「客主~商売の神~」
主人公のボンサムが大金89万両を稼ぐには、
どうすればよいかをシン・ソクチュに問いかける。
「小金を稼ぐ才覚はありますが、
大金には触ったこともありません。
どうすれば大金が稼げますか」
するとソクチュが意外にもしっかり答えてくれる。
金を稼ぐ前に、
金のにおいをかぎつける力を持て。
どこに金が流れるか、
それを見極める目が必要だ。
そして金を見たら、迷わずつかみ取れ。
もうひとつ、
金で遊ぶすべを覚えねばならぬ。
金で遊ぶことを知らず金に弄ばれる者は、
決して大金を稼げぬ。
困難なことをしろ。
人が敬遠することをするのだ。
さすれば、大金を手にできる。
ありきたりの物には、誰もが押し寄せ、
利を奪い合う。
他の者たちが恐れて手が出せないことをしろ。
必至になれば必ず成功する。
命がけでやってみろ。
ボンサムは、
必ずや成功すると言って礼をした。
と、その後、
いきさつを聞いていた奥方が、
ソクチュを寛容だと言って称えると、
ソクチュはこう答える。
向上心に燃える者は止められぬ。
気乗りせずとも、学ぶ者を追い払うのは、
道理に反する。
昔から、
“大金の上には死神がいる”
という。
大金を前にすれば、冷静さを失うものだ。
こつを知っただけで
金儲けできるとは限らぬ。
「客主~商売の神~」 シン・ソクチュ