外来担当の作業療法士さんが司会進行を勤め、今回の患者会を開催する意義や患者会のルールを話された。
ルールとは、人の話を遮らない、否定しない、というもので、10ヶ月前の患者会でも同じルールを言われた。
どんな時でもとても大事な会話における暗黙のルールだ。

そういえば先ほどエレベータで一緒になった女性の元患者さんが、前回の患者会で、男性の元患者さんの、死にたいと思う時がある、と話し始めて会話の途中で割り込んできた事を強烈に覚えている。
その後女性の元患者さんが自身の事を語り始め、男性の元患者さんが話すのを諦めたような複雑な表情をしたのを忘れられないでいた。
結局、男性の元患者さんはそれ以上話せないまま患者会が終わってしまった。
解散後、男性の元患者さんと心理士さんが真剣な表情で話しているのも特に印象に残っている。
男性の元患者さんは、自分の気持ちを話す事で何か変化があるかもしれないとか、何らか考えての事だったかもしれない。
打ち明ける勇気も必要だっただろう。
自分も最後まで聞きたかった。
自分は人の話を最後まで聞けているだろうか。
今後大事にしていきたい。

外来担当の作業療法士さんは、元患者の一人の男性をみんなに紹介した。
半身が不自由な彼は中学生の時、学校で脳出血になり、救急搬送され、治療、リハビリを経て現在30歳前半だという。
その為、10代の時に出来なかった事を、ゆっくりでも色々挑戦していて、半身麻痺が残る体で、大好きな自転車に乗り始め、競技にも参加しているそうだ。
外来担当の作業療法士さんとの質問形式で話をされ、とても前向きに、現在では念願だった一人暮らしを始めたという。
心が揺れ動くような思いだ。
凄い精神力だ。
自分はこんなふうに生きれるだろうか。
周りの人も言葉に出来ないような雰囲気に会場は静まり返っていた。
ここに居る元患者一人ひとりが、様々な思いでその男性元患者を見ているのではないだろうか。

そんな事を考えていると外来担当の作業療法士さんが、席替えをして、一つのテーブルに一人のスタッフが付くので自由に話をしてもらって下さい、あとケーキを用意しているので、と周知すると会場が一気にざわつき始めた。
外来担当の作業療法士さんは同時に席次を各テーブルに置き始めて、説明しながら誰はどのテーブルで、と指示していった。
自分の席は外来担当の作業療法士さんが座るテーブルだった。
他のテーブルには心理士さんと初めて見るスタッフが2名の計4名でそれぞれのテーブルについた。
そして自分の居るテーブルには、以前1度だけ会ったことのある女性が自分の隣に座ってきた。
それは昨年リハビリ通院している時に一人の女性の患者さんを外来担当の作業療法士さんから紹介されたことがあり、初対面でお互いの状況を話してお互い涙した時の方だった。
脳卒中患者同士の、後遺症に向き合い、どこにもぶつけられない気持ちが溢れ出た瞬間だった。
その女性患者さんと自分がまた話が出来るよう気を利かせてくれた外来担当の作業療法士さんの計らいだった。
久しぶりに再会したことで、自然と笑顔で挨拶と近況を少しだけ話して、すぐに外来担当の作業療法士さんの進行に皆注目した。