担当の理学療法士さは子どもさんの体調不良で急遽休むことがある。
一歳でまだまだおぼつかない時だ。
うちの子もよく熱を出していたのを思い出す。
その代わりの理学療法士さんが自分のリハビリをしてくれる。

ある日代わりの理学療法士さんが来られた。
こんにちは、〇〇です、よろしくお願いします、と明るく挨拶された。
若い、随分と若い。
若いスタッフさんは珍しくない、むしろここの病院は多い。
世間は人手、とりわけ若い人が不足して企業は苦しいと聞くが、ここはそれとは無縁のようだ。
大学を出たばかりかなと思われるようなあどけなさがある。
体調はいかがですか、よかったら散歩に行きましょう、と。
お願いします、と即答し病室を出てすぐのホールで血圧を測ってもらう。
うん、いいですね、いきましょうか、と明るくスタートした。
天気が良く日差しはあるが風が強めの午後だ。
いつもの散歩コースを歩く。
最近は理学療法士さんとのリハビリは散歩が定番だ。
自分のように歩行に難なく体調にも問題がない患者にはこうなのだろう。
色々自分から話をしてくれる方で、途切れることがない。
こちらから年齢を聞くことはしなかったが、話の内容から23、4歳か。
家の事や両親にも触れ、親は自分よりも若かった。
大学時代は柔道や水泳をしていたと言い、やはりこの職種はスポーツ思考の強い方が多いようだ。
柔道の話題には自分も高校時代に格技の授業で3年間やったことの共通点を話した。
柔道向きの少しだけガッチリの理学療法士さんは更に色々話してくれた。
先日、〇〇市のライブハウスにいってマキシマムホルモンていうバンドを観てきたんですよ、と。
自分は初めて聞くその名前に聞き返した。
もの覚えの悪い今の自分に覚えることができるかな、と思いながら頭に入れた。
あとで検索してみよう。
自分もバンドを組んで細々とやっているので、どんなバンドか気になった。
そしてこの理学療法士さんがどんなジャンルを聴いているのか。
ライブではどんなノリですか、と興味が湧き尋ねてみた。
そうすると、こんなふうにして頭を振るんですよ、とすぐ前の人の背中に両手を置いて前後に頭を激しく振る動きを見せてくれた。
えぇー、そうなんですか、と驚かずにはいられない想像もつかない変貌ぶりに驚くばかりであった。
冬の感染症が流行っている中でも、ライブハウスで好きなことに夢中になる若者を見た。
医療機関で働く中でもそうやって発散出来る姿にまた元気をもらった。

病院に戻りリハビリ室で一緒にストレッチに移り、担当の理学療法士さんと同じメニューが書かれているだろうメモを見ながら体を動かした。
他の理学療法士さんもそうだが、大まかなメニューは同じでも、理学療法士さんによりストレッチのレパートリーが違う。
またそれも良い。
自分もストレッチは好きで仕事の日は毎日10分ほどではあるが何年も取り組んでいた。
この度入院することになって専門に勉強された方の指導を受ける事が出来たのは本当に勉強になった。
かなり深く解説してくれる理学療法士さんもおり、これは大変良かった。
中にはスポーツトレーナーになる方もいるだろう。
ずっと勉強です、と言う理学療法士さんもいた。
こんな分厚い教本をかったんですよ、3万円もするんですよ、と10cm近くあろうかという厚みを示しながら笑って教えてくれる作業療法士さんもいた。
自分もここで指導を受けるだけでなく、しっかり吸収しようと思った。
プロの解説付きで体の基本を教わった。