外来リハビリは今回からドライブシミュレータで街中を走る。
これまでの基礎練習のようなモードを乗り越えて、ここまできた。
リハビリでゲームが出来ると思うとワクワクする。
男性なら多くの人がワクワクすると思うのだが。

シミュレータが設置されている別室に案内され、ステアリングを前に座る。
妻もすぐ後ろで座って見ている。
興味が湧くのかどうか。
女性には響くのかどうか分からない。

指示に従い、アクセルオンでスタートする。
街中の道路脇に停車しているクルマを発車させる。
早速すぐに事故が発生。
みなさんやるんですよ、ここで、と外来担当の作業療法士さんが嬉しそうに話す。
実際の運転と同じく、ウインカーを出して後ろからクルマが来ていないかサイドミラーで確認してから出てください、とアドバイスしてくれた。
それはそうだ。
これはゲームではない。
シミュレータだ。
しかしスタートからぶつかる設定のタイミングでクルマが来ているのが悪意を感じる。
ここはサイドミラーで右後ろから来るクルマを行かせてから道路に入るようになっている。
もう2度と同じミスはしないぞ。
こういうのは毎回同じなのはお見通しだ。
ほら、同じクルマが同じタイミングで通り過ぎた。
よし、発車だ。
大通りを走るが、なんとも見えにくい。
視野の欠けもそうだが、グラフィックがイマイチだ。
なんとも奥行き感のない絵で距離感が掴めない。
遠くにあるものやクルマは、ただ小さいだけの見せ方だ。
ピクセルも目につき、マイクラのようで綺麗なグラフィックとは言えない。
これまでの準備運動のようなモードでは出てこなかった風景だ。
でもそれは言ってはいけない。
これはドライブシミュレータだ。
横断歩道を渡る自転車。
これはじっくり待ち事故なくやり過ごした。
細い路地から見通しが悪い道へ出る際の自転車を一時停止で行かせる。
横断歩道の歩行者は歩行者優先で一旦停止し、お先にどうぞ。
信号機のない本線への合流もなんとかこなした。
左に路駐したクルマを避け、右に車線変更し、これも無事クリア。
上り坂を登り切ったところで病院の駐車場へ駐車。
これで大体のコースだ。
何かあるところには必ずトラップがあるようなプログラムだ。
基本に忠実に行けば無事クリア出来る内容だ。
変な事をすると必ず事故が待っている。
ここは自動車学校に行ったつもりで走るのが鉄則だ。

おぼつかない運転だったのは、視野の影響が強い。
やはり見えづらく、先に何かあるのではと不安がある。
外来担当の作業療法士さんに頭の疲れを訴えた。
そうすると、作業療法士さんは自分の頭を持ち、こめかみをやや強く押さえてくれた。
自分でも具体的にどこが疲れているのかが分からない。
眼の疲れとも違い、頭の疲れとも言えない。
これがよりめまいのような症状を強くする。
結構疲れる。
この調子だとクルマの運転は一体どうなってしまうのか。