少し絵について、語ってみようと思います。
僕の絵に黒が多いのは何てことはない、何の色にも染まらない色だからです。
そして一番人間の黒い部分を描くには最適な色だからということもあります。
僕は綺麗なものを描きたいわけではないから黒が必然的に多くなる。
見た目の美しさなんていうのは見せかけだと思うから。
見た目が幾ら綺麗だとしても、人の心の中で渦巻いているのは決して「綺麗」なものじゃない。
純粋な思いを抱く人もいれば、どす黒い思いを抱く人もいる。
僕の中で綺麗なものは「繊細」なもの。
見た目が美しいのではなく、今にも壊れそうなものが綺麗だと感じる。
だから繊細なものは美しいと思います。
しかし僕の絵が繊細なのかといえば絶対違うと思う。
僕の絵には繊細さは一つもない。
ただ、闇だけが存在する絵です。
無垢な思いに惹かれることもあるけれど、混濁した思いの複雑さの方が好きだったりします。
だからこそ、感じるままに絵を描こうとします。
「疵-キズ-」という絵はそのまま僕の心情が出てる絵です。
重たい思いにこそ宿るものがあります。
それを追求していけたら嬉しいなとも思います。