いよいよ手術に向けての検査の日である。

当日は麻酔から覚めてのクルマの運転はしないよう言われており、公共機関で病院へ向かった。

受付後、問診を済ませ検査の為のフロアへ移動。

まずはCTだ。スタッフの方から色々説明を受ける。

造影剤やニトロについて。

初めてのニトロである。

撮影中動くと上手く画像がつくれないので動かないように注意された。

と言われても心臓の変な動きはどうしようもできない。

その心臓の大きな動きを抑えるのがニトロらしいのだ。

さあ、これから撮影だ。

一気に緊張感が走る。

どうしたって気持ちが高まる。

若い看護士さんが優しくニトロを口に入れてくれた。

すぐにCTが稼動する。

その時、よりによって心臓が嫌な大きなグワッとした動きをする。

うわぁっと思いながら撮影に入った。

撮り直しは出来ないと説明されていたのでヤバいと思った。

撮影後スタッフの一人に、、心臓が動いてしまいました。大丈夫ですかね?とたずねると、

そのスタッフはとても優しく笑顔で、大丈夫ですよ、と。

すぐ横のガラス張りの部屋でスタッフの方が話し合っている。

マズい。

やはりダメに違いない。

何分経っただろう。

スタッフがまたもや優しく、お疲れ様でした。と。

撮影は大丈夫だったのだ。

とてもホッとした。

この安堵感。

でもまだ次がある。

経食道心臓エコーが。

 

スタッフに案内され別の部屋へ。

移動ベッドに横になり検査室へ移動。

移動には大勢の人が居る待合を通った。

多くの人が見る中、検査室にはいった。

一人、また一人とスタッフが入ってくる。

その中になにやら危機がぶら下がっているツリーを持ってきた。

それか、それが例の経食道心臓エコーか。

ビニール袋に入っているそれはとても大きい機器であった。

胃カメラをした機器とは全く違い大きく別物である。

そんなものが口には入っても喉を通るもんかと。

おい、勘弁してくれ。

既に腕に繋がれた管から麻酔が入るのだろう。

眠っている間に入れるんだろう。

そう思うようにして楽観視した。

経食道心臓エコー検査だ。

スタッフが機器を俺に向けてきた。

特に説明も何もない。

口を開けてー、と。

言われるまま口を開ける。

機器を入れられた。

ゴクっとしてー、と。

オエェっと激しい喉の反応。

おいおい待ってくれ、それは入らんよ。

眠るんじゃないのか。

次の瞬間から・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

何時間眠ったのだろう。

気がつくと横に妻が居た。

検査からずっと対応してくれたスタッフも居た。

そう、経食道心臓エコー検査は終わっていたのだ。

あれ以上苦しい思いをしなくて済んだ。

二人とも優しく声をかけてくれ、また安堵した。

麻酔から醒めた感覚はなにやら不思議な感覚だ。

正気では無い。

喉が痛い。

初めてのこの痛み。

あの太い経食道心臓エコーが通った痛みだ。

それにしても変な感覚だ。正気を保とうと戦っている自分がいる。

頭のネジが数本飛んでいるような感じだ。

帰りはよく覚えていない。

帰ってまた2時間くらい眠った。