毎朝、PPPDのめまいを感じながらの通勤だ。
クルマの運転で、めまいはさほど気にする事はないが、職場の駐車場に着き、クルマを降りてからの歩きからめまいを意識し始める。
めまいを意識しない時はほとんど無い。
それでも出来るだけ周りの景色や空を見ながら意識しないように歩いている。

職場に着き、タイムカードを押し、いつもの職場の朝が始まる。
自分の部署の部屋に入り、蛍光灯のスイッチを入れると数多くある中の1本の蛍光灯が点滅している。
蛍光灯が切れかかっているのだ。
朝1番に部署の部屋に入る自分が、度々蛍光灯切れに遭遇してしまう。
うわぁ、どうしようか。
以前の自分ならこんな事は思わなかったが、PPPD持ちのめまいがする今の自分には天井の蛍光灯の交換は恐怖だ。
因みに自分は高いところが元々苦手だ。

自分の居る部署には26器具x2本の合計52本の蛍光灯がある。
これだけあれば蛍光灯の交換はしょっちゅうだ。
復職後はめまいを理由に2度他の者に交換をお願いしたが、いつも申し訳ないと感じていた。
今、頼める者は居ない。
切れかかった蛍光灯を見て、今日は自分で交換に挑戦してみようか。
こんな風に考えてしまった。

部屋の隅にある物置部屋から脚立を出して運び、切れかかった蛍光灯の下に設置する。
新しい蛍光灯を準備し天井を見た。
家の天井より断然高い。
確実に高いその場所に脚立で昇るのだ。
幸い蛍光灯の位置はスチール棚がすぐ側にあり、脚立に昇るのも、少し安心材料になった。
このスチール棚が自分で蛍光灯を取り替えようという気持ちを後押しした。
実際、脚立に昇る際もスチール棚が真横にあり、恐怖心は薄らいだ。

脚立もスチール棚も高さは約180cmだ。
用心して脚立に手足を掛け昇る。
切れかかった蛍光灯に手を伸ばし取り外す。
片手に切れかかった蛍光灯を持ち脚立を降りる。
切れかかった蛍光灯を置き、新しい蛍光灯を持ち、脚立を昇る。
スチール棚の上に置かれている段ボール箱の上に新しい蛍光灯を一旦置いた。
両手をフリーにして体勢を整えたかったからだ。
脚立の上から2番目の段に両足で立ち、蛍光灯器具の目の前に来た。
大丈夫だ。
めまいの影響はさほど感じない。
クラッとして落ちそうな事はない。
よしっ、と新しい蛍光灯にてを伸ばすと、その新しい蛍光灯が転がり始めていたのだ。
やべっ、と手を出すも追いつかず、新しい蛍光灯は宙に放たれ、硬い床に激突した。

パリーンと薄いガラスの乾いた割れる音と、弾けるような破裂音が混じった音が静かな部屋を響かせた。

やった、、、、。
はぁー、と目を閉じため息が出た。
それ以上言葉も出ず、時が止まった。
数秒間動けず、それでも脚立を降り、すぐさま後片付けをしようと、ほうきを取りに行った。
無惨に砕け散った新しい蛍光灯を隠したい気持ちだった。
破片と蛍光灯の中の白い粉も一緒にかき集める。
高いところから落ちたもんだから広範囲にガラス片が飛び散っていた。
蛍光灯内の白い粉は綺麗に取れず、床に残ってしまう。
そうこうしていると出社してくる同僚。
普通に掃除をしている風で後片付けをしのいだ。

やっぱり誰かに頼もう。
無理はしないと決めていたのに。

蛍光灯が落ちた原因は、段ボール箱の上に不用意に乗せたのがマズかった。
上部が少し傾斜がついているのに気付けなかった。
この気付けないというのが、グワーンとしためまいと、四分盲の影響で、モノの水平垂直、平行、傾き等、モノ同士の微妙な位置関係がよく解らないのだ。
改めて自分の今の能力では、正しい判断が出来ないことを気付かされた出来事だった。

今後は本当に無理せず他の者にお願いしよう。