始まりは全てはこの時の動悸からだった。

 

 

それは2022年の夏。

仕事中に止まらない体験したことのない数時間に及ぶ動悸。

10分20分ではない。休まることのない心臓の強い鼓動に明らかな異常を感じた。

焦りから恐怖に変わり、これは病院に行かなければと思えたほど。

同僚にバセドー病を持っている者がおり、色々アドバイスを聞き、とりあえず甲状腺内科を受診しようとその日の夕方自宅から近いくりにっくへ行った。

検査後、先生からは甲状腺に異常はないと。

心臓内科を紹介するので紹介状を持ってここに行くよう手渡された。

心臓内科を勧められるとは思ってもいなかった。

もちろん、甲状腺も同様だが。

帰宅し妻に流れを報告し、日紹介された心臓内科を受診することにした。

 

初めての心臓内科。心電図と心臓エコーをしてもらう。

心臓エコーをしてもらう間もどんな異常があるのか無いのか。

担当のスタッフさんも当然仕事なのでとても淡々と黙々としている。

何事も無いかのように。

診察を待つ間、この後告げられる病気の事など全く予想できていない。

ただ普通に待っているだけだった。

名前を呼ばれ診察室に入った。

覚えているのはモニタに映し出された自分の心臓のエコー映像だ。

赤と青の色がつけられた血液の流れが示されている。

画面の右側、つまり心臓の左、左心房と左心室の血液のながれだ。

先生は言う。

僧帽弁閉鎖不全症と言い、いわゆる心臓弁膜症だ。血液が逆流している。僧帽弁が機能しておらず、一方通行の流れが逆流している、と。

弁の働き、今後の生活、経過観察と話をされたが、あまりきちんと記憶できていない。