ジョン・コルトレーンによるインパルス移籍第一弾「アフリカ/ブラス」です。インパルスは大手ABCパラマウント傘下に誕生したばかりのレーベルで、マイルス・デイヴィスに次ぐと言われる高額でコルトレーンを引き抜いたのでした。オーケストラもアレンジできるぞと。
コルトレーンは契約がなるとさっそくオーケストラを組成してアルバムの制作にかかります。ここでいうオーケストラはビッグ・バンドのことですね。管楽器の大編成です。セッションはリハーサルを経て、1961年5月23日と6月7日の二日間行われました。
参加しているミュージシャンは、コルトレーンのカルテットにエリック・ドルフィーを加えたクインテットの他には、管楽器奏者が14人、ベースに二人追加で総勢21人です。管楽器の中にはブッカー・リトルやフレディー・ハバードなどという名前もあります。
管楽器はトランペット、トロンボーン、フレンチ・ホルン、ユーフォニウム、ピッコロ、バス・クラリネット、フルート、アルト・サックス、チューバなど多彩です。このブラス・セクションが演奏に厚みを持たせていて、何ともいえないゴージャスな感じがいたします。
オーケストラのアレンジは当初ギル・エヴァンスに頼んだそうですが、これは実現せず、ドルフィーとマッコイ・タイナーが担当しています。二人も多才なものです。エヴァンスとは違う熱いオーケストラ・サウンドがコルトレーンのジャズにぴったりです。
楽曲はまずA面全部を占める「アフリカ」です。5月のセッションをやり直した6月のテイクが採用されました。シンプルなワン・コードのリズムが延々と続き、アフリカの大地を感じさせます。ミニマル・ミュージックの巨匠スティーヴ・ライヒを感動させたのもよく分かります。
B面には「マイ・フェイヴァリット・シングス」の続編ともいえるソプラノ・サックスによるスタンダード「グリーンスリーブス」と、コルトレーンのオリジナル曲「ブルース・マイナー」が収録されました。コルトレーンのソロとオーケストラとのアンサンブルが鳥肌ものです。
しかし、同時に録音された「ソングス・オブ・ジ・アンダーグラウンド・レイルロード」と「ダムド・ドント・クライ」の2曲は収録されませんでした。この2曲は、この当時吹き荒れていた公民権運動を支持しようと、コルトレーンが明確に政治的な意図をもって取り上げた楽曲です。
インパルスは、楽曲の選択権はコルトレーンにありとした契約にも係わらず、日和ってしまってこの2曲を外してしまいました。メジャーなレーベルに在籍することの弊害ですかね。ようやく陽の目を見るのはコルトレーンの没後1974年になってからのことです。
創立間もないインパルスは本作品に社運をかけており、録音からわずか3か月後には豪華なジャケットに収めて本作品を発売しました。しかし、売行きは芳しくなく、評論家の評価も厳しいものでした。今から思うと不思議ですが、時代が追いついていなかったのでしょう。
今では高く評価されているこの作品、とにかく「アフリカ」のインパクトが強いです。後のクラブ・ミュージックやヒップホップにまでつながる雄大かつ先進的な楽曲だと思います。ビッグ・バンドで奏でるサウンドには植民地支配から脱しつつあったアフリカの未来がつまっています。
Africa/Brass / John Coltrane (1961 Impulse!)
Tracks:
01. Africa
02. Greensleeves
03. Blues Minor
Personnel:
John Coltrane : soprano sax, tenor sax
Eric Dolphy : alto sax, bass clarinet, flute
McCoy Tyner : piano
Reggie Workman : bass
Elvin Jones : drums
Art Davis : bass
Paul Chambers : bass
Booker Little : trumpet
Freddie Hubbard : trumpet
Julius Watkins : French horn
Bob Northern : French horn
Donald Corrado : French horn
Robert Swisshelm : French horn
Jim Buffington : French horn
Bill Barber : tuba
Pat Patrick : baritone sax
Julian Priester : euphonium
Charles Greenlee : euphonium
Carl Bowman : euphonium
Gavin Bushell : piccolo, woodwinds
Britt Woodman : trombone
コルトレーンは契約がなるとさっそくオーケストラを組成してアルバムの制作にかかります。ここでいうオーケストラはビッグ・バンドのことですね。管楽器の大編成です。セッションはリハーサルを経て、1961年5月23日と6月7日の二日間行われました。
参加しているミュージシャンは、コルトレーンのカルテットにエリック・ドルフィーを加えたクインテットの他には、管楽器奏者が14人、ベースに二人追加で総勢21人です。管楽器の中にはブッカー・リトルやフレディー・ハバードなどという名前もあります。
管楽器はトランペット、トロンボーン、フレンチ・ホルン、ユーフォニウム、ピッコロ、バス・クラリネット、フルート、アルト・サックス、チューバなど多彩です。このブラス・セクションが演奏に厚みを持たせていて、何ともいえないゴージャスな感じがいたします。
オーケストラのアレンジは当初ギル・エヴァンスに頼んだそうですが、これは実現せず、ドルフィーとマッコイ・タイナーが担当しています。二人も多才なものです。エヴァンスとは違う熱いオーケストラ・サウンドがコルトレーンのジャズにぴったりです。
楽曲はまずA面全部を占める「アフリカ」です。5月のセッションをやり直した6月のテイクが採用されました。シンプルなワン・コードのリズムが延々と続き、アフリカの大地を感じさせます。ミニマル・ミュージックの巨匠スティーヴ・ライヒを感動させたのもよく分かります。
B面には「マイ・フェイヴァリット・シングス」の続編ともいえるソプラノ・サックスによるスタンダード「グリーンスリーブス」と、コルトレーンのオリジナル曲「ブルース・マイナー」が収録されました。コルトレーンのソロとオーケストラとのアンサンブルが鳥肌ものです。
しかし、同時に録音された「ソングス・オブ・ジ・アンダーグラウンド・レイルロード」と「ダムド・ドント・クライ」の2曲は収録されませんでした。この2曲は、この当時吹き荒れていた公民権運動を支持しようと、コルトレーンが明確に政治的な意図をもって取り上げた楽曲です。
インパルスは、楽曲の選択権はコルトレーンにありとした契約にも係わらず、日和ってしまってこの2曲を外してしまいました。メジャーなレーベルに在籍することの弊害ですかね。ようやく陽の目を見るのはコルトレーンの没後1974年になってからのことです。
創立間もないインパルスは本作品に社運をかけており、録音からわずか3か月後には豪華なジャケットに収めて本作品を発売しました。しかし、売行きは芳しくなく、評論家の評価も厳しいものでした。今から思うと不思議ですが、時代が追いついていなかったのでしょう。
今では高く評価されているこの作品、とにかく「アフリカ」のインパクトが強いです。後のクラブ・ミュージックやヒップホップにまでつながる雄大かつ先進的な楽曲だと思います。ビッグ・バンドで奏でるサウンドには植民地支配から脱しつつあったアフリカの未来がつまっています。
Africa/Brass / John Coltrane (1961 Impulse!)
Tracks:
01. Africa
02. Greensleeves
03. Blues Minor
Personnel:
John Coltrane : soprano sax, tenor sax
Eric Dolphy : alto sax, bass clarinet, flute
McCoy Tyner : piano
Reggie Workman : bass
Elvin Jones : drums
Art Davis : bass
Paul Chambers : bass
Booker Little : trumpet
Freddie Hubbard : trumpet
Julius Watkins : French horn
Bob Northern : French horn
Donald Corrado : French horn
Robert Swisshelm : French horn
Jim Buffington : French horn
Bill Barber : tuba
Pat Patrick : baritone sax
Julian Priester : euphonium
Charles Greenlee : euphonium
Carl Bowman : euphonium
Gavin Bushell : piccolo, woodwinds
Britt Woodman : trombone