HER2陽性の乳がんは、初発の乳がん患者の2~3割に見られる。
HER2陰性の乳がんに比べて、進行が早い、再発の可能性が高い、予後が悪い、などの傾向がある

HER2タンパクの過剰な存在は、乳がんの予後因子の1つで、特にリンパ節にがんが転移している場合でHER2が陽性だと、再発の危険性が高くなるといわれています。

陽性、陰性ついては、HER2タンパクの過剰発現を調べる免疫組織化学的方法(IHC法)やHER2遺伝子の増幅を調べるFISH法により、判断します。

HER2の最も重要な特徴は分子標的治療(トラスツズマブ療法)との関係です。
トラスツズマブ(ハーセプチン®)は遺伝子組み換えによるHER2の抗体で、HER2が過剰に発現している場合の抗体療法に用いられる薬剤です。
トラスツズマブには、HER2タンパクをねらって攻撃し、がん細胞の増殖を抑えたりするはたらきがあります。
生検や手術で摘出した組織にHER2が過剰に発現しているのが認められれば、トラスツズマブ療法の効果が期待できます。
トラスツズマブ療法では、トラスツズマブ単独で20%程度、タキサン系抗がん剤と一緒に用いることで60~70%の有効率があるとされています。