(あのような女は初めてだった……何故か…いつの間にか惹かれてしまっていた。)


表情には殆ど出さない男は神子であるあの少女を思い浮かべる。
華奢で手折られてしまいそうな儚げな姿。
だが、2つの世界を守りたいと宣言する少女の瞳と意志は固く、変わらぬ決意に守るだけではなく、肩を並べて歩みたいと男自身は願うようになってしまった。

(不思議なものだ。かつては刃を向けてしまっていたのだがな。)


いつも笑顔で他の八葉と接している少女。
白龍の神子として怨霊を封印している。だが最近は顔色が悪く、すぐにでも倒れてしまいそうな雰囲気だった。

ある日……

(蓮水……?あれは!?)


ゆきの消えそうな手を見た瞬間……ゆきの元へ走り出していた。
そして、ゆきを離しまいと後ろから抱きしめていた。


「高杉さん…?」
「いつからだ……?まさか!?時空を越える事でか……?」


言い当てられ、ゆきは少し目を閉じ、頷く。そして、決心をしたように言葉を紡ぐ。

「ふふ……いつかは分かってしまうと思ってました。でも私はまだ果たせていない。」

(消えそうな手……救うために命を削り果たそうとしている……かつての俺も志の為に。だが、俺はこの手の中の愛しい温もりを失いたくない!)


「だからだろう…な。俺もお前を見てから、思い知らされた……。」


「え……?」


(今までの俺は長州の為、仲間の為、国の為に動いてきた……。)

初めての想い……戸惑い……恋しい……愛しい。高杉自身が人を恋しく思う気持ちを封印してきたつもりでいた。


(高杉さん……高杉さんの気持ちが温かい。でも何故か悲しい気持ちも溢れ出てくる。)



明日になれば、また八葉と神子の役目が始まる。

(でももう少しだけ………。)

(もう少しだけ……心地よい春風に包まれていたい……。)