いよいよ自動車学校に行っての路上運転が目前だ。
外来リハビリでのドライブシミュレータも、これで最後となるか。

外来担当の作業療法士さんといつものリハビリ室の小部屋に入る。
この環境にも随分慣れてきて、すっかり要領を得たような気がする。
なので前回の机やモニタの位置などが微妙に動いているのが分かるようになった。
自分以外にもこのシミュレータを使っているのだろう。
ここには多くの患者さんを抱えているのが分かるが、自分のように運転再開を目指す人はどれくらい居るのだろう。

じゃ、始めまーす、の声でいつものようにスタートした。
コンパクトカーなのに太いエンジン音に違和感がある。
いつものように発車から注意し、いつものように道中のトラップにも注意する。
もうすっかり慣れてしまった。
ついチカラが入ってしまうペダルを踏む脚も、今では楽な感じで操作出来ている。
ペダルを遠くに押しやる事もなくなった。
注意する位置や、タイミングも毎回同じだからだ。
自分が若い時にゲームをしていたような感覚だ。
クルマや人の動きがランダムではなく、全く同じ動きだ。
ランダムとは出来なくても、せめて数パターンあってもいいのではと思ってしまうのは自分だけだろうか。
でもこれも多様な人が使うものだ。
同じシーンで注意する事を繰り返して覚えてもらう事も大事かもしれない。
それにしてもシミュレータとはいえ、ゲーム感の強い代物だが、年配の方は苦労するのではないだろうか。
特に女性なら、この感覚はなかなか難しいものだろう。
でもやるしかないのだ。

最後のシミュレータが終わった。
これで自分は実車に乗り、コースや街中を走るのだ。
運転しない期間も、こんなに長いのは初めての事で、自分でも実際どうなるか想像が出来ない。
事故なく終わればいいが。
外来担当の作業療法士さんも、気をつけて頑張ってきてください、と送り出してくれた。