行ってきます、バイバイ。
本当に気をつけてよ、ゆっくりでいいよ。
朝6時50分、自分と妻の7ヶ月ぶりの出勤のやり取りだ。
家を出る時間も忘れてしまうくらいのブランクで身支度のリズムが全く掴めない。
でも早め早めの行動で帳尻を合わせた。
やはりスムーズには進まなかったが、妻のフォローで本当に助かった。

クルマを発車させ、家を出たらいきなりの難所が約1kmある。
ここらは田舎なのでクルマは、そう多くはない。
この後の国道から一気にクルマの混雑に入る。
車間さえ余裕を持っていれば狭い道ではないので難しくはない。
こんな視野でもなんとかなる。
あとは多くのクルマの中の1台になり、流れに乗り、そのまま一緒に進めばいい。
こんな中でも、周りのドライバーに自分が四分盲とバレないようにする自分が居る。
これまであまり運転して来なかったが、恐る恐るでもなんとか無事に会社の駐車場に着いた。

朝から容赦なく太陽が照りつける暑い駐車場には陰が全く無い。
眩しい。
初日からこれは辛い。
もう8月も終盤にさしかかろうというのに。

会社に着き、1番に会社の人に挨拶しに行った。
色々あったが、素直に復職のお礼と挨拶を伝えた。
ここでは特に込み入った話はなく、何事も無かったかのように穏やかに時は過ぎた。
いや、むしろ過去の出来事に触れないよう、お互い様子を伺っているかのように無駄口がない。
手短に挨拶を済ませ、今度は他の従業員のみんなに挨拶をしに回った。
定時より30分早い時間で、まだ出社していない人もいるが、この時間居る人は、早く出社するのは以前と変わりないようだ。

始業時間前の朝礼の時間だ。
部署の全員が集まり7ヶ月ぶりに揃う。
7ヶ月前と全く変わらない室内の様子、メンバー、進行で進み、会社の人から自分の復職について話しがあり、自分に挨拶を振られた。

みんなとは約2ヶ月半前に会社に来た時に会って話をしている。
その時に自分の状態をざっくり話しており、事情は知っている。
ただ、バラバラに話したので、言った事、言ってない事があったはずだ。
仕事をするうえでせめて現状報告として改めて最低限の事は言っておいた方がいいと思い、左手の麻痺と四分盲の話をした。
とは言え、自分はこんな後遺症があるので大目に見て下さいよ、という意味にはならないよう、過度に主張する内容にならないよう配慮したつもりだ。
あくまで現状報告だけの内容だ。
そしてこの挨拶以降はこれ以上あまり言うつもりもない。
言ったところで、どうにもならないからだ。
相手に理解できる事もない。
復職したからには、他の人と同じ土俵で仕事をしなければならない。
と思って挨拶したが、これから先どうなるかは自分でも分からない。
とても以前と同じペースで仕事が出来るとは思えないし、自分でも説明出来ない後頭部の疲労感がどれくらいになるのか全く分からない。
それと自分は産業保健総合支援センターの支援を受けて復職出来た事、復職するだけでなく続けていく事が大事と言われたエピソードを話した。
この話題は自分なりの、あるメッセージを込めたつもりだった。
こうして自身の現状と、会社の人へのお礼を改めて伝え挨拶を終えた。
あと、めまいの事には一切触れずにいた。
こうして3分ほどの挨拶を終え、朝礼も終わった。