短調のⅡのルートを半音下げ第1転回形にしたコード

ハ短調で見てみましょう。

 

短調のⅡ

音律がピタゴラス音律から純正律に移り変わった時代、Ⅱを使うときには第3音ファを最低音にした(第1転回形)形で使うのが普通でした。

3度、6度の音程が協和音程に替わったからです。

 

短調のⅡは、減5度音程のため、第1転回形でしか使えませんでした。この場合、ファとレの音程は、長6度になります。

短調のⅡの根音を半音下げることでハーモニーコードになりますが、単純に短6度の響きが面白いので多用されるようになったようです。

ナポリ楽派の作曲家が多用したことから「ナポリの6度」と呼ばれるようになった、と言われています。

 

「ナポリのⅡ(2)」と呼ぶのは、日本式です。

 

ナポリは、国際的には「N」または「N6」と度数表示されます。

利用の仕方

ナポリは、短調(マイナー)の和音ですので、長調(メジャー)で使うときは借用和音(モーダルインターチェンジ:◦ -Ⅱ6)として用います。

 

根音を半音下げた関係で (ボイスリーディング では)対斜(他の声部での半音解決)が生じますが、これは許されます。

 

3和音ですからポピュラーで使われることはほとんどありません。海外では多少あるようです。

 

セブンスやテンションは、もとの短調のスケールから付加するのが本筋です。

 

協和音程のコード

ある音を始まりの音として、3度の音程で音を積み重ねたものがコードです。

3個積み重ねたものが、トライアド(3和音)です。

ハーモニーコード

Cメジャー(ハ長調)には、ド~シまで7つ音がありますから、7個の3和音ができます。

 

 

それぞれの和音の音程を見てみましょう。

 

 

3度や完全5度は協和音程という響きの良い音程です。

ディッソナントコード

 

Ⅶのコードは、減5度という不協和音程が生じるため、ハーモニーコード(協和和音)ではありません。ディッソナントコード(不協和和音)です。

 

ⅠからⅥまでがハーモニーコードとなります。

 

楽曲へのコード付けには、ハーモニーコードを基本に使います。

パイロット服を着た女の子

V7の代理コード、♭Ⅱ7

キーCの場合

 

限定進行(↘↗のところ)が保持されます。

Subsutituteサブスティチュート Dominantドミナント Seventhセブンス Chordコード

コード理論で提案されたコードです。
 
キーCでの作り方
 

 

①G7の3全音トライトーンを作っているF-Bの音程を転回して、F-Bにします。

②Gの完全5度下のCを根音とするセブンスを作ります。(C7)

③ジャズでは、♭系が好まれますから、コードをC7ではなくD7に変えます。

使い方

V7と置き換えて使います。ディグリーネームはsubⅤ7です。

(※♭Ⅱを使うナポリとは何の関係もありません。♭Ⅱの♭とは、Ⅱのコードの根音を半音下げる意味を表しているだけなのでしょう。)

 

Ⅰへのボイスリーディングでは見事な連続5度になります。連続5度を避けたい場合、5省(5度を省略する)配置とします。

置換できるⅤ7とsubⅤ7

G7 ⇒ D7   D7 ⇒ A7   A7 ⇒ E7   E7 ⇒ B7

B7 ⇒ F7    F7 ⇒ C7   C7 ⇒ G7   A7 ⇒ D7

E7 ⇒ A7   B7 ⇒ E7   F7 ⇒ B7    C7 ⇒ G7

 

同音異名で見れば、当然ながら互いに入れ替えても成立します。

 

C7 ⇒ G7=F7 など。

セカンダリードミナントとしての利用

本来はドミナントですが、セカンダリードミナントとして使うことも可能です。

接続先として、Ⅶは論外ですが、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴへは問題なく使うことができます。

 

Ⅲは根音が、ダイアトニックのため、ドミナントとみなされない惧れが生じます。

 

Ⅵは♭Ⅶと同じ響きの為、モーダルインターチェンジに聞こえる惧れがあります。

ポピュラーの楽譜表記

ポピュラー和声のコード表記では、演奏の便を考えてエンハーモニックによる書き換えが奨励されています。伝統和声で考えた表記とは違うことが多いです。こうした表記は間違えではないようです。

 

 

ポピュラー和声でもアナライズのため、伝統和声に似せたディグリーネームがありますが、そのまま楽譜表記に直すと実態と合わないことがありますから気を付けたいですね。

本記事では、伝統和声での表記を優先しました。

 

ポピュラー和声のコードは、それ自体で独立したフレーズだと考えるとよいかもしれません。

Ⅱ7とⅥ6は構成音は同じ

キーC(ハ長調)の場合

Ⅱ7(のコード)を第1展開形にするとⅣ6と全く同じになります。

当然ながら、響きも同じですから、異名同音なコードとなります。

 

使えるスケールが違ってきますから、ジャズ発祥のポピュラー和声ではⅡであるかⅣであるかは重要かもしれません。

しかし、ポピュラー和声では同じ響きであれば、二つのコードに違いはなく同一とみなします。区別しません。

 

Ⅱ7の第1展開形というのは古典クラシック和声的です。

Ⅱ7はⅤ7とセットで昔から使われてきました。ツーファイブモーションというのはポピュラーの専売特許ではありません。

Ⅱ7を使う場合には、第1展開形で使う場合がほとんどです。

Ⅱ7は、なぜⅣ音を最低音にして使うか

これが問題ですね。キーCで見てみましょう。

 

 

ファを最低音にすれば、長3度、6度の響きが得られるから

 

長調のサブドミナントとして使うのですからメジャーな響きが必要です。しかし、Ⅱの響きは、第3音との音程が短3度となりマイナーな響きです。

 

そこで、第1展開形にすれば、長3、6度のメジャーな響きが得られます。

 

この和音を「6の和音」として分析したのは、J.Ph.Rameauで、「和声論」(1722年)に載っています。
この著作の影響は大きく、以降和声という考え方で音楽が作られるようになりました。

 

余談ですが、「和声論」の出た1722年には、J.S.Bachが「平均律クラヴィーア曲集」第1巻を完成させています。

よい響き=協和音程

「ファ」を底とすることで、「レ」はⅣの6度音となり、協和音程が得られ音が安定します。

 

「レ」を根音とすれば、Ⅱとなり、これは短3度、短7度の響きとなります。7の和音となり、不協和和音です。

 

Ⅳ6もド、レの音がぶつかる状態ですが、最低音と最高音が協和音程の為、響きが安定するのです。

ポピュラー和声的に言えば、最低音からの音程に♭が付きません。

 

どちらの響きを必要とするかによって使い分けることができます。

ダイアトニック音階スケールの構成音で作られた和音コード

それ以外の和音はノン全音階和音ダイアトニックコードと呼びます。

3和音トライアド

 

長和音メジャーコード短和音マイナーコード減和音マイナー♭5コードの3つがダイアトニックコードになります。

増和音は第5音が全音階にない音ですから、ダイアトニックコードではありません。

4和音テトラッド

 

長七の和音メジャーセブンスコード短七の和音マイナーセブンスコード属七の和音ドミナントセブンスコード導七の和音マイナーセブンス♭5コードの4つが、ダイアトニックコードです。

減七の和音は第7音が全音階にない音ですから、ダイアトニックコードではありません。

 

ポピュラー和声ではメジャースケールのコードをダイアトニックコードと呼び、それ以外のコードをノンダイアトニックコードと呼んでいます。