自分の外来リハビリの日。
勤め先に復職のお願いをして10日ほどが経過した。
何か動きはあったのか、情報があるか。

外来担当の作業療法士さんから、さんぽセンターの〇〇さんから、会社から連絡があり、〇〇さんが会社へ伺ったみたいですよ、と教えてくれた。
自分は大変驚き、そうなんですか、〇〇さんが会社にわざわざ行かれたんですか。
産業保健総合支援センターの方が自分の勤め先の距離、交通事情を考えたら、大変な事で、自分一人の為に動いてもらった事がとても申し訳ない気持ちになった。
あと、会社が早々に産業保健総合支援センターに連絡してくれた事への驚きだった。
聞くところによると、復職に関し会社から病院へのやりとりする書類の書き方について不明な点を聞いたようだ。
これを聞き、自分は逆の意味でまた驚いた。
自分が復職出来る可能性がある事を。
自分が復職を望んでも、それに応じてもらえるかどうかは全く未知数だったからだ。
自分は可能性が低いと感じていたので、余計に驚いた。
いや、まだ復職出来るとは決めつけては時期尚早だ。
外来の作業療法士さんは、まだ会社からは何も届いてないんですけど、もう少し待ちましょう、と。

復職の光が見えたところで、次は自分の課題だ。
では、高次脳機能障害の有無をみるテストをしていきましょう、と。
これは脳梗塞後の自分のいくつかの感じ方が、どうも変だと訴えており、妻も障害認定がもらえるものなのか、と考えたからだ。
外来担当の作業療法士さんに相談し、今回のテストとなった。
が、自分はこのテストに全くノリ気がない。
前にも書いたが、自分を見透かされるようで嫌いだ。
要するに自信がないのだ。
でもテストとは、どのジャンルでもそうだ。
良い事も悪い事も、ありのままを客観視する為のもので、その為にはテストはどうしても必要な事だ。
気持ちは渋々、外来担当の作業療法士さんと2人で小部屋に移動した。
妻は待合で待つ事に。
テストは40分程度かかるという。

テストが始まった。

A4くらいのカードに図形がつを見せられ、次に同じ形の図形を似たような複数の図形の中から同じと思う1つを選択する。
最初は簡単だが、枚数を追うごとに複雑になり難しくなる。

1、次は4と。2つ飛ばしで数字を言う。
4、7、10、13、16、19、22、と。

いくつかのテストで、もう頭の中は白くなってきた。

いくつ目のテストだろうか、次のテストで終わった。
物語を読み上げるので、出来るだけ記憶し、後で覚えている事を言っていく記憶力のテスト。
トラックが走って事故で車輪が外れるという内容。
ここまでは何とか耐えたが、次の物語で完全に真っ白になった。
聞いている冒頭から全く聞く事が出来なくなり、頭を抱えてしまった。
物語を読み終え、記憶の限り話そうとしても何も出てこなかった。
コンピュータで言うメモリが足りない状態だ。
次々に入ってくる情報に、書き込みが追いつかない感じで、頭がフリーズしたような感覚だ。
自分は大変落ち込み、病気前と今の状態の違いにに言葉も出なかった。
もちろん、病気前がどうだったかは知る由もないが。
とにかくここから何も聞く事が出来なくなり、テストは途中で中止となった。
テストが始まって15分くらいの時点の事だった。

外来担当の作業療法士さんは色んな患者さんの例を挙げて多くの人が障害や後遺症と戦っている話をしてくれた。
話を聴きながら、一次記憶が出来なかった状態がとても不思議で、呆然とするしかなく、頭の回転が途中から全く追いつかないような状況に、今後仕事をしていけるのだろうか、と更に落ち込んだ。
余った時間も立ち直れず、塞ぎ込む自分。
小部屋を出て妻と合流し、途中で出来なくなったんですよー。と外来担当の作業療法士さん。
また出来る時にしましょうか、と軽く言ってくれ、自分も以降、さらっと忘れる事が出来た。