痛い・・・

痛い・・・・・・

胸が痛い。

 

痛みで眠っているのか起きているのかもよく分からない。

こんなに痛い思いをしたのは生まれて初めてだ。

胸全体が痛い。

胸を刃物で切り刻まれたような痛みが走っていた。

ほんの10センチくらいしか切っていないはずだが、とんでもない痛みで顔が歪む。

眉間にシワを寄せ痛みに耐える時間が永遠に続いた。

痛みで体を動かす事も出来ないし、頭も動かせない。

一体自分の胸はどうなっているのか見たくても見れなかった。

見るのも怖い痛みでもあり、胸元を見る為に頭を浮かす事もできない。

とにかくどうなっているのかが全く分からない。

痛みで目を開けるのもっしんどい。

まぶた越しに天井の明るさが体にこたえる。

24時間照らされる照明の眩しさと胸の痛みで目を強くつむり、まぶたが小刻みに震えているのが永遠に続いた。

時折、うーっとうなったりもした。

寝返りもできないままで次第に身体全体、特に背中も痛み出した。

しんどい。

こんなにもしんどいとは。

こうして今思い返しても二度と受けたくないと思えるほどの手術だ。

なんとか目を開けても無機質な天井とカーテンしか見えない。

聞こえてくるのは自分が繋がれているバイタルモニタの音が永遠に鳴り響く。

とにかく何もかもが永遠だ。

繋がっている管も多数ある。

痛みでも動けないが、繋がっている管で縛り付けられている感覚だ。

左手首にはがっちり管が貼り付けっれている。

指には酸素飽和度の危機が付いている。

助けてほしい。

ここから解き放ってほしい。

逃げ出したい。

妻に迎えにきてほしい。

そうだ、妻は看護士で必要な物品を揃えて家で診てくれるはずだ。

今にでも迎えに来て無理やりでも連れて帰ってくれるに違いない。

こんな無茶苦茶な事を何時間も数日考えていた。

これも痛みによる影響が訳の分からない発想を生み出していた。

まだ妻は来ない。

いつ来るのか。

正常ではない思考が頭を駆け回った。

コロナ禍の制限でしばら来ることができないのは理解できる状態ではなかった。

今が何時で何日なのか。

午前なのか午後なのか。

何もかもがさっぱりであった。

麻痺してしまった左手と視野が異常な目の状態を気にする余裕は全くなかった。

看護士さんがチェックに来られても数日は会話出来る状態ではなかった。

この耐え難い痛みを受け止めてくれるものがない現実も確かなものとは思えないほどの痛みであった。