担当の作業療法士さんは常に真剣で一生懸命だ。
自分の左手をとても辛抱強くリハビリしてもらっている。
箸が使えるようになり、更にPCのタイピングができるようにと目標を立ててもらった。

これもステップがあるようで色々な種類のリハビリをしてもらった。
自分の左手を作業療法士さんに預け、マッサージのような施術をしてもらう。
入院以来、ずっと続いているリハビリだ。
以前から気になっていた事を話してみた。
〇〇さん手が冷たいですね、冷え性ですか。
きゃしゃなその指や手で入念に施してくれるその姿勢に、自分が話せる目一杯の感想だった。
そうなんですよ、特に冬は辛いです、と作業療法士さん。
ずっとこうして自分の左手を面倒を見てもらい、随分動くようにしてもらった事に感謝せずにはいられなかった。
退院が決定し、余計にそう考えるようになった。
作業療法士さんの目は自分の左手から離れない。
ちょっと指折りしてみてください、と作業療法士さんも指を動かしながら指示する。
続いて自分もやってみる。
これも長くやっているが、自分では最近は変化を感じない。
薬指の動きが単独で動いてないですね、と私的され、自分も指折りを繰り返し動きを確認した。
本当だ、よく観察されている。
作業療法士さんはリハビリ道具がある収納に行き、なにやら持ってきた。
それはプラスチックで出来たトゲのある玉のようなものだ。
直径は3cmくらいか、シルバーメッキでガンダムに出てくるザクの左肩のようなトゲだ。
恐らくおもちゃか何かだ。
それを自分の手のひらに置き作業療法士さんも手のひらを乗せ、トゲ玉を転がした。
手のひらの小指と薬指のあたりを刺激するように押さえながら転がしている。
痛いですか、と聞かれ、いいえ大丈夫ですよ、と返した。
少しだけ痛いが、痺れに気持ちいい刺激だった。
この施術を3分ほど、4、5日してもらった。
どうですか、と指折りしながら尋ねられ、自分も指折りしてみた。
すると単独で動かなかった薬指が動くようになった。
目の前で起きている事に衝撃が走り、感動した。
すごいですね、と少し大きな声になり驚き喜びを伝えた。
作業療法士さんも大変喜んでくれ、そこで終える事なくトゲを転がした。
自分は涙が溢れ喜びを隠せなかった。
お礼を言い、それでも容赦無く施術は続いた。

こういったリハビリを受け、ノートPCを使ったタイポングに移った。
本当にスポーツにおける一つひとつの反復練習と同じ、闇雲に目的の動きだけをするものではない事を痛感させられた。
さぁ、実際のタイピングはどうか。