意表をついたピンク色のジャケットが嬉しいです。すでに76歳になったブライアン・イーノには思いのほかピンクが似合います。高齢者は派手な色が意外と似あうものなのですね。何だか気持ちが上向きになる素敵なジャケットでした。さすがはイーノです。
本作品はイーノを題材にしたドキュメンタリー映画「イーノ」のサウンドトラック・アルバムです。新作というわけではなく、イーノの過去の作品からコレクションされた作品です。シングル・ヒットと無縁な人ですから、「グレイテスト・ヒッツ」などではもちろんありません。
全17曲の中で最も古い音源は1974年に発表されたセカンド・アルバム、「テイキング・タイガー・マウンテン」からの名曲「サード・アンクル」です。最も新しい音源は2023年のフレッド・アゲインとのコラボ作からの「CMON」ですから、ほぼ半世紀のスパンで選曲されています。
さらりと書きましたが、このアルバムにはイーノのソロ作品だけではなく、さまざまなコラボ作品からの音源も収録されています。フレッド・アゲインの他にも、デヴィッド・バーン、ジョン・ケイル、クラスターとの「&」表記のコラボ作から楽曲が選ばれています。
さらに「with」表記のコラボ作品となると、ダニエル・ラノワとロジャー・イーノとの作品「アポロ」や、トム・ロジャーソンとの「ファインディング・ショア」、レオ・アブラハムズとジョン・ホプキンスの「スモール・クラフト・オン・ミルク・シー」からも選曲されています。
未発表曲は3曲あります。まずアルバムの最初に登場する「オール・アイ・リメンバー」で、これは映画のために制作された新曲です。しっとりと内省的ながら力強いボーカル・トラックで、映画では最後に使用されているのだそうです。年齢を考えると実に若々しいです。
アルバムの最後には、「ビフォア・アンド・アフター・サイエンス」に収録されていたクラスターとのコラボによる名曲「バイ・ディス・リバー」のライヴ録音が収録されました。2021年にアテネのアクロポリスで行われた、弟ロジャーとのライヴです。これが未発表の2曲目。
もう一曲は、イーノが2021年から始めているラジオ番組で流している音源から抜粋された「ライトハウス#429」です。イーノの活動を俯瞰したドキュメンタリーであれば欠かせないところです。アンビエントとは対極にあるようなサウンドで、とてもかっこいいです。
さて、ゲイリー・ハストウィット監督によるドキュメンタリー映画ですが、監督によれば「ブライアンの50年のキャリアの活動をそのまま素材とした創造性についてのアート映画」で、イーノが大好きな「ジェネラティヴ」な映画になっているそうです。
これはイーノとの数十時間に及ぶインタビュー映像、数百時間に及ぶアーカイヴ映像の中から、その都度プログラムに基づいて新しい組み合わせがジェネレイトされ上映されるというものだそうです。全く同じ組み合わせになる確率はゼロに近い。どんな体験なんでしょうね。
イーノはソロ作「リフレクション」でジェネラティヴなサウンド作品を作っていましたが、それを映像でもやろうということです。しっかりと概念的継続性があってさすがです。しかし、そうなるとこのサントラが映画でどう使われているでしょう?まあ映画と切り離して楽しみましょう。
Eno / Brian Eno (2024 Opal)
Tracks:
01. All I Remember
02. The Secret Place
03. Cmon
04. Ho Renomo
05. Sky Saw
06. Spinning Away
07. Motion In Field
08. There Were Bells
09. Third Uncle
10. Everything That Happens
11. Stiff
12. Emerald & Lime
13. Hardly Me
14. Regiment
15. Fractal Zoom
16. Lighthouse #429
17. By This River (Live at the Acropolis)
Personnel:
Brian Eno
***
Daniel Lanois
Roger Eno
Fred Again...
Cluster
John Cale
Tom Rogerson
David Byrne
Leo Abrahams
Jon Hopkins
Dunya Younes
本作品はイーノを題材にしたドキュメンタリー映画「イーノ」のサウンドトラック・アルバムです。新作というわけではなく、イーノの過去の作品からコレクションされた作品です。シングル・ヒットと無縁な人ですから、「グレイテスト・ヒッツ」などではもちろんありません。
全17曲の中で最も古い音源は1974年に発表されたセカンド・アルバム、「テイキング・タイガー・マウンテン」からの名曲「サード・アンクル」です。最も新しい音源は2023年のフレッド・アゲインとのコラボ作からの「CMON」ですから、ほぼ半世紀のスパンで選曲されています。
さらりと書きましたが、このアルバムにはイーノのソロ作品だけではなく、さまざまなコラボ作品からの音源も収録されています。フレッド・アゲインの他にも、デヴィッド・バーン、ジョン・ケイル、クラスターとの「&」表記のコラボ作から楽曲が選ばれています。
さらに「with」表記のコラボ作品となると、ダニエル・ラノワとロジャー・イーノとの作品「アポロ」や、トム・ロジャーソンとの「ファインディング・ショア」、レオ・アブラハムズとジョン・ホプキンスの「スモール・クラフト・オン・ミルク・シー」からも選曲されています。
未発表曲は3曲あります。まずアルバムの最初に登場する「オール・アイ・リメンバー」で、これは映画のために制作された新曲です。しっとりと内省的ながら力強いボーカル・トラックで、映画では最後に使用されているのだそうです。年齢を考えると実に若々しいです。
アルバムの最後には、「ビフォア・アンド・アフター・サイエンス」に収録されていたクラスターとのコラボによる名曲「バイ・ディス・リバー」のライヴ録音が収録されました。2021年にアテネのアクロポリスで行われた、弟ロジャーとのライヴです。これが未発表の2曲目。
もう一曲は、イーノが2021年から始めているラジオ番組で流している音源から抜粋された「ライトハウス#429」です。イーノの活動を俯瞰したドキュメンタリーであれば欠かせないところです。アンビエントとは対極にあるようなサウンドで、とてもかっこいいです。
さて、ゲイリー・ハストウィット監督によるドキュメンタリー映画ですが、監督によれば「ブライアンの50年のキャリアの活動をそのまま素材とした創造性についてのアート映画」で、イーノが大好きな「ジェネラティヴ」な映画になっているそうです。
これはイーノとの数十時間に及ぶインタビュー映像、数百時間に及ぶアーカイヴ映像の中から、その都度プログラムに基づいて新しい組み合わせがジェネレイトされ上映されるというものだそうです。全く同じ組み合わせになる確率はゼロに近い。どんな体験なんでしょうね。
イーノはソロ作「リフレクション」でジェネラティヴなサウンド作品を作っていましたが、それを映像でもやろうということです。しっかりと概念的継続性があってさすがです。しかし、そうなるとこのサントラが映画でどう使われているでしょう?まあ映画と切り離して楽しみましょう。
Eno / Brian Eno (2024 Opal)
Tracks:
01. All I Remember
02. The Secret Place
03. Cmon
04. Ho Renomo
05. Sky Saw
06. Spinning Away
07. Motion In Field
08. There Were Bells
09. Third Uncle
10. Everything That Happens
11. Stiff
12. Emerald & Lime
13. Hardly Me
14. Regiment
15. Fractal Zoom
16. Lighthouse #429
17. By This River (Live at the Acropolis)
Personnel:
Brian Eno
***
Daniel Lanois
Roger Eno
Fred Again...
Cluster
John Cale
Tom Rogerson
David Byrne
Leo Abrahams
Jon Hopkins
Dunya Younes