妻の運転するクルマで初めての外来リハビリに向かう。
自分は仕事で外に出ない業務なので、平日の昼間の町の様子はとても新鮮に映る。
夕方前の時間だが、結構交通量は多い。
一体、みんな何をしているのだろう。
仕事をしている人、用事の人、遊んでいる人、色々居るだろう。
一人取り残されたような感覚。
仕事復帰もいつになるのやら、辞める事になるのか。
そんな事を考えながら助手席に座るだけの自分は、一人ではどこにも行けない弱気な中年になっていた。
しかし気持ちの半分はリハビリを楽しみにしている自分が居る。
自分をここまで元気にしてもらった病院に好感を持っているのだろう。
特にスタッフさんの仕事っぷりに治してもらった部分が多い。
またあの病院にお世話になるのだ。

そうこう考えているうちに病院に着いた。
1時間弱かかる道のりだ。
初めての外来受付を済ませ、受付番号と診察券を入れたものを首に掛けた。
外来患者はこうするのか。
そしてエレベータで上の階へ行き、リハビリ病棟へ移動した。
こうして自分で移動すると建物の構造が今になって把握出来た。
そんなに難しくはない。
そして行き慣れたリハビリ室だ。
入院患者と外来患者はリハビリ室の入り口が違う。
ここで患者を分けている感じだ。
だが、中は同じ空間だ。
リハビリ室には入ってすぐ外来患者の受付がある。
入院中には来なかった場所だ。
受付の人にも一切関わらなかった方達だ。
ここに受付表を出し、検温する。
そして医師の診察を受けた後、リハビリに入る流れと説明があった。
すぐさま診察室に呼ばれ、入った。
医師に、退院後どうですか、と尋ねられ、あれこれ自分の状状態を伝えたが、じゃリハビリへ、と。
初めての外来リハビリでの診察は一瞬で終わった。
恐らく医師が診たというカタチだけのものだ。
診察室から出て待合で待つ。
この席には誰も居ない、自分だけだ。
妻と一緒に座って待った。
めまいでクラクラする。
天井の照明が非常に眩しい。
自分は辛さを紛らわすため、目を閉じて待った。
そして少し離れたところから自分を呼ぶ声が。
〇〇さーん、こっちへ。
あの人だ。
循環器の病院に入院中、外出してここに来て診察を受け、リハビリ室を紹介してくれた人だ。
ショートカットが特徴で忘れもしない。
入院中はほとんど会う事はなく、この方は外来専門の担当なんだと理解した。
あの時と違い明るい雰囲気がある。
一体どんな外来リハビリになるのやら。