「ばかあっ!!」

バチーーーーンッ !!
誰かがものすごく思いっきり殴り、誰かが思 いっきり痛々そうなそんなシーン・

「の、望美!?お、おい!!」

「九郎さんのばかああああああああああ!(大絶叫)」

何でこんなところから始まったんでしょうか………?


些細なところから始まったんでしょうか?それ とも望美ちゃんの気持ちに気づかなかった鈍い 九郎さんへの罰なんでしょうか(←ひ どっ!!) 現代に帰ってきて恋人どうしになっても、たま にケンカをする二人。まあすぐに仲直りするのだが……。

「望美!待て!おい待てって!」



「お、おい望美!」

しかし、「待て」と言われて待つ望美ちゃんで はありません。
泣きながら走り去る望美ちゃん。その後を追う九郎さん。 どこかのドラマの撮影のような雰囲気をかもしだしている。
例えれば青春ドラマ系かもしれない………。


「望美!!」
「や、やだ!!離してよ!!」
「落ち着けよ!!」

望美ちゃんはものすごい勢いで速く走っていた のに、すぐに追いついた九郎さん。

「望美、すまなかった!!」

「すまんで済むなら警察いりません!」

以前あっちの世界の鎌倉での二の舞なのでしょうか…? でも望美ちゃんは本気でカンカンです。

原因といいますとデートの時間に遅れるだけな ら、まだいいのです。
遅れた原因は九郎さんが女の人の集団に囲まれていたのです。
九郎さんは必死にその中から出ようと思っていたのだが、なかなか出られませんでした………。
九郎さんは女の人につかまれたりしていて、なかなか抜け出せません。当然女の人達は九郎を掴んで離さない・

そんなところをなかなか待ち合わせの時間に来ない九郎さんを探そうとした望美ちゃんが見たものは………そう女の人につかまれてなかなか抜け出せな かった九郎さんでした。
それだけならまだ望美も許すのでしょうが…… 女の人達の一人が九郎の頬にキスし始めたんです………。 その後九郎さんは望美ちゃんの姿を見て、走り去る望美ちゃんを追いかけたのだ。

「本当にすまない……。」
「とんでもなくヤキモチやきだよね 私……。」
「でもこ、これは俺が」
「いいの、九郎さん嘘つくのうまくないのはわかっているの。ただね……。」

「もういい、何も言わなくていいんだ望美。」

結局仲直りしましたが、これからもこんなこと は起こりそうな気がします。

オルゴールが鳴っている……。

透き通るように……。

「わあ!可愛いオルゴール!キレイなメロディー!」

「おるごーる?めろでぃー?」

「あ、オルゴールというのは音楽のなる小箱 で、メロディーは音色という意味なんです。」

望美の言葉にクエスチョンマークを掲げていた 九郎に、望美は説明する。望美の世界にやって きた九郎にとっては何もかもがはじめてだっ た。今日はこちらにきてから初めてのデート だった。望美の案内で今日はいろいろな場所に 行くことになった。まずは可愛い雑貨屋さんに 入る。そして、

「あ、ごめんなさいはしゃいでしまって…私が九郎さんをこっちの鎌倉に案内してあげなきゃならないのに。」

「いや、お前が以前話してくれたこの世界でお前が教えてくれるもの全てが新鮮で……それに嬉しいんだ。」



隣で笑っている九郎を見ている望美はほっとする。 望美のそばにいれることだけでも嬉しいと感じ ている九郎だったが、望美が話してくれる新たなものが得れることがあるということがもっと 嬉しく感じている。

「望美、どうした?」

「え……?」

九郎はその可愛いオルゴールにくぎ付けになっていた望美を見て、聞いてみた。
望美はその言葉に戸惑い、返事に迷っていた。 欲しいけど、素直に「うん」とは言えずにいた。


(どうしよう喜んでもらいたいのに、私ったらはしゃいで、九 郎さんに気を使わせて…駄目だなあ……あ、ダメダメ湿めっぽくなっちゃう!いつもどおりにしてなくちゃ。)

「ううん、可愛いなあって思っちゃったけど、 いいの。ごめんなさい九郎さん。さ、次に行きましょ。」

何でもないように笑顔を作る望美。動揺はとい うと隠せない状態と言ってもいいくらい。 九郎が何かを言う前に望美が手をひいて、お店を出てしまった。

「次は喫茶店に行きましょう。」

「望美、その前にちょっとここで待っててくれないか。 すぐに戻る。」

「えっ?」

「大丈夫だ。すぐに戻る。心配するな。」

そう言って九郎は行ってしまった。一人残され た望美はあ然となったが、九郎に言われたとおり、待つ。
その間にどうしても悩んでしまう・

せっかくのデートなのに…

「すまない、待たせたな。行こうか。」

「あ、はい。」

「あとで七里ヶ浜に行こうか。」

「えっ!?あ、はい!」

喫茶店を出た後、七里ヶ浜に向かう。九郎がど うして七里ヶ浜に行こうかと言ってくれたの か、望美にはわからなかった。だが、九郎がそ う言ってくれたことが嬉しかった。

「やっと笑ってくれたな。」

「あ……。」

「あとな……。」

九郎は革ジャンのポケットから小包を取り出 す。

「これをお前に。」

小包をあけると先ほどのキレイな音色を奏でる可愛らしいオルゴールだった。
望美は一瞬驚いた顔をするが、嬉しくなった望美は九郎に抱きつく。
九郎は望美の行為に真っ赤になるが、望美の抱擁に答える。

「九郎さん嬉しい。ありがとう。」

「いつもお前に教えてもらってばかりだからな。それにお前への贈り物をしたかった。」

オルゴールのタイトルは「夢で逢えた事」

「九郎さんの髪ってどうしてそんなに長い の?」

戦のない休日に望美からの突然のその一言。九郎は一瞬黙るが、

「願かけだ。」

頭にクエスチョンマークをかかげた望美。でも それは一瞬のことだった。

「願いごとがあるっていうことですか?もしかして戦が終わるまで関係があることですよ ね?」

「ああ、兄上の願いをかなえるために。」

ふふ、と望美は微笑む。

「でも九郎さんの髪…地面
に ついちゃうかも……。」

「かもな……」

自分も長いけど、九郎の髪は自分以上に長いのだ。 それにくるくるの巻き髪ヘアーなのだ。パーマよりすごい。
昔の人は自分の願いを叶えるためにのばしていたということは聞いたことがあるが、まさか本当に身近にいるとは思ってもみない。
まして、 望美の世界では九郎ほど、長い髪の男はいない。

「髪の長い男はめずらしいか?」

「はい、だって将臣くんや譲くんも短いし、長くても肩につくくらいの人なら、たまに見かけたかなくらいだったから。あ、でも九郎さん似合ってますよ。それに願いごとがあるのはいい事だと思いますよ。」

「望美の髪は綺麗だな。」

九郎の言葉に望美は真っ赤になる。その様子を 見て、言った九郎も顔を真っ赤にする。

「ふふ、言った本人はその瞬間だけ自覚がないのに、望美ちゃんがあの様子になったら………。」

「ふふ、お2人が似ているから、余計に可愛らしいと僕は思いますよ。」

その陰で微笑ましく見守っていたのは、景時と 弁慶だった。

「望美。」

「は、はい。」

「髪に触れていいか……?」

(ど、どうしよう…答えに困る……)

(こ、こういう場合はどう言えばいいのだろうか……?望美の髪は本当に綺麗だ。)

「お、俺たちはここで去った方がいいか
・・も」

「そうですね、でも万が一見つかったときは九郎をからかう材料にはなりますね。ふふ。」

(九郎さんの髪って長いけど、綺麗だなって 言ったら、怒られるかも)

(望美の髪に触れたとき、抱きしめたいと思ってしまった)

「また今度な。」

「え?」

「な、何でもない!」

「何ですか?何を考えていたのですか!?」
「だから、何でもない!」

「ふふ。」

何気なく照れたり、笑ったり、髪のことで話し ていたそんな休日。
何故か心落ち着く・

そのような感じがした・

いや、むしろ癒されるというような感じだっ た。

元の世界に戻ってきたある日、望美が九郎の今 の自宅に来て、初めてこちらの曲というものを 九郎に教えた。といっても望美が好きなアー ティストの曲ばかりなのだが・

でも九郎は何も言わず、静かに聴いていた。あ と詞入りではないのだが、望美は九郎に一番聴 かせてあげたい曲があった。 それを最後に聴かせてあげたいと思った。今九 郎が聴いている曲は望美自身が初めて聴いたと きに元気が出たという曲。 でも九郎に一番聴かせてあげたい曲はまた違う 意味で望美が好きな曲・

「へえ、

というもので分けられているんだ

ル』

な・・・。」

あちらでは宴などで和歌を詠んだりすることが 習慣であった。 もちろんジャンルという言葉も存在しなかった 為、九郎も最初はちょっと驚いてはいた。

「ふふ、

の。」 「ロック?バラード?」 「ロックやバラードは外の国、つまり外国から 伝わってきた曲なの。そこから今はいろいろな 楽曲なども作られているの。 曲と詞が合わさって、アーティストがいて成り 立っているの。私はラルクや浜崎あゆみの曲が 大好きなの!」

嬉しそうに説明する望美。 その笑顔を見るたびに九郎も嬉しくなる。それ らの曲を全て聴き終わった後に、望美は今まで 出さなかったCDを出す。

「九郎さん。これが私が一番好きな曲なんで す。今から聴かせてあげますね。」

CDのパッケージには『New

書かれていた。 その曲は詞がない曲。流れてくるとともに九郎 は源平の戦いで行動した数々の出来事、望美や 皆と笑いあった日々、頭の中に巡っていき、九 郎はそれを思い出し、ふっ、

「九郎さん・

「いや、優しい曲だな。」 「この曲はNHKでやっている

見』の主題歌なんです。 私が初めてその番組を見た時に気にいった曲な んです。思い出して癒されるような優しい曲だ と私は勝手に思ってしまっているんですけど、 それでもホントに一番九郎さんに聴いてほし かったんです。」

望美がそう言った後、九郎は望美を抱きしめ る。望美は突然の九郎の行動にちょっとびっく りするが、彼の優しさを知っているから、今は その曲が好きという以上に彼の優しさが嬉しく 思えた。

「九郎さん。」 「ん?」 「今もこれからもずっと、九郎さんのことずっ とずっと大好き。」

望美のその言葉に九郎は頬を 赤く染めるが、

望美をぎゅっと抱きしめる。 『New

いる間、お互いの顔が近くなり、 唇が重なった。

優しく、癒される・

ありがとう・

苦難がいっぱいあったけど・・・・でもそのことも今は笑顔で癒される・・。
昔はそんなことを思いもしなかったのに、不思議なことだ・・・。
気がつけば、いつもそばにいてくれた。それが 今は当たり前の様に・・・・・。

「九郎さん、お待たせ!!」

(戦いしか知らなかった自分が今はここにい る・・・・・。太刀を持つこともなく・・争うこともなく・・・・これが平和というものなのか・・・・・。望美を救い、また自分も彼女に救われ・・。彼女とともに今生きてい る・・・。)

「九郎さん・・・・?」
「ああ、望美か・・・。」

(俺はいつも救われている・・・・お前が傍に いてくれている。こうして今でもお前とは言い 争ったり、素直になれなかったりしている。 でもこの時がずっと続けばいいと思っている。 )

「九郎さん、ホームシック・・?」
「いや、俺はむしろ救われてる。」
「ホント?黙り込んでいたから不安になっ ちゃった。でもね・・・」
「ん?」
「九郎さんのそばにいて一緒に生きられる。私 も救われているの。だから余計に私は自分がズルイ人間だって思えてきたの・・。ダメだよ ね・・。」
「どうしてだ?」
「自分の都合ばかりだもの・・。」

うつむく望美に九郎は望美の頭に手を置き、自 分の方に引き寄せる。 うつむいていた望美は少しではあるが、笑顔に なる。しばらくはそのままの状態だったが、望 美が完全に元気がとり戻ったのを見ると九郎は 望美を離す。

(気にさせちゃったよね・・・でも今はむしろ 九郎さんに救われちゃった。異世界にいた時か らケンカばかりだったけど、 <今もだけどね>それが嬉しいの。九郎さんの あの時の夢は今ここにあるって思ってもいいの かな。)

生きられる希望・・・・・ それをお互いに感じていた。 絶望を見てきた。だから、見られる希望があ る。 異世界にいたあのときも今のこの瞬間も幸せの 時間だから、これからも手を繋いで歩いて行こ う・・・・・。