ついに入院、手術から丸1年が過ぎた。
とてつもなく早い、あっという間の1年だった。
振り返り、思い出さずにはいられない。
自分の運命が変わった時だ。

妻や次男にも言ってしまう。
1年前の今日、入院したんだよ。
1年前の今日、手術前日だったんだよ。
1年前の今日、手術したんだよ。
毎日のように言うもんだからウザがれた。

仕事中、心の中で思う。
今頃手術直前だ。
今、まさに今手術室に入った。
手術台に横になってペタペタとシートを身体中に貼られていると、、、、、、、。
前触れなく意識は消えた。
無の状態になり、人工心肺を施され、仮に生かされた時間。
胸を心臓を切り開かれても、何も感じない時間。
死に一番近い状態かと思うほど無だった。
夢も見ていない。
全く何もない。

約7、8時間後らしい手術後、まだ人工心肺が付いた状態で妻が自分の反応を見てくれたらしい。
目は空いているが、動きはない。
自分の左側にいた妻は自分の左手を握ったという。
反応はない。
すぐ自分の右側に回り、今度は右手を握ったら、とても強く握り返したという。
反応があり妻は安心したという。

この間だ。
この手術の間に塞栓が飛び、脳梗塞が起きたのだ。
何も訴える事ができない自分は、数時間後まで気づかれないままだった。

何時か分からない。
意識が戻り、目が開いた。
目を開けているのかどうかも一瞬分からない。
目を開けているはずが、何も見えない。
周りで声が聞こえる。
やはり意識はあるが、何も見えない。
真っ暗闇だ。
自分は目を開けているはずだよな。
まばたきの動きも感じられるので目は開いているのは間違いない。
真っ黒かどうかも分からないほど、全く光が無い。
えぇ、自分はどうなっているのか。
自分の様子も見えない。
少し焦り手を動かしてみるが、左手が動かない事に気づいた。
右手は動く事が分かったので、自分に何かが起きている事が瞬時に把握出来た。
目が見えない、左手も動かない。
さっきまで眠っていたのに、一気に目が覚め、周りに訴える事ができた、ような気がする。
これが手術後の最初の記憶だが、現実なのか夢だったのかどうかも定かではない。
せん妄だったかもしれない。
それからしばらく何も記憶がない。
眠っていたのかどうかも分からない。

恐らく翌朝だろう、妻が自分の横にいた。
脳梗塞が起きたのよ、分かる、との問いに、マジで、と驚いた自分。
カーテン越しに日差しが入り、明るい日だったような気がする。
この時の様子を妻はスマホで動画を撮ってくれていた。
目が見えているかどうかを妻の動かす指を追うように指示され、必死で追う自分の姿。
この時の記憶はあり、少しでも見えている事に、とりあえず安堵した。
しかし、この時既に左側の視野を失っている様子が分かる動画が残っていた。
約1年振りに見返した動画だった。
これまで聞いた事や、自分が知らなかった事、妻が体験した出来事を合わせながら話してくれた。
丁度1年前、そんな事が、こんな事が自分や妻に降り掛かっていたのかと改めて振り返れた。

いつでも振り返りは大事だ。
1年前と今の元気な自分を見て思う。
家族、周りの支えてくれた人達に感謝は尽きない。
不自由はあるが、普通の生活が送れること、これがどんなに幸せで尊いことか。