こちらの病院のスタッフさんには本当によくしていただいている。
誰一人いい加減な人は自分の周りにはいない。
例えば自分が10代の時に怪我や病気をしてリハビリを受けるような事になっていたら、と想像すると、恐らく何らかリハビリに関わる仕事も考えただろうと思えるほど良い印象だ。
こんな人たちのようになりたい、そう思わせてもらえるスタッフさんたちだ。
もちろん見えないところでは大変なご苦労があるのだろう。
勉強も常に必要だろう。
一人ひとりの患者さんに対応するのは難しいことだろう。
そう思うと自分はできるだけスタッフさんに迷惑にならないよう心がけた。
どう思われてもいい、手のかからない患者でいたいと常に思った。
スタッフと患者、対人間だ。
いい関係でいたい。
自分の医療行為にもかかわるだろう。

本当に多くの方にリハビリに関わってもらっている。
自分の担当の方3名以外にも、ざっくり20名近くはリハビリを受けた。
言語聴覚士の方は少し人数が少ない印象だ。
みなさんとても若く女性が多い。

ある言語聴覚士の女性は新卒くらいかなというほどの若さだ。
聞けば親御さんは自分よりも若かった。
いつも笑顔を絶やさず、とても優しく対応してもらった。
ある知能テストをしてもらったが、自分の視野の問題で正しく見えない状況で時間がかかっても、イライラせず終始笑顔で接してくれた。
自分にはこの仕事は無理だなと思えるほど辛抱強いと思った。
あの笑顔は忘れられない。

別の言語聴覚士さんも、これまた若い。
自分で勝手に困ってしまうよなキュートな女性だ。
しかもとても丁寧に指導してくれる。
もたつく自分を優しくサポートしてくれた。

作業療法士さんはとても多くのスタッフさんがいる。
とても名前まで覚えきれないくらいだ。
みなさんそれぞれ個性があり、印象深いリハビリをしてもらった。
一人男性の方が指導された小さいバットやボールを使ったリハビリだ。
小さな木製バットを持ち、枕のようなクッションを叩く。
肩、肘、手首全体を使い、いい音を鳴らせるように叩く。
リハビリ室にパーン、パーンと音が響く。
ちょっと爽快だった。
この方は学生時代に野球をやっていたという。
道理で。
次は砂が入ったトレーニング用のボールを使い、真上に投げる。
そのボールを手首を上から下に動かしながらキャッチする。
トレーニングボールはソフトボールより大きく、ゴム毬のようにゴツく柔らかさがある。
500g、1kgと適度な重さだ。
このボールをテーブルに落とすとドスーンと結構な音がする。
これを落とさないよう、うまくキャッチする。
握力と手首の強さが必要だ。
あとは動体視力か。
自分は見えにくい視野でなんとか頑張った。
とても楽しく雑談をしながら指導された。
就職したての何も分からない時の先輩看護士からのイヤミを執拗に言われた体験談も笑いながらだった。

別の女性作業療法士さんは粘土を使い麻痺のある左手で転がしてのばしたり、ちぎったり、丸めたり。
この時はめた手袋が、はめるのにとても難しかった。
麻痺した左手指が、どの指がどこに入っているのか分からずとても戸惑った。
指の麻痺と痺れが、こんなにも影響するとは思わなかった。
この方が自分に尋ねてきた。
麻痺ってどんな感じなんですか、と。
自分は、一度手を切り落としてまたくっつけた感じで自分の手じゃないみたいです、と応えた。
へー、そうなんですね、私たちも解らないんで、と作業療法士さん。
少しベテランの域に入っている感じのかわいらしい方だった。

理学療法士さんはさらに多い印象だ。
もう溢れている。
とても名前は覚えきれない。
印象深い方しか覚えられない。
思ったのは、みなさん活発な感じで、スポーツ好きだと。
高校まで部活等で運動部に励み、大学でもその道に進んだのではと。
体育系の匂いが伝わってくる会話が多く、ポジティブだ。
そんな理学療法士さんに引っ張ってもらうように自分は着いて行った。
全身を使ったストレッチや運動、時には筋トレ。
まるでスポーツジムのそれに近いような明るさで鼓舞してくれた。
本当に体の仕組みをよく勉強されており、納得させられる解説をしてもらいながらのリハビリはとても楽しいものだった。
いい仕事だな、と思わせてくれる、そんなスタッフさんたちばかりだった。
逆に、陰では苦労されているのかな、とも思わされるくらい真っ直ぐな方たちだった。

色んなスタッフさん、とてもとても、ここに書ききれない。
目まぐるしく入れ替わるスタッフさんに、とても追いつけない。
また後日書こう。

自分は人見知りだが、それを忘れてしまうほどに話が弾み、楽しく有意義な時間だった。
リハビリを楽しくしてくれる、そんなここの病院が好きになっていた。
入院当初、抱いていたマイナスなイメージ、不貞腐れていた自分はほぼ消えていた。
自分も頑張るぞ。