その電話は、余りにも突然だった。

先週末から何も食事を摂らず、摂取したのは水分のみ。
歩行はおろか、自力で立ち上がることすら出来ない程の衰弱。
安静時においてすら、乱れ続ける呼吸音。

掛かり付けの病院は週末休診で、診察を受けられたのは月曜になってから。
様子を一目見た医師は、付き添いで来ていた母を鋭く一喝した。『今まで何をしていたんですか!?手遅れになったらどうするんですか!?』と。

素人目にも判るほど衰弱し切った身体。
最早支え無しでは自重を支え切れない程にまでなっていた。

直ぐさま診察及び治療が開始された。

月曜。体温は39.8℃。解熱剤注射などの処置をし、尿検査や血液検査も同時に行った。

火曜。体温は39.6℃。注射の効果は無かった。しかし、経過観察の意味もあり、やはり解熱剤注射などの処置を行った。

水曜。体温は39.4℃。やはり注射による効果は無かった。母がこれ以上仕事を休めないため、解熱剤や抗生物質などの飲み薬をもらって帰宅。以降は二日間自宅療養となった。

私が連絡をもらったのは日曜と水曜。
日曜は前述した『食事を摂らないことについて』。話を聞いた上で、ここで受診の指示をした。
そして水曜は『病院での診断結果や各検査結果について』。ここでは詳細な検査(精密検査)及び入院の指示をした。

水曜に母から聞いた検査結果は、凄惨を極めた。

尿検査では、尿中に様々な栄養分や血液成分などが漏出していて、これらは腎臓機能の衰退が示唆された。
血液検査では、赤血球成分の値が低く貧血の疑いがあり、一方で白血球数が異常に高い値を示していた。これらから、造血系機能の減弱も示唆された。
また、聴診器による拍動の確認も行われたが、“異常”の一言だった。(心音から推察するに、心臓内の左右を隔てる弁が弱り、明確に機能していないことが考えられた)
更に、(恐らく血液検査の結果から)、臓器の炎症が懸念され、先生によれば、胆嚢と十二指腸の接続部位が疑われた。(この部位は付近に膵臓が位置しているため、そちらにまで炎症が拡大している恐れも考えられた)

※以上は先生から診断・検査結果を説明された母の記憶であり、実際の説明とは必ずしも一致しない可能性があることを断っておく

それらの話から、私は精密検査や入院の必要性を考慮し、『入院させて精密検査を受けさせ、原因を究明すべきだ。例え、僅かでも治る可能性がそこにあるならば・・・』と指示を出した。



それが、昨日。

話では、入院は金曜になるはずだった。

だが、今日になり、事態は一変した。



昨日の夜から今朝にかけて、嘔吐2回。

明らかな、急変。

母は、昼から休むはずだった仕事を朝から休むことにし、朝一番に病院に駆け込んだ。

病院に着くなり、母は診察室に通された。
患者の様子を注意深く診察しながら、先生はもう何度目か分からない“入院勧告”をした。
予め入院させるかどうか昨晩話し合いをしておいたため、母は先生に『息子と話し合い、入院させることに決めました』と小さく、しかしはっきりと伝えた。
その母と私の決意に、先生は真剣な眼をしながら、静かに快諾してくれた。

早速レントゲンを撮る。

そこには、更に信じられない結果が写っていた。

先生も唸る程に肥大した、肝臓。
テキストと見比べると、その差は歴然としていた。
通常の2倍以上に膨れ上がった肝臓が、肋骨に接触するところにまで迫っていた。
更に、肝臓だけでなく、膵臓までが通常よりも肥大していた。

レントゲン写真は、今回の事態がどれ程深刻なものなのかを、克明に写し出していた。



とりあえず、入院しながら治療を24時間体制で行ってもらえるようになったらしいので、暫くは母も先生も様子見の状態が続くでしょう。



まだ死ぬには早過ぎる。

まだ、何もしてあげれてないのに



生きて、欲しいと

思います。