PassMarkによれば、1世代前(AlderLake)のi7-12700と同等かわずかに上回る性能となっています

 

CPUの性能は1年で大きく進化して来ています。ハイエンドローの性能が次の世代では、ミドル(ハイ)で実現されるようになりました。ただし、体感としてその進化が感じられるかどうかはわかりません。

 

AlderLakeからIntelはハイブリットCPUを採用しています。ハイブリットCPUには高効率のコアと高性能なコアの2種類のコアが載っています。

PコアとEコア

CPUの性能は、マルチタスク処理が効果的に働けば、コア数が多いほど高くなります。

しかし、単純に高性能のコアを増やすのは、電力を喰うだけで効率が悪く、特にモバイルPC向けではありません。

 

タスクの軽重に合わせて、高性能(Performance)コアと省電力(Efficiency = 効率)コアを使い分け、性能と省電力どちらも達成できるよう開発されたのがハイブリットCPUです。

 

i7-12700はPコア8、Eコア4,合わせて12個です。対して、Ryzen 7 7700は1種類の8コアです。

しかし、 i7-12700の性能は、Ryzen 7 7700に大きく差をつけられました。

 

 EコアはAtomを基に開発された低消費電力コアで、マルチスレッド機能はありません。

見かけ上は多コア(スレッド)になりましたが、マルチタスク処理能力はAMDのCPUの方が上です。

 

そこで、Intel の13世代Raptor Lakeシリーズでは、AMDの7000シリーズに対抗するため、Eコアの搭載数を増やしました。

 i7-13700はEコアを8個にして合計16コアを搭載しています。

AMDのRyzen7-7700に大差をつけて性能アップしていますが、価格も大幅にアップしています。

ハイブリットコアの問題点

ハイブリットコアにはソフトとの相性問題が存在します。

 

ソフトによっては、期待する性能アップが見られません。

例えば、aviutlでのx246エンコードなど重い処理がEコアに割り当てられ、Pコアが働かず処理時間が前世代のCPUを利用した場合よりもかかってしまいます。

 

Androidエミュレーター(NoxPlayer)動作時のCPU使用率

シングルプレイ時

※論理コアが20個あります。上から12個目までがPコアです。3段目からEコアが始まります。

マルチプレイ(4)

Eコア使用率が100パーセントとなっています。処理が追い付かないため、クリックしてもすぐには反応せず、タイムラグが発生します。ゲームがスムースに進められません。

 

エミュレート機能は、非常に重い処理ですが、バックグランドであるため、優先的にEコアに振られてしまいます。

 

エミュレーター自体の起動も遅く、ゲーム(アプリ)を起動させると、遅いだけでなくゲームの起動も一つか二つは止まってしまい、起動しなおしをしなくてはいけません。

第6世代SkyLakeの i7-6700の時と同じような挙動です。

 

前世代 Alter Lakeの i5-11400では、電源デフォルト設定「バランス」のままでも、コアは一種類しかありませんでしたから、性能低下は見られません。それと比較すればパフォーマンスは落ちています。

 

Windows11では、ハイブリットCPUの性能が十分に発揮できるようにタスクスケジューリングが強化されたはずですが、この欠点は完全には解消されていません。

 

バイオス(UEFI)でEコアを無効にすれば改善(Pコアでタスク処理)はされますが、Eコアは無駄になります。

 

また、Windows11の改良はインテル向けであり、AMD製のCPUには何の恩恵も与えていません。

 

現状のハイブリットCPUは、デスクトップ向けのCPUとして見ると、

「二兎を追うものは、一兎も得ず」

であり、

「一石二鳥」となっていないようです。

i5-13500の正体

 i5は、ミドルクラスのCPUです。

 

13xxxとなっているので、13世代CPU(Raptor Lake)の i5-13600Kや i5-13700Kと同等のコアが使われているような気がしてしまいがちですが、中身は大きく違います。

 

Pコアは、上位のCPUに使われている新開発B0ダイではなく、Alter Lakeの上位に採用されたC0ダイを流用しています。

つまり、Pコアに進歩はありません。Eコアを増やしただけで、Alter Lake Refreshです。

 

TDPは65wに下がっていますが、前世代のCPUと比べると、

i5-12600K
ベース 125w → 最大 150w

i5-13500

ベース  65w  → 最大 154w

(Intel製品ページより)

最大ターボ電力量は、K付を超えています。当然、消費電力、発熱量もK付と同様に多いものと予想されます。

用途

グラフィック内蔵版しか用意されてない(F付なし)ことから、13500の最適用途はミドルハイクラスのビジネス向けだと考えられます。

 

ゲーム用ならば、シングルコア性能に差のない(同じC0コア) i5-13400Fで十分でしょう。

50タイトル以上のゲームで不具合が見つかったことなどを考えれば、Rocket Lake世代のCPUや前世代のCPU、Eコアを搭載していない i3も選択範囲にあると言えるでしょう。

コスト面で不利なため、ゲームパソコンで i5-13500を使ったものは皆無です。

ゲーム用途では、GPU性能が高い方が有利です。GPUにコストをかけるべきです。

 

クリエイト用途とするならば、多コアを活かしたマルチタスク処理に向いています。しかし、 i7の方がより多コアですし、8コアならばRyzenという選択肢もあります。

まとめ

 i5-13400とi5-13600Kの間を埋めるCPUです。

ミドルハイエンドのKなし版ではありませんが、コストパフォーマンスが良ければ、ミドルハイクラスのCPUとして使えるでしょう。

参考

価格は2023年12月24日現在、価格コム

CPU コア(P+E) TDP(w) 価格(円)
 i7-13700F 8+8 65 50,460
 i5-13600KF 6+8 125 42,185
 i7-12700F 8+4 65 44,380
Ryzen7-7700 8 65 41,980
 i5-13500 6+8 65 35,664
 i5-12600KF 6+4 125 32,980
 i5-13400F 6+8 65 30,980

 

12月4日から20日間で、

 i7-13700Fは3000円以上値下がり

 i5-13600KFは1000円近く値下がり

Ryzen7-7700は1000円以上値上がり

 i5-13500は2000円以上値下がりしました。

 i5-13400Fも500円以上値下がりしています。