それにしても喉の痛みが強い。

1週間以上痛かった。

あんな太い物を喉を無理やり押し込んで通したのだろう。

起きていたらとてじゃない無理である。

胃カメラが可愛く思える程である。

 

数日後の検査結果。

院長先生の報告を受ける。

PC画面に映し出された心臓の画像。

とても鮮明でわかりやすく色が付けられている。

こんなに細部まで3D映像に出来るものなのかと。

心臓だけではなく陰部横を通って心臓に続く太い血管から、手術に関わる全てのデータを合わせ説明してもらった。

確かに僧帽弁が機能しておらず血液が逆流し、その影響で肺に血液が溜まり心臓も肥大化している。

もう他の臓器にも悪影響がはっきり出てきている。

が、心臓そのものの働きは抜群に良く、血圧、コレステロール等は問題なく非常に良い状態。

手術も比較的に安心して臨めると言ってもらった。

心臓の働きが悪い人は胸の真ん中を切り開き心臓の負担を少しでも軽くして手術するそうだが、自分の場合は右乳首付近を数センチ切ってのやり方が可能という。

胸の真ん中を切り開くやり方では退院まで約3ヶ月かかるといい、術後は長い間耐え難い痛みとの戦いと聞いた。

心臓を一時的に止め、その間、人工心肺装置で血液や酸素を体に送り生命を維持させるという。

心臓を止めて弁の形成手術には切れた糸のような部分をゴアテックスの糸で

乳首付近のやり方だと集中治療室に1週間、一般病棟に1週間で約2週間で退院の見込みという。

ただ開けてみて弁の整形が上手くいかないと判断される場合は人工弁を入れるという。

その場合、弁は豚か牛の弁が使われるという。

しかもこの場合、数年から15年程度の耐久性というのだ。

先生は言う。術後、二年でダメになったひとが居たと。

それは勘弁してほしい。

もしそうなったら、また手術なのか。

こちらに選択できるわけではない。

全ては開いてみての先生の判断だ。

祈るのみである。

しかも心臓を止める時間は5時間くらいの予定。

またその心臓はちゃんと再起動すのか。

自分は1回死ぬのか。

そんな事を考えながら平然と話す先生を信じるしかない、体を全てを預けるしかないと言い聞かせた。

やはり自分ごととはとても思えない。

正に他人事として聞くしかなかった。