計算では、別に制度趣旨とか押さえる必要はないかもしれないが、①消費税の性格上馴染まないもの、②社会政策的配慮の2点だけでも頭にぶち込んでおこう。
1.土地の譲渡・貸付け
土地は、宇宙規模でいえば、消費の対象となるかもしれないが、地球規模では、土地は消費するのではなく、その譲渡は資本の移転にすぎないと考えるのが自然である。と勝手に解釈してます。
☆土地の範囲
①土地
宅地と一体として譲渡される庭木、石垣、庭園その他これらに類するものを含むとされる。
※土地と切り離して譲渡することができないもの
②土地の上に存する権利
・土地の使用収益に関する権利であり、具体的には、借地権、地上権等をいう。
※借地権について、実務をやるまであまりイメージできなかったが、土地は借地、その上に自己所有の建物を建設した場合に、その土地の上に存する権利が発生するって感じ。
貸借対照表上は、建物と借地権が計上され、その借地権付きで建物を譲渡する場合の借地権の譲渡・貸付は非課税だと言っているのである。
この場合における借地権の貸付けは非課税とされるが、建物と借地権の貸付けは、たとえば事務所としての貸付けであれば、建物と借地権の賃貸料の合計額が4%となるので注意。
・借地権に係る更新料、更改料、名義書換料→非課税
③立木その他独立して取引の対象となる土地の定着物の譲渡
つまり、その土地から切り離して譲渡できるものは4%だって意味。
④鉱業権、土地を目的とした抵当権の譲渡・貸付
ここでいう土地目的の抵当権の譲渡・貸付は、土地の使用収益に関する権利に該当せず、4%課税取引となる。
国税庁HPにおいて理由が記載されているが、よくわからないので、とりあえず、土地目的の抵当権の譲渡・貸付は4%と押さえる。
国税庁HPより引用:
抵当権は、被担保債権が弁済されなかった場合に、その目的物を処分することにより、その物の価格から優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権であり、抵当権者は目的物について、その交換価値を把握するに過ぎず、その目的物の使用収益権は、依然として抵当権を設定した者が有します。
⑤土地の売買及び賃貸借に係る仲介手数料
⑥整地に伴い収受する土地造成費
※⑤、⑥共に課税取引となる。
2.土地の貸付けに関する留意点
①貸付期間が契約により1月未満の場合は4%
貸付期間の判断は、あくまで契約書ベースで判断する。
契約上、1月での契約となっているれば、非課税。
②建物、駐車場、野球場、テニスコートなど施設としての貸付け
更地でなく、施設設備が整った状態の土地の貸付けは4%。
※フェンス、区画等の整備を有せず、かつ、車輛の管理をしていない場合の駐車場としての貸付けは、非課税でOK。
※駐車場用地としての貸付けも非課税
土地を駐車場を経営する事業者に対して貸付ける場合
③契約により、土地部分と建物部分とを区別して契約を起こった場合の建物の貸付対価
その合計額を事務所使用だったら4%、居住用だったら非課税とする。
※問題にて、「事務所の賃貸料に関し、契約において賃貸料を敷地部分○○円、建物部分××円に明確に区分」といかにもな感じで出題されるが、関係無し。その全額が4%計上しなければならない。
④電柱の敷設のための土地の貸付け
見た感じ、簡単な問題なのだが、いざ問題で出題されると間違いやすい項目です。
・当社が土地所有者で、電柱敷設のために土地を貸し付ける場合
これは土地の貸付けであり、非課税である。
・電柱に広告を貼り付けてその広告料を収受する場合
これは完全に広告料という役務提供となり、課税売上となる。
※こうやって区別してみると簡単なのだが、いざ問題ででると思い込みで間違うことが多い。
3.有価証券及び支払い手段などの譲渡
有価証券及び支払い手段などは、本来、消費の対象となるものではなく、資本の移転であると考えられることから、非課税規定が設けられている。
※ちなみにここで争点となるのは、「譲渡」であり、その「貸付け」は後述の利子を対価とする金銭の貸付けに該当するので注意
☆支払い手段
・銀行券、政府紙幣、硬貨
・小切手、為替手形、郵便為替、信用状
・約束手形
・電子マネー
これらは非課税とされるが、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等に含めないので、注意が必要。
☆有価証券その他これに類するもの譲渡
①国債、地方債証券
②社債券
③株券
④受益証券
⑤コマーシャルペーパー
⑥抵当証券
⑦譲渡性預金証書(外国人発行)
⑧証券などの発行がない有価証券
(登録国債その他一定の者)
上記までが課税売上割合の計算上、5%相当額を計上する。
⑨合同会社の社員の持分
⑩譲渡性預金証書(居住者が発行)
⑪貸付金
⑫売掛金
上記は原則的には、課税売上割合の計算上、譲渡対価を計上とするが、資産の譲渡等の対価として取得した者の譲渡の場合には、割合計算に関係させない項目もあるので注意。
☆株式の取扱い
パターン1
①国内株式
②株式の所在場所は国内
③取引の区分は譲渡
②により、国内取引課税対象、③により5%相当額を計上、証券会社に支払う手数料の課税仕入の分類は非のみ対応。
パターン2
①外国上場で日本株式
②株式の所在場所は国内
③取引区分は譲渡
②により国内取引課税対象、③により5%相当額を計上、証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、非のみ対応。
パターン3
①国内上場で外国株式
②株式の所在場所は国外
③取引区分は譲渡
②により、国外取引課税対象外、証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、課のみ対応。
パターン4
①外国上場で日本株式
②証券の発行がない株式
③譲渡
④譲渡者は内国法人
②により、有価証券の所在場所が明らかでないため、譲渡者の事務所等により内外判定を行う。従って、国内取引課税対象、譲渡対価は5%相当額。
○株式の信用取引とは
証券会社から株式を借り受けてそれを譲渡するケースがある。借り受けたといっても、実際に株式を譲渡していれば、有価証券の譲渡となり、通常どおり、5%相当額を計上することとなる。
※ここでの注意点は、売買手数料の中で、信用取引貸株料といった手数料が含まれている場合があるが、これは、利息であるため、非課税仕入れとなり、仕入税額控除できない。
☆債券の取扱い
パターン1
①債務者は居住者
②債券を国内で起債
③所在場所は国内
④債券に係る利子又は償還差益
利子又は償還差益の収受は、
④事務所等判定により、国内取引課税対象
①により、債務者が居住者であるため、非課税
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は非のみ対応
パターン2
①債務者は居住者
②債券を国内で記載
③所在場所は国内
④債券の譲渡
債券の譲渡対価の収受は、
②により国内取引課税対象
④により有価証券等の譲渡に該当し、非課税
⑤課税売上割合の計算上は、5%相当額を分母計上
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は非のみ対応
パターン3
①債務者は非居住者
②債券を国内で起債
③所在場所は国内
④利子又は償還差益
利子又は償還差益の収受は、
④事務所等判定により、国内取引課税対象
①により、債務者が非居住者であるため、非課税資産の譲渡等で輸出取引等に該当するものに該当するため、利子又は償還差益の収受は、みなし輸出計上。
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、課のみとなる。
パターン4
①債務者は非居住者
②債券を国内で起債
③所在場所は国内
④債券の譲渡
債券の譲渡については、
②により、国内取引課税対象
④債券の譲渡は、有価証券等の譲渡に該当し、非課税
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、非のみとなる。
パターン5
①債務者は居住者
②債券を国外で起債
③所在場所は国外
④利子又は償還差益
利子又は償還差益の収受は、
④事務所等判定により、国内取引課税対象
①、④利子を対価とする金銭の貸付けで債務者は居住者であるため、非課税
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は非のみ
パターン6
①債務者は居住者
②債券を国外で起債
③所在場所は国外
④債券の譲渡
債券の譲渡対価の収受は、
②により、国外取引課税対象外
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、課のみ
パターン7
①債務者は非居住者
②債券を国外で起債
③所在場所は国外
④利子又は償還差益
利子又は償還差益の収受は、
④事務所等判定により、国内取引課税対象
①④により、利子を対価とする金銭の貸付けで非居住者に対して行われるものに該当し、非課税資産の譲渡等で非居住者に対して行われるものとなるため、みなし輸出となる。
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は、課のみ
パターン8
①債務者は非居住者
②債券を国外で起債
③所在場所は国外
④債券の譲渡
債券の譲渡対価の収受は、
②債券の所在場所判定により、国外取引課税対象外
証券会社に支払う手数料の課税仕入れの分類は課のみ
☆有価証券及び支払い手段であっても課税取引とされるもの
①船荷証券、貨物引換証、倉庫証券の譲渡、ゴルフ場利用株式の譲渡
②有価証券の売買手数料
③コイン店等で販売する記念硬貨などの譲渡
非課税の項目は結構なボリュームがあるので、次回非課税②に続きます。