ケヴィン・エアーズはBBCのラジオと相性が良かったようで、活動の初期にはBBCに数多くのレコーディングを残しています。メンバーの決まったバンドではないだけに、毎回のように参加者が異なるため、その点でも大変貴重な録音です。
本作品は1972年9月20日にBBCラジオ1の「イン・コンサート」シリーズにて行われたケヴィン・エアーズのレビュー、「バナナ・フォリーズ」の記録です。1998年になってようやく音源がCD化されました。エアーズ人気は高く、日本でも発売されています。
アーティスト名は「エアーズ&アーチボルト」となっています。「彼女のすべてを歌に」発表後、エアーズはアーチー・レジェットことアーチボルト・レジェットを新しい相棒として音楽活動を始めました。エアーズ&アーチボルトとはこの二人のペアのことです。
レジェットは、「夢織り人」の大ヒットで有名になる元スプーキー・トゥースのゲイリー・ライトと後のフォリナー、ミック・ジョーンズがいた短命に終わったバンド、ワンダーホイールのメンバーでした。デヴィッド・アレンのバナナ・ムーン・セッションに参加してエアーズと知己を得ます。
二人は意気投合してデュオとして1972年春から夏にかけてロンドン各地でライヴを行っています。たまたま居合わせたミュージシャンを加えて演奏するなど、自由奔放な楽し気なライヴだったようです。このデュオもBBCラジオに音源を残しています。
この活動の間に、余裕が生まれたエアーズは新しい曲を書くとともに、レビューの形でステージを行うアイデアを得ました。それが「バナナ・フォリーズ」で、2週間にわたってロンドンの小劇場で上演されました。本作品はそのレビューをBBCラジオで再現したものです。
参加しているのは、エアーズとレジェットの二人に加えて、デヴィッド・ベドフォードとロル・コックスヒルのホール・ワールド組などの他に、俳優のジョージ・ウィルソンです。ウィルソンはいくつかの演劇パートで活躍しており、これがレビューであることを象徴する存在です。
ラジオですけれども、観客入りのライヴです。次作「バナナムーア」の内ジャケットに掲載された写真のように、エアーズとレジェットは白のディナー・ジャケットでチェス盤をはさんで対峙しており、その駒がバナナになっているという情景でスタートしたそうです。
ショーは、ベドフォード・コックスヒル組の曲で始まります。二人にしては実験色の少ないポップでキャッチーな曲です。そうしてベドフォードとウィルソンによる演劇スケッチ「マーダー・イン・ジ・エア」が登場します。書いているのはエアーズでしょうが、演じるのはこの二人です。
以降は、既発曲と新曲を交えた音楽が中心となります。舞台上で何が行われているか分からないのが残念ですが、歌と演奏はとてもユーモラスなもので、会場の雰囲気は大そうリラックスした楽し気なものです。極上のエンターテインメントなのでしょう。
エアーズと新旧の仲間たちが作り上げた世界は、適度にアヴァンギャルドで、適度にユーモラス。力の抜けたステージでのパフォーマンスはいかにもエアーズらしい。これまでの作品と地続きでいて確実に変化している本作品はエアーズを知る上でなくてはならない作品です。
Banana Follies / Ayers & Archibald (1998 Harvest)
Tracks:
01. Introduction
02. (Don't Sing No More) Sad Songs
03. Pretty Little Girl
04. Two Little Pigeons
05. Murder In The Air
06. 'Orrible Orange
07. Whatevershebringswesing
08. Take Me To Tahiti
09. O Wot A Dream
10. Ball Bearing Blues
11. Fake Mexican Tourist Blues
12. Interview
13. You Say You Like My Hat
14. Falling In Love Again
15. The End
(bonus)
16. Interview
17. Oh! Wot A Dream
18. Shouting In A Bucket Blues
Personnel:
Kevin Ayers : vocal, guitar
Archie Legget : bass, vocal
David Bedford : keyboards, organ
Lol Coxhill : sax, vocal
Johnny Clifford : congas
George Wilson : actor
(bonus)
Kevin Ayers : vocal, guitar
Archie Legget : bass, vocal
Cal Batchelor : guitar
Freddie Smith : drums
Mike Ratledge : organ
本作品は1972年9月20日にBBCラジオ1の「イン・コンサート」シリーズにて行われたケヴィン・エアーズのレビュー、「バナナ・フォリーズ」の記録です。1998年になってようやく音源がCD化されました。エアーズ人気は高く、日本でも発売されています。
アーティスト名は「エアーズ&アーチボルト」となっています。「彼女のすべてを歌に」発表後、エアーズはアーチー・レジェットことアーチボルト・レジェットを新しい相棒として音楽活動を始めました。エアーズ&アーチボルトとはこの二人のペアのことです。
レジェットは、「夢織り人」の大ヒットで有名になる元スプーキー・トゥースのゲイリー・ライトと後のフォリナー、ミック・ジョーンズがいた短命に終わったバンド、ワンダーホイールのメンバーでした。デヴィッド・アレンのバナナ・ムーン・セッションに参加してエアーズと知己を得ます。
二人は意気投合してデュオとして1972年春から夏にかけてロンドン各地でライヴを行っています。たまたま居合わせたミュージシャンを加えて演奏するなど、自由奔放な楽し気なライヴだったようです。このデュオもBBCラジオに音源を残しています。
この活動の間に、余裕が生まれたエアーズは新しい曲を書くとともに、レビューの形でステージを行うアイデアを得ました。それが「バナナ・フォリーズ」で、2週間にわたってロンドンの小劇場で上演されました。本作品はそのレビューをBBCラジオで再現したものです。
参加しているのは、エアーズとレジェットの二人に加えて、デヴィッド・ベドフォードとロル・コックスヒルのホール・ワールド組などの他に、俳優のジョージ・ウィルソンです。ウィルソンはいくつかの演劇パートで活躍しており、これがレビューであることを象徴する存在です。
ラジオですけれども、観客入りのライヴです。次作「バナナムーア」の内ジャケットに掲載された写真のように、エアーズとレジェットは白のディナー・ジャケットでチェス盤をはさんで対峙しており、その駒がバナナになっているという情景でスタートしたそうです。
ショーは、ベドフォード・コックスヒル組の曲で始まります。二人にしては実験色の少ないポップでキャッチーな曲です。そうしてベドフォードとウィルソンによる演劇スケッチ「マーダー・イン・ジ・エア」が登場します。書いているのはエアーズでしょうが、演じるのはこの二人です。
以降は、既発曲と新曲を交えた音楽が中心となります。舞台上で何が行われているか分からないのが残念ですが、歌と演奏はとてもユーモラスなもので、会場の雰囲気は大そうリラックスした楽し気なものです。極上のエンターテインメントなのでしょう。
エアーズと新旧の仲間たちが作り上げた世界は、適度にアヴァンギャルドで、適度にユーモラス。力の抜けたステージでのパフォーマンスはいかにもエアーズらしい。これまでの作品と地続きでいて確実に変化している本作品はエアーズを知る上でなくてはならない作品です。
Banana Follies / Ayers & Archibald (1998 Harvest)
Tracks:
01. Introduction
02. (Don't Sing No More) Sad Songs
03. Pretty Little Girl
04. Two Little Pigeons
05. Murder In The Air
06. 'Orrible Orange
07. Whatevershebringswesing
08. Take Me To Tahiti
09. O Wot A Dream
10. Ball Bearing Blues
11. Fake Mexican Tourist Blues
12. Interview
13. You Say You Like My Hat
14. Falling In Love Again
15. The End
(bonus)
16. Interview
17. Oh! Wot A Dream
18. Shouting In A Bucket Blues
Personnel:
Kevin Ayers : vocal, guitar
Archie Legget : bass, vocal
David Bedford : keyboards, organ
Lol Coxhill : sax, vocal
Johnny Clifford : congas
George Wilson : actor
(bonus)
Kevin Ayers : vocal, guitar
Archie Legget : bass, vocal
Cal Batchelor : guitar
Freddie Smith : drums
Mike Ratledge : organ