。
③ 加熱しても,熱分解はしない。
④ 水によく溶け,その水溶液は強塩基性を示す。
⑤ 二酸化炭素を吸収し,炭酸塩を生成する。さらに,二酸化炭素を吸収すると炭酸水素塩が生成する。
□A11→ ×
☆解説
水酸化ナトリウム水溶液ではなく,塩化ナトリウムNaClの飽和水溶液です。
この製法をアンモニアソーダ法またはソルベー法といい,天然に豊富に存在する岩塩or海水NaClと石灰岩CaCO3から,炭酸ナトリウムNa2CO3を製造する製法で,
以下の5つの工程からなります。
☆アンモニアソーダ法
●主反応①
NaClの飽和水溶液にアンモニアNH3を十分に吸収させてから,二酸化炭素CO2を吹き込むと溶解度の小さい炭酸水素ナトリウムNaHCO3が沈殿します。
主反応①:NaCl + H2O + NH3 + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl
●主反応②
生成したNaHCO3の沈殿をろ別し,これを焼くとNa2CO3が得られます。
主反応②: 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
アンモニアソーダ法が考えられた当時NH3は貴重で,原料をなるべく回収して安く作るために,リサイクル法が考えられました。つまり,これが副反応となります。
●副反応③
主反応②で生成するCO2は,主反応①の反応に再利用されますが,この量だけでは充分でないので,次の副反応③に示すようにCaCO3を熱分解し,必要量のCO2を得ています。
副反応③:CaCO3 → CaO + CO2
●副反応④
さらに,副反応③で生成するCaOに水に加えてCa(OH)2とします。
副反応④:CaO + H2O → Ca(OH)2
●副反応⑤
副反応④で生成したCa(OH)2とNH4Clとを加熱反応させることでNH3を回収し,
主反応①の反応に再利用しています。
副反応⑤:Ca(OH)2 + 2NH4Cl → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O
●全体の反応式
全体の反応式:2NaCl + CaCO3 → CaCl2 + Na2CO3
アンモニアソーダ法は,5段階あり最も厄介な工業的製法ですが,次の系統図を頭に入れて,整理しておさえましょう。

□A12→ ×
☆解説
炭酸ナトリウムNa2CO3は,白色粉末で水によく溶け,その水溶液は加水分解によって比較的強い塩基性を示します。
一方,炭酸水素ナトリウムNaHCO3は,白色粉末で重曹(じゅうそう)ともよばれ,水に少し溶け,その水溶液は加水分解によって弱い塩基性を示します。
炭酸ナトリウムは,アンモニアソーダ法によって大量に作られ,ガラス,セッケン,紙などの製造に,炭酸水素ナトリウムは,胃腸薬,ふくらし粉(ベーキングパウダー),入浴剤などに用いられています。
□A13→ ×
☆解説
炭酸水素ナトリウムは,加熱すると容易に熱分解し炭酸ナトリウムと二酸化炭素を発生します。
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
□A14→ ○
☆解説
炭酸ナトリウムを水溶液中から再結晶を析出させると,炭酸ナトリウム十水和物Na2CO3・10H2Oの結晶が得られます。
このNa2CO3・10H2Oを空気中に放置すると,自然に水和物の一部が失われて,Na2CO3・H2Oの白色粉末になります。
このように水和物が結晶水を失って粉末になる現象を風解といいます。
潮解と風解は混同しやすいので,注意してください。
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周期表の1族に属する元素には,水素H,リチウムLi,ナトリウムNa,カリウムK,ルビジウムRb,セシウムCs,フランシウムFrがあり,水素を除く元素をアルカリ金属とよびます。
アルカリ金属の単体は,いずれも銀白色の光沢をもち,密度が低く,軟らかく,融点が低いという特徴を持ちます。
また,1族の原子は1個の最外殻電子をもち,1個の電子を放出して1価の陽イオンになりやすいため反応性(還元力)が高くなります。
★★★アルカリ金属を学習する上でのポイント★★★
① アルカリ金属の代表であるナトリウムの単体,酸化物,水酸化物, 炭酸水素塩,炭酸塩の性質・反応を整理しておさえる。
② 原子番号の増加に対しての原子半径,密度,融点,イオン化エネルギーの大小傾向とその理由を理解する。
③ 炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの共通点・相違点を比較して覚える。
④ 水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウムの工業的製法は頻出なので,きちんと反応の流れを理解する。
☆それでは,正誤問題に挑戦してみてください。
■Q1
単体のナトリウムは,塩化ナトリウムの融解塩電解によって製造される。○or×
■Q2
一般に,アルカリ金属の原子半径,密度,イオン化エネルギーは原子番号が大きくなるほど大きくなり,融点は,原子番号が大きくなるほど低くなる。→ ○or×
■Q3
アルカリ金属の単体は,乾いた空気中でもすぐに酸化されて,酸化物が生成する。○or×
■Q4
アルカリ金属の単体は,常温の水と反応して水酸化物になり,酸素を発生する。○or×
■Q5
ナトリウムの化合物を,白金線につけてバーナーの外炎に入れると,赤色を示す。○or×
■Q6
アルカリ金属の酸化物は,水と反応して水酸化物になり,酸と反応して塩を生成する。○or×
■Q7
酸化ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,炭酸ナトリウムが生成する。○or×
■Q8
水酸化ナトリウムは,工業的には,炭酸ナトリウム水溶液の電気分解を利用して製造される。○or×
■Q9
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体は,空気中に放置すると,水蒸気を吸収し表面が次第に溶け出す。○or×
■Q10
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体や水溶液は,二酸化炭素とは反応しない。○or×
■Q11
炭酸ナトリウムは,工業的には,水酸化ナトリウムの水溶液にアンモニアと二酸化炭素を吹き込み,炭酸水素ナトリウムの沈殿をつくり,これを集めて加熱することによりつくられる。
■Q12
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムは,いずれも水によく溶け,その水溶液は酸性を示す。
■Q13
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムをそれぞれ加熱すると,いずれも容易に熱分解し,二酸化炭素が発生する。
■Q14
Na2CO3・10H2Oを空気中に放置すると,水和水を失ってNa2CO3・H2Oになる。このような現象を風解という。
以下は解答と解説です。
□A1→ ○
☆解説
アルカリ金属・2族元素の単体は自然界には存在せず,融解塩電解によって得られます。
融解塩電解とは,イオン結合性の化合物を加熱し,融解液(液体)の状態にして電気分解することをいいます。
例えば,陽極に黒鉛C,陰極に鉄Feを用いて塩化ナトリウムNaClを融解して電気分解すると,陰極には単体のナトリウムNaが析出します。
☆融解塩電解を用いる理由
イオン化傾向(下記参照)が水素より大きい金属塩の水溶液を電気分解すると,水溶液中の水素イオンH+の方が電子を受け取ってしまい(水素H2が発生),金属の単体は析出しません。
そこで,水H2O(水素イオン)が存在しない金属化合物の融解液(液体)を電気分解することで,金属イオンの方が電子を受け取ることができ,金属の単体が析出します。
☆イオン化傾向
イオン化傾向とは,金属の単体が水溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする性質で,その順序をイオン化列といい,次のようになります。

□A2→ ×
☆解説
原子半径,密度(一部で逆転),融点についての記述は合っていますが,イオン化エネルギーは原子番号が大きくなる(周期表の下に行く)ほど小さくなります。
☆原子半径
アルカリ金属に限らず,同族間の原子半径は原子番号が大きくなるほど大きくなります。これは,最外殻電子がより外側の電子殻に存在するためです。
☆密度
一般に,アルカリ金属間の密度は原子番号が大きくなるほど大きくなります。(ただし,ナトリウムとカリウムは逆)
リチウム,ナトリウム,カリウムの密度は,水の密度(1.00g/cm3)より小さいため水に浮きます。金属単体中で密度が1.00g/cm3以下となるのは,Li(0.53g/cm3),Na(0.97g/cm3),K(0.86g/cm3)のみです。
☆イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは,一般に原子から1個の電子を取り去って一価の陽イオンにするのに必要なエネルギーをいいます。
同族間では,原子番号が大きいほど,最外殻電子がより外側の電子殻に存在し原子核の正電荷との引力が弱くなるため,イオン化エネルギーは小さくなります。
☆融点
アルカリ金属の1原子あたりの自由電子の数はどれも1個で等しいですが,原子番号が大きいほど,原子半径が大きくなり,単位体積あたりの自由電子の数は相対的に少なくなります。つまり,原子番号が大きくなるほど,金属間の結合が弱くなるため,融点は低くなります。
ちなみに,ナトリウムからセシウムまでの融点は水の沸点(100℃)より低くなります。

□A3→ ○
☆解説
アルカリ金属の単体は,空気中の酸素O2と速やかに反応し,酸化物が生成します。
例えば,ナトリウムは酸素と反応して,酸化ナトリウムNa2Oとなり金属光沢を失います。
4Na + O2 → 2Na2O
金属の単体の空気中での反応は,次のようになります。

□A4→ ×
☆解説
アルカリ金属の単体は,反応性に富むため,常温の水と反応しますが酸素ではなく水素が発生します。
例えば,ナトリウムは水と激しく反応して,水酸化ナトリウムNaOHになり,水素を発生します。
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2
Q3,4のように,アルカリ金属の単体は,常温の水や空気中の酸素と反応しやすい
ため,リチウム,ナトリウム,カリウムは石油中に保存します。
金属の単体と水との反応は,次のようになります。

□A5→ ×
☆解説
赤色ではなく黄色を示します。
アルカリ金属やアルカリ土類金属などの単体や化合物を炎の中に入れると
金属特有の色を示します。この反応を炎色反応といい,アルカリ金属の化合物は,
すべて水に溶け沈殿を作らないため,成分元素の検出には炎色反応を利用します。
アルカリ金属では,リチウム,ナトリウム,カリウムの3つの色を覚えましょう。

□A6→ ○
☆解説
金属元素の酸化物の多くは,水に溶けて塩基性を示したり,酸と反応して塩を生じます。このような酸化物を塩基性酸化物とよんでいます。
アルカリ金属の酸化物は塩基性酸化物で,水と反応して水酸化物となり,その水溶液は強い塩基性を示します。
例えば,酸化ナトリウムNa2Oは水と反応し,水酸化ナトリウムが生成します。
Na2O + H2O → 2NaOH
また,酸との反応では,酸化ナトリウムは塩酸と反応し,塩である塩化ナトリウムが生成します。
Na2O + 2HCl → 2NaCl + H2O
□A7→ ○
☆解説
次のように,白色の炭酸ナトリウムNa2CO3が生成します。
Na2O + CO2 → Na2CO3
アルカリ金属の酸化物の反応は,代表である酸化ナトリウムの次の3つの反応をおさえましょう。

□A8→ ×
☆解説
水酸化ナトリウムNaOHは,工業的には,塩化ナトリウムNaCl水溶液の電気分解を利用して製造されます。
現在主流である陽イオン交換膜法について解説します。
☆陽イオン交換膜法
陽イオン交換膜法では,下図に示すように,電解槽内部が陽イオン交換膜(※1)により,陽極室と陰極室に分けられて陽極室には飽和NaCl水溶液,陰極室に薄いNaOH水溶液(水の場合もある。)を入れています。
※1 陽イオン(Na+)は通過させるが,陰イオン(Cl-,OH-)は通過させない膜

電気分解すると,陽極室ではCl-イオンが減少(塩素Cl2が発生)し,陰極室ではOH-イオンが増加(水素H2が発生)します。すると,その電荷を打ち消すためにNa+イオンが陽極室から陰極室へ陽イオン交換膜を通って移動し,結果として,陰極室にNaOH水溶液が生成します。さらに,これを濃縮すると純度の高いNaOHが得られます。

□A9→ ○
☆解説
固体が空気中の水蒸気を吸収して,その水分に固体が溶けていく現象を潮解と
いいます。潮解性をもつ物質は,次のようになります。
☆潮解性をもつ物質
水酸化ナトリウムNaOH,水酸化カリウムKOH,リン酸H3PO4,
塩化カルシウムCaCl2,塩化マグネシウムMgCl2,塩化鉄(Ⅲ)六水和物FeCl3・ 6H2O
水酸化カリウムKOHは苛性カリ,水酸化ナトリウムNaOHは苛性ソーダとも
よばれ,ともに無色半透明(白色と表記される)の固体です。
水酸化ナトリウムは,紙やセッケンの製造に用いられます。
□A10→ ×
☆解説
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの固体や水溶液は,二酸化炭素を吸収し,炭酸塩や炭酸水素塩を生成します。
例えば,水酸化ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,白色の炭酸ナトリウムNa2CO3が生成します。
2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O
生成した炭酸塩に,さらに二酸化炭素を吸収させると,炭酸水素塩が生成します。
例えば,炭酸ナトリウムは二酸化炭素を吸収し,白色の炭酸水素ナトリウム
NaHCO3が生成します。
Na2CO3 + H2O + CO2 → 2NaHCO3
☆NaOHとKOHの性質
① 無色半透明
② 潮解性をもつ。
③ 加熱しても,熱分解はしない。
④ 水によく溶け,その水溶液は強塩基性を示す。
⑤ 二酸化炭素を吸収し,炭酸塩を生成する。さらに,二酸化炭素を吸収すると炭酸水素塩が生成する。
□A11→ ×
☆解説
水酸化ナトリウム水溶液ではなく,塩化ナトリウムNaClの飽和水溶液です。
この製法をアンモニアソーダ法またはソルベー法といい,天然に豊富に存在する岩塩or海水NaClと石灰岩CaCO3から,炭酸ナトリウムNa2CO3を製造する製法で,
以下の5つの工程からなります。
☆アンモニアソーダ法
●主反応①
NaClの飽和水溶液にアンモニアNH3を十分に吸収させてから,二酸化炭素CO2を吹き込むと溶解度の小さい炭酸水素ナトリウムNaHCO3が沈殿します。
主反応①:NaCl + H2O + NH3 + CO2 → NaHCO3 + NH4Cl
●主反応②
生成したNaHCO3の沈殿をろ別し,これを焼くとNa2CO3が得られます。
主反応②: 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
アンモニアソーダ法が考えられた当時NH3は貴重で,原料をなるべく回収して安く作るために,リサイクル法が考えられました。つまり,これが副反応となります。
●副反応③
主反応②で生成するCO2は,主反応①の反応に再利用されますが,この量だけでは充分でないので,次の副反応③に示すようにCaCO3を熱分解し,必要量のCO2を得ています。
副反応③:CaCO3 → CaO + CO2
●副反応④
さらに,副反応③で生成するCaOに水に加えてCa(OH)2とします。
副反応④:CaO + H2O → Ca(OH)2
●副反応⑤
副反応④で生成したCa(OH)2とNH4Clとを加熱反応させることでNH3を回収し,
主反応①の反応に再利用しています。
副反応⑤:Ca(OH)2 + 2NH4Cl → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O
●全体の反応式
全体の反応式:2NaCl + CaCO3 → CaCl2 + Na2CO3
アンモニアソーダ法は,5段階あり最も厄介な工業的製法ですが,次の系統図を頭に入れて,整理しておさえましょう。

□A12→ ×
☆解説
炭酸ナトリウムNa2CO3は,白色粉末で水によく溶け,その水溶液は加水分解によって比較的強い塩基性を示します。
一方,炭酸水素ナトリウムNaHCO3は,白色粉末で重曹(じゅうそう)ともよばれ,水に少し溶け,その水溶液は加水分解によって弱い塩基性を示します。
炭酸ナトリウムは,アンモニアソーダ法によって大量に作られ,ガラス,セッケン,紙などの製造に,炭酸水素ナトリウムは,胃腸薬,ふくらし粉(ベーキングパウダー),入浴剤などに用いられています。
□A13→ ×
☆解説
炭酸水素ナトリウムは,加熱すると容易に熱分解し炭酸ナトリウムと二酸化炭素を発生します。
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
□A14→ ○
☆解説
炭酸ナトリウムを水溶液中から再結晶を析出させると,炭酸ナトリウム十水和物Na2CO3・10H2Oの結晶が得られます。
このNa2CO3・10H2Oを空気中に放置すると,自然に水和物の一部が失われて,Na2CO3・H2Oの白色粉末になります。
このように水和物が結晶水を失って粉末になる現象を風解といいます。
潮解と風解は混同しやすいので,注意してください。
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