自動車学校に行く日が来た。
朝から体調が乱れないよう、変な動きをしないよう心がけた。
自分が運転について一番心配なのは視野の欠けと、めまいだ。
めまいは日によって感じ方が大きく違う。
その影響か、視野にもしんどさが伝わるような感覚がある。
頭を大きく動かしたり、頭を下げたりすると強いめまいに襲われる。
同時に視野の欠けを大きく感じるようになる。
運転中にこういった事が無いように祈るばかりだ。

午後3時から始めるので、受付等があるので2時半には行くように伝えられていた。
この日は妻は13時で仕事を終え、13時半には帰宅する。
速やかに出かけられるよう準備を整えた。
今のところめまいは特に強くはない。
普通の強さのめまいだ。
このまま行ってほしい。

とても天気の良い日だ。
雨だと不安要素が増えるばかりだ。
時間通り妻と出かけ、時間通り自動車学校に着いた。
自宅から10分ほどと近く、しかも自分が通った自動車学校だ。
懐かしい。
駐車場も当時と変わりなく、自分が妻を案内した。
コースをゆっくり走るクルマを横に自動車学校の受付に向かった。

受付の人に自分の名前、ここに来た経緯を簡単に話し、今日の予約を確認してもらった。
間違いなく自分の予約は病院から入っており、書類に記入するよう言われた。
これだ。
これも不安事の一つだ。
書類を読み、字を書く事。
視野の欠けが大きく影響し、手元の文字が狭い範囲でしか認識出来ないのだ。
でも書くしかない。
椅子に座り、妻にも横に座ってもらった。
自分は文字を指で追い、今どこを読んでいるかを妻に伝えながら記入を始めた。
その中で数桁の数字を記入する枠があり、そこの書き始めたが、左端1枠飛ばして書き始めてしまった。
自分の視野は視点を中心に左下とほんの少し右が見えない。
特に文字を読み、理解するのが時間がかかってしまうし、見落としも多い。
最初の1枠を飛ばしたもんだから、当然おしりが合わない。
瞬時に落ち込んでしまう。
受付の人に事情を伝えると、書き直していいですよ、と優しく言ってくれた。
ここも色々と事情のある人が来るのだろう。
こんな後遺症があるのは自分だけではないのだと思った。
少し時間がかかったが、何とか書類に記入出来た。
あとは時間まで待合で待つよう言われた。

待合は年配の方が多い。
様子を見ていると、どうも免許更新の為の高齢者講習のようだ。
今の日本の抱える問題を見た気がした。
自分も運転に支障がないか、適正かどうかを見られるのだ。
若い人は2人しか居なかった。
それは仕方ないか。
平日の3時前だ。
順番に年配の方の運転が回ってきては交代している。
見ていると運転するクルマはセダンタイプだ。
やはり教習車と言えばセダンで、昔から変わらない。
セダンタイプは何となく運転しにくい。
クランクとかは、ちょっといやだな、と思っていた。
マトモな視野ならなんて事はないのだが。
この待っている間も目の周りをマッサージしてコンディションを整える事に専念した。

待つ事20分ほどか。
名前を呼ばれ、いよいよ出番だ。