「ディー・クルップス、プロパガンダでドイツ音楽シーンを牽引し続けるラルフ・デルパーが残した初期レア音源を完全収録!」したアルバムです。貴重音源ばかりのこの作品、日本独自企画で世界初CD化されたものです。もちろんスーザン・スタジオさんからのリリースです。
ラルフ・デルパー自身が書いたライナーノーツによれば、デルパーはデュッセルドルフのパンク・シーンにかかわるようになった時点では音楽制作をしていませんでしたが、ザ・ノーマルの「ウォーム・レザレット」を聴いてノイズ制作を始めたとのことです。
ザ・ノーマルはミュート・レコードを創設するダニエル・ミラーのプロジェクトで、1980年代に登場する一連のシンセ・ポップ・バンドに大きな影響を与えたとされています。ここドイツでもノイエ・ドイッチェ・ヴェレにしっかり足跡を残しているのですね。ミラーも本望でしょう。
やがてシンセによるノイズを流しながら叫び続けるパフォーマンスで観衆の不評を買うようになります。この時代は不評を買うことがすなわち勲章でもありました。そんなデルパーがS.Y.P.H.に短期間加入した際に発表した楽曲が一曲目に収録されています。
「クラムハイムリッヒ」と題された曲は7インチのB面曲で、オシレーターのサウンドとニュース音声をコラージュした作品です。曲名は「ひそかに」、「こっそりと」という意味になっており、ニュース対象となっているのがテロリスト、バーダー・マインホフだと思うと意味深です。
続く括りは「ダブル・フィーチャー」、2本立てというプロジェクトで、ジョン・カーペンターのアクション映画「アサルト」とデヴィッド・リンチの「イレイジャーヘッド」という二本の映画へのオマージュとなるサウンド・コラージュです。どちらも不気味なサウンドに背筋がぞくぞくします。
この作品が英国のジョン・ピールの目にとまり、ピールのラジオ番組でかかったうえに、NME紙のレコード・オブ・ザ・ウィークに選出されました。ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ初の快挙です。これが後にデルパーがプロパガンダに参加する布石となっていきます。
続いては一緒にディー・クルップスを立ち上げるユールゲン・エングラーとの企画「ディー・レミンゲ」です。レミングは集団自殺するとされていた野ネズミで、クラウトロックではアモン・デュールIIに「野鼠の踊り」というアルバムがあったことを思い出します。人気ですね。
このバンドでは「ローレライ」などのドイツのメランコリックな国民歌謡をレジデンツばりに再構築しています。別名でプロジェクトをたてたことが分かる、面白い企画です。これでアルバムを作る構想があったそうですが、ディー・クルップスがヒットしてうやむやになったそうです。
最後の括りは「ドイチュデンク」なるプロジェクトです。名前はジョージ・オーウェルの「1984」に出てくるニュー・スピークにちなんだものです。これまた意味が深い。収録されたのはドイチュデンクによる1980年発表のカセット・アルバムの音源です。
シンセを使ったいかにもDIYなサウンド・コラージュが強烈に1980年頃のニュー・ウェイヴ作品を思いださせてくれます。何人かとの共同作業だということで、当時のピュアな若者の熱気が伝わってきて、胸が熱くなりました。くぐもったような音もいい。楽しいです。
Kalter Lärm The Early Recordings / Ralf Dörper (2017 Suezan Studio)
Tracks:
[S.Y.P.H.]
01. Klammheimlich
[Double Feature]
02. Assault
03. Eraserhead
[Die Lemminge]
04. Lorelei
05. Im Himmel
06. Leise stribt Man im Schnee
[Deutschdenck]
07. Afro Inro
08. Discomat
09. Am Nachmittag!
10. Zaghaft Fluxig
11. Eraserhead
12. Golf & Tango
13. Kranke Mencschen
14. Wie der Geruch von Napalm
Personnel:
Ralf Dörper
ラルフ・デルパー自身が書いたライナーノーツによれば、デルパーはデュッセルドルフのパンク・シーンにかかわるようになった時点では音楽制作をしていませんでしたが、ザ・ノーマルの「ウォーム・レザレット」を聴いてノイズ制作を始めたとのことです。
ザ・ノーマルはミュート・レコードを創設するダニエル・ミラーのプロジェクトで、1980年代に登場する一連のシンセ・ポップ・バンドに大きな影響を与えたとされています。ここドイツでもノイエ・ドイッチェ・ヴェレにしっかり足跡を残しているのですね。ミラーも本望でしょう。
やがてシンセによるノイズを流しながら叫び続けるパフォーマンスで観衆の不評を買うようになります。この時代は不評を買うことがすなわち勲章でもありました。そんなデルパーがS.Y.P.H.に短期間加入した際に発表した楽曲が一曲目に収録されています。
「クラムハイムリッヒ」と題された曲は7インチのB面曲で、オシレーターのサウンドとニュース音声をコラージュした作品です。曲名は「ひそかに」、「こっそりと」という意味になっており、ニュース対象となっているのがテロリスト、バーダー・マインホフだと思うと意味深です。
続く括りは「ダブル・フィーチャー」、2本立てというプロジェクトで、ジョン・カーペンターのアクション映画「アサルト」とデヴィッド・リンチの「イレイジャーヘッド」という二本の映画へのオマージュとなるサウンド・コラージュです。どちらも不気味なサウンドに背筋がぞくぞくします。
この作品が英国のジョン・ピールの目にとまり、ピールのラジオ番組でかかったうえに、NME紙のレコード・オブ・ザ・ウィークに選出されました。ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ初の快挙です。これが後にデルパーがプロパガンダに参加する布石となっていきます。
続いては一緒にディー・クルップスを立ち上げるユールゲン・エングラーとの企画「ディー・レミンゲ」です。レミングは集団自殺するとされていた野ネズミで、クラウトロックではアモン・デュールIIに「野鼠の踊り」というアルバムがあったことを思い出します。人気ですね。
このバンドでは「ローレライ」などのドイツのメランコリックな国民歌謡をレジデンツばりに再構築しています。別名でプロジェクトをたてたことが分かる、面白い企画です。これでアルバムを作る構想があったそうですが、ディー・クルップスがヒットしてうやむやになったそうです。
最後の括りは「ドイチュデンク」なるプロジェクトです。名前はジョージ・オーウェルの「1984」に出てくるニュー・スピークにちなんだものです。これまた意味が深い。収録されたのはドイチュデンクによる1980年発表のカセット・アルバムの音源です。
シンセを使ったいかにもDIYなサウンド・コラージュが強烈に1980年頃のニュー・ウェイヴ作品を思いださせてくれます。何人かとの共同作業だということで、当時のピュアな若者の熱気が伝わってきて、胸が熱くなりました。くぐもったような音もいい。楽しいです。
Kalter Lärm The Early Recordings / Ralf Dörper (2017 Suezan Studio)
Tracks:
[S.Y.P.H.]
01. Klammheimlich
[Double Feature]
02. Assault
03. Eraserhead
[Die Lemminge]
04. Lorelei
05. Im Himmel
06. Leise stribt Man im Schnee
[Deutschdenck]
07. Afro Inro
08. Discomat
09. Am Nachmittag!
10. Zaghaft Fluxig
11. Eraserhead
12. Golf & Tango
13. Kranke Mencschen
14. Wie der Geruch von Napalm
Personnel:
Ralf Dörper