僕、守屋 明人十六歳は今日、二年間好きだった子に告白したいんですが・・・
「おい、守屋行けよ」
 近藤 聡、僕の友達。今、前にその子が歩いている。
「無理・無理・無理」
 明人は、首を横に振って回れ右をした。
「出たな、無理屋」
 明人は、何でも無理無理言っているため、無理屋になった。
「お前が、今日告白するって言ったんだろ」
「うん・・・」
「なら、行けって・・・ってああああ!」
 聡がいきなり立ち上がり女の子に指差した
「ど、どうしたの!?」
「お前がぐだぐだ言ってたら、あの子俺達のクラスの伊藤に連れて行かれたじゃねーか!」
「ええええ!?」
「追うぞ!」
「うん」

「やっと追い着いた・・・」
 やっと追い着いたその場所は、今は使われていない教室だった。
「なんだ・・・?」
 聡がドアから覗いているが、明人は壁によしかかって耳だけ澄ましている。
「あ、あの・・・」
 伊藤 昌史、明人のクラスメイト。
「何?伊藤君?」
 内村 沙紀、明人の好きな人でクラスメイト。
「好きです!」
(ええええええ!?)
 聡が心で悲鳴を上げた。
(駄目だ・・・伊藤君には僕は勝てない)
 昌史は、顔も良く頭も良いのでクラスの女子から高評価。
「・・・」
(無理だ・・・!)
 空気が静まりかえると沙紀が口を開けた。
「ごめんなさい」
(え・・・?)
 明人は、中を驚きの表情で覗いた。
「・・・なんで?」
 伊藤が変な表情で固まった。
「私ね、ある人からの告白を待ってるの」
「ある人・・・?」
「うん。だからごめんね」
 沙紀が二コリと笑った。
「い、良いんだよ別にーー!」
 と叫びながら伊藤が飛び出して行った。勢いがありすぎて明人達に気付かなかったらしい。
(誰だろ・・・沙紀ちゃんの告白わ待ってる人って・・・)
「おい、守屋」
 小声で聡が話掛けてきた。
「何?」
「もしかして、お前かもよ?」
「ないない」
「良いから行け」
 聡が明人を無理矢理中に押し入れた。
「あ・・・」
 沙紀は、驚きの表情を見せて笑顔になった。
「どうしたの?守屋君」
 明人は、沙紀の優しい笑顔に吸い込まれる様に
「好きです・・・」
 と言った。
「・・・守屋君」
「はいっ!」
 明人の心臓がもの凄い速さで脈打っている。
「ありがとう。やっと告白してくれた」
 沙紀が満面の笑みを明人に見せた。
(ああ、神様・・・ありがとうございます)
 無理屋がこの時初めて守屋になりました。


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