1.購入により取得した場合の取扱い

 

 有形固定資産を購入によって取得した場合には、購入代価に付随費用を加算した価額をもって取得原価とする。ただし、重要性の乏しい付随費用は取得原価に加算しないことができる(←簡便な処理)。また、値引や割戻しがあった場合、直接控除する。

 

☆現金割引

 有形固定資産を購入により取得し、現金割引が生じた場合には、購入代価から直接控除する。これに対し、棚卸資産を購入により取得し、現金割引が生じた場合には、営業外収益に仕入割引として取り扱う。

 

2.自家建設により取得した場合の取扱い

 

 有形固定資産を自家建設により取得した場合には、適正な原価計算基準に従って算定された価額をもって取得原価とする。また、自家建設に要する借入資本の利子で、稼動前の期間に属するものは取得原価に算入することも認められる。

 

☆借入資本の利子は会計理論上は財務費用であり、原価性が否定されるため原則としてこれを取得原価に算入してはならない。ただし、借入資本が当該工事のみに使用されている場合には、費用収益対応の見地により、稼動後の期間の収益に対応させるため、稼動前の期間に限り取得原価に算入することも認められる。

 

3.現物出資

 有形固定資産を現物出資により取得した場合には、当該出資者に対して交付された株式の発行価額をもって取得原価とする。

 

☆理論上、現物出資時における公正な時価が当該資産の将来の経済的便益としてあらわれるため、時価をもって取得原価とすべきであるが、交付株式の発行価額が現物出資された資産の評価額と等しいことを前提として、交付株式の発行価額をもって取得原価としている。

 

4.交換

 

(1)有形固定資産との交換

 有形固定資産を有形固定資産との交換によって取得した場合には、交換に供された自己資産の適正な簿価をもって取得原価とする。

 

☆これは同種資産における本来の等価交換取引からは損益は生じないと考えられ、当初の投下資本が交換後も機能し続けるもの(投資の継続性)としてみるため、交換に供された自己資産の適正な簿価をもって取得原価とする。

 

(2)有価証券との交換

 有形固定資産を、自己所有の株式、社債等との交換により取得した場合には、当該集計固定資産の①時価又は②適正な簿価をもって取得原価とする。

 

①時価とする理由

 

  これは売却取引と購入取引との複合取引であり、実質は売買取引であるとみなし、損益が生じるものと考えるため、当該有形固定資産の時価をもって取得原価とする。

 

②適正な簿価とする理由

 有価証券は、取得後に時価が大きく変動しなければ、簿価と時価が近い価額なので、当該有価証券の簿価を取得原価とすることも認められている。(←保守的)

 

4.贈与

 有形固定資産を、贈与その他無償で取得したばあには、時価等を基準とした公正な評価額をもって取得原価とする。

 

☆無償取得資産であっても、将来の経済的便益を有する限り、資産計上すべきであるため、時価等を基準とした公正な評価額を持って取得原価とする。