最近の母は自分で自分を抑えられない感じだ。
内側から湧いて出るように感情が溢れ、家族にぶつける。
言葉の暴力に、時には身体への暴力も。
この日は家族が出勤時間に事件は起きた。
玄関で母が手がつけられない状態になっており、子どものように泣いたり、怒ったり。
自分は自宅療養中だが、他の家族は出勤や通学時間だ。
どうにもこうにも出来なくなり、地域包括支援センターに電話して、担当の方がすぐに来てくれることになった。
5分ほどで担当の女性が来てくれ、母を宥めてくれた。
家族以外の人には大人しくなる母。
が、まだ取り乱している。
病院へ行こう、と地域包括支援センターの担当者。
家族も随分前から病院へ連れて行く事に手を焼いており、どうしても行けなかった。
母本人の強い拒絶が病院への第1歩が踏み出せなかった。
引きずって連れて行くわけにもいかず。
でも今日は家族も出勤を諦め、勤め先に欠勤の連絡を既に入れている。
このまま母を置いて出勤出来ない状態だと思ったからだ。
今日しかない。
今しかない。
病院へ連れて行こう。
家族は決断した。
受け入れ先の病院はどこだ。
地域包括支援センターの方とも話し、探したところ、どうもこの地域には3つの受け入れられる病院があり、今は市外の病院らしい。
聞くところによると、2ヶ月毎に救急の受け入れる病院が替わるらしいのだ。
自宅からクルマで1時間はかかる病院だ。
別の病院なら、1つは30分、もう1つは2時間はかかる。
1時間なら我慢するしかない。
家族の意見は一致し、母を病院に連れ出した。
連れ出しには地域包括支援センターの方のおかげで、母は拒む事なく、すんなり聞き入れた様子だった。
よし、行こう。
心臓の鼓動が強く感じられる。
母も心配だが自分の心臓は大丈夫か。