今回は安価な中華イヤホンでは現時点で抜きん出て話題に上ることの多いKZのZSTとXaomiのPro HDの音質比較をしてみます。
両機に共通しているのはドライバー構成がハイブリッド(ZSTが1BA1DD、ProHDが1BA2DD構成)であること、そして3,000円未満という非常に安価で入手できるという点(僕の場合ZSTが1,500円、ProHDが2,700円程度、共にAliexpressで個人輸入)が挙げられます。
ハイブリッド構成の機種がこの価格、音を聴かずとも価格破壊ですね。
今回の試聴にはiPhoneは使用せず、これまた安価で入手できた200GBのmicroSDにタップリと落とし込んだDSD音源を中心に聴いてみます。
アニソンオーディオという雑誌に付録としてついてきたDSD音源、Suaraの「不安定な神様」という曲を聴きます。
環境はShanling M1をトラポ、DACにmojo、アンプはNational+を使用します。
まずはZSTから。
イヤーピースはコンプライTsシリーズ。
ここ数日の鳴らし込みでかなりこなれてきた感じです。高域の痛さはすっかり無くなり音場はより広がって聴こえます。
低音については重低音よりもミッドローの量感が豊かでバスドラはタイトで弾むように鳴り、音圧も強く非常に「ノリ」良く聴かせるタイプ。
今回のようなアップテンポな楽曲には非常によく合います。
加えて前述のように音場が広めで各楽器の分離も良好、主役となる女性ヴォーカルは中央に定位しとても近くに聴こえます。
どっしりと腰の据わった鳴りではあるものの、厚みのあるサウンドというよりは抜けよく軽快に鳴らすタイプで鈍重さとは無縁、非常に僕好みです。
続いてProHD。
先ほどのZSTと同じボリューム位置だと音量がかなり小さめになるので少し上げる。
本機が抵抗値が32Ωで音圧感度98dB、ZSTが抵抗値18Ωで音圧感度108dBとのことで、ZSTと比べるとかなり鳴らしにくい機体です。スマホ直差しだとかなりボリュームを上げる必要があるかもしれませんね。
その鳴らしにくさ故の恩恵か、ZSTの後に続いて聴くと一聴してSN感の高さが際立つ。
そしてクリアさも優秀で付帯音が感じられない。
ZSTに比べノリや圧、低音の量感が控えめなため今回のようなアップテンポな楽曲では少々楽しさに欠けるきらいがありますが、よくよく聴き込んでみると各楽器の分離や細部ディテールの表現力などは優秀だと感じたZSTをさらに凌駕している。
ProHDを聴くとZSTについては粗さというか、楽しく聴かせるための味付けが強い機種なのだと感じされられます。
音場感については立体感はあまり無く横にはそこそこ広めに聴こえます。LRのセパレーションが強めに感じられます。
主役となる女性ヴォーカルは各楽器と同程度の一歩引いた距離感で聴こえます。
ZSTと比べ重心がやや腰高に感じられるものの、良く言われる高域の刺さりについてはフォームタイプのイヤーピースを使用することでかなり軽減できますし、本機についても長時間の鳴らし込みでかなりスッキリと聴きやすいサウンドに変化したように感じます。
低音はタイトで量感こそ控えめながらも、沈み込みはZSTよりも深く、ワイドレンジな鳴りが楽しめるあたり、パッケージにハイレゾ対応を謳うのも納得です。
今回試聴に使用したDSD音源の空気感、特に自然な音の立ち上がりと消え入る際の余韻が素晴らしく滑らかで、ハイレゾ音源を存分に楽しむために「ハイレゾ対応」機器を選ぶ動機になりうることを強く感じさせられた次第です。こんな値段の機器でも大いに実感できますね。
改めて今回2機種を聴き比べてみましたが、こと音質については完全にProHDに軍配があがります。
余計な演出を排し細部の描写に重きを置いたチューニングはモニターライクというか、過大評価かもしれませんがヘッドホンで言うところのT1に近いものを感じます。
鳴らしにくさや全体としてのエネルギーバランスも非常にT1的ですね。
しかしながら個人的には圧倒的にZST推しです!
初期ロットでは散々なサウンドでしたが、現行機については、よくぞこの価格でこれだけの音に仕上げてきたな!と素直に思います。
どのようなジャンルの楽曲であっても、楽しく聴かせるこのチューン、人によっては演出過多と取られるかもしれないですが、僕はこんな演出なら全くもってウェルカム!な訳です。
といってもZIRCONほど音質よりもドンシャリ演出に振り切った(良い意味で)フザケた機種ではなく、あくまで一定の基礎体力を有しつつヤンチャな一面も垣間見せるあたりがとっても魅力的なのです。
結論としては、どちらを買っても価格以上の価値はあります。
真面目で冷静で大人なProHD、ヤンチャな遊び心でもてなし上手なZST、お好みでどうぞ!
迷うぐらいならどちらもいっちゃいましょう、安いし!
そして2BA2DD構成となるZS5への期待が否が応でも高まってしまいますね!
先日の各セラーの値下げ合戦は見ものでした!
僕はTwitterでの宣伝上手な某セラーにメッセージを送り、銀ケーブル付きを$25まで下げて頂きました。
到着が楽しみですね!