現在、PCメモリーには、DDR4とDDR5の二つのメモリーが選択できます。DDR5の方が新しい規格なので、DDR5のメモリーが載ったパソコンの方が最新、最強でしょうか?コストもあって迷いますね。

 

DDR4かDDR5どちらを選ぶべき?

 

性能に目が向きがちですが、メモリー選びの鉄則に従って、どちらを選ぶべきか考えてみましょう。

容量

DDR5規格のメモリーには従来なかった容量が存在する

DDR5は、2020年にJEDEC規格(標準定格)が発表されました。最新といっても規格設定から4年、製品が販売されてから3年経ちます。帯域がDDR4の2倍というのは新しい規格の登場パターン通りですが、従来の規格DDR4にはなかった容量の製品が追加されています。24GBと48GBです。

 

2023年3月にCORSAIRから、その後11月には、G.Skillからも発売されました。また、今年に入ってからは、1月 にキングストン、サンマックスからも発売されています。いずれ国内メモリーメーカーからも登場するかも知れません。

 

デュアルチャンネルの恩恵を活かすために2枚1組で運用するとすれば、1組で48GBや96GBを実現できることになります。また、48GB4枚挿しでの容量192GBも認識できるマザーボードもあるようです。(Windows Proでの運用だと思われます。Homeでは、128GBまでしか認識されないでしょう。未確認です)

性能

DDR5の方が、DDR4よりレイテンシは大きくなる

 

ネイティブのDDR4とDDR5を比べてみます。(センチュリーマイクロ製)

DDR4-2400(PC4-19200)のレイテンシはCL 17-17-17-39、DDR5-4800(PC5-38400)のレイテンシは、CL 40-39-39-77です。

真のレイテンシを求めると、DDR4は 、14.2nsDDR5は、16.7nsとなり、DDR5のレイテンシは、若干大きく(遅く)なります。

 

DDR4での市販されている最大クロックのDDR4-5333(PC4-42666)とクロックはやや高めですが、DDR5-5600(PC5-44800)ネイティブと比べてみます。DDR4の方はネイティブDDR4-2400(PC4-19200)を電圧1.6Vと大幅に昇圧したオーバークロックモデルです。

DDR4のレイテンシは CL 20-30-30 、DDR5はレイテンシ CL 46-45-45(1.1V)です。真のレイテンシは、DDR4 、7.5nsDDR516.4nsです。(Kingston製)

次に、同じクロック数のオーバークロックDDR4-4800(PC4-38400)とネイティブDDR5-4800(PC5-38400)とを比較してみます。(Team製)

DDR4は、CL 20-28-28-48(1.5V)、DDR5は、 CL 40-40-40-77(1.1V)です。

オーバークロックも加わるとレイテンシの性能は段違いになります。

 

オーバークロックのレイテンシに与える効果を見るため、DDR5同士で比較してみます。ネイティブ最速は、DDR5-5600(PC5-44800)で、レイテンシは CL 46-45-45-90(1.1V)です。ネイティブDDR5-4800をオーバークロックしたDDR5-5600(G-Skill製)は、レイテンシ CL 36-36-36-89(1.2V)です。DDR5-5600ネイティブの真のレイテンシは16.4ns、オーバークロックモデルは12.8nsです。

 

メモリーのオーバークロックは、レイテンシの減少に大きな効果があることが分かります。オーバークロックメモリーは電圧が高く、電気を食うかもしれませんが、高性能です。ゲーマーに人気が高いのが分かる気がしますね。

 

価格=コストパフォーマンス

値段に釣り合う性能

8GB×2枚組=16GBの価格を比べてみましょう。(価格コム/2024年2月19日)

最安値

DDR4 … 3,880円(WINTEN製)

DDR5 … 4,879円(サンマックス製)

999円差 DDR5はDDR4の1.26倍。かなり接近してきていますね。安上がりにしたいならば、DDR4ですが、微妙というところです。

性能を見てみましょう。

DDR4 … PC4-19200(DDR4-2400) CL=17    (1.2V)

DDR5 … PC5-38400(DDR5-4800) CL 40-39-39 (1.1V)

両方ともネイティブでしょう。データ転送速度が倍違います。DDR5の完勝です。倍の性能差ですから、1,000円アップでDDR5が手に入ると見た方がよいでしょう。

 

性能の似通ったもので比べてみましょう。(16GB×2:センチュリーマイクロ製)

PC4-25600(DDR4-3200) … 20,581円

PC5-38400(DDR5-4800) … 27,281円

速度の比は、1.5倍です。価格の比は、1.32倍です。性能に見合った価格かも知れないなー、という気がします。

 

同じメモリークロックで比べてみましょう。DDR4はオーバークロックですが、DDR5はネイティブです。(8GB×2)

DDR4-4800(PC4-38400) … 18,800円(Kingston製)

DDR5-4800(PC5-38400) … 10,810円(Team製)

価格は逆転しました。メーカーが違いますが。

オーバークロックメモリーは若干高くなりがちです。DDR5はオーバークロックでなくともネイティブで高速です。

まとめ

パソコンを新規に購入する、あるいは、新しく作るのであれば、将来性、拡張性からもDDR5一択です。予算に余裕があるのならば、DDR5のオーバークロックタイプがよいでしょう。

DDR4を選ぶのは、今までの資産(既に持っているパソコンにメモリーを増設する、1世代前のマザーボードを使いたいなど)を活用する場合の選択です。