オールデイズレコードは2014年に第一弾を発表して以来、さまざまなジャンルの過去の作品を復刻し続ける日本のレーベルです。すでに1000タイトル以上という膨大なタイトルを世に送り出しています。親レーベルはクリンクレコードとなります。

 著作隣接権の保護期間が切れた作品を復刻していると聞くと、本屋や駅のワゴンなどで販売されていた胡散臭いCDを思い浮かべますけれども、オールデイズレコードは日本の法律にしっかりしたがって運営されており、レコード店でも正規販売される会社です。

 本作品はそのオールデイズレコードのカタログの中から「テーマに沿っておすすめのアルバムをピックアップ、さらに珠玉のナンバーを厳選収録した」、「アルバム・ガイドブック・シリーズ第二弾」で、テーマはロック、「ロック編#1」とサブタイトルが付けられたものです。

 20作品から20曲がピックアップされています。ガイドブックらしく、曲の並びはアーティストのアルファベット順です。国籍もさまざまですし、音楽的傾向から括ろうと思えば括れるアーティスト群もいますけれども、ここは事務的に五十音順が採用されていて潔いです。

 スタイルは「紙ジャケサイズのビジュアルブックにCDが付属した冊子形式」で、何とワンコイン価格、500円での提供です。CD付き書籍という扱いなのでしょう。冊子もこれまた潔く、各楽曲を収録するアルバムを並び順に1ページに1枚づつ紹介しています。

 詳細説明にはQRコードからアクセスできるようになっています。注文もできるので一石二鳥ですね。変に熱い解説が掲載されているわけではないところがまたいいです。もうちょっと知りたいと思わせるところで寸止めする。心憎い仕様です。

 さて、収録された曲は、アニマルズの「朝日のあたる家」やホリーズの「バスストップ」、プロコル・ハルムの「青い影」、キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」など、確かに1960年代のロックを代表する名曲が多数収録されています。看板に偽りなしです。

 ここに収録されたバンドは、英国はブリティッシュ・ビート、米国はガレージ・ロックと言われたバンドが中心です。さらに呼応するようにスウェーデンやオランダから登場したバンドも収録されていますし、この時代の空気がよく伝わってきます。

 私は1960年生まれなので、ここに収録された楽曲をリアルタイムで聴いていたわけではありません。ロックに目覚めた頃には、すでに懐かしの名曲として扱われていた曲が大半です。とりわけ、60年代を活動の頂点としていたバンドの楽曲はそう。懐メロです。

 それぞれが個性豊かな楽曲ばかりなのですが、サウンド自体が録音の問題でどれもこれも強烈に60年代を感じさせます。テケテケなるギター、ガレージで叩いているかのようなドラムなどなど。何といってもここが懐かしポイントです。この音が時代の精神なのでしょう。

 ピンク・フロイドまで収録されていますが、「ルシファー・サム」ですから座りがいいです。いずれ劣らぬ名曲群です。著作隣接権が切れたことで、愛にあふれた人々がこうした素敵なガイドブックを編めるようになったのは大変結構なことです。

Oldays Album Guide Book2 : Rock #1 / Various Artists (2022 Oldays)



Tracks & Personnel:
01. The House Of The Rising Sun 朝日のあたる家 (The Animals)
02. Red Chair, Fade Away (Bee Gees)
03. (We Ain't Got) Nothin' Yet (The Blues Magoos)
04. Can't You See That She's Mine (The Dave Clark Five)
05. Bus Stop (The Hollies)
06. You Really Got Me (The Kinks)
07. Stop The Music (Lenne & The Lee Kings)
08. Omaha (Moby Grape)
09. Tobacco Road (The Nashville Teens)
10. Won't You Listen (Outsiders)
11. Lucifer Sam (Pink Floyd)
12. A Whiter Shade Of Pale 青い影 (Procol Harum)
13. Sweets For My Sweet (The Searchers)
14. Witch (The Sonics)
15. Roller Coaster (The Thirteenth Floor Elevators)
16. Telstar (The Tornados)
17. The Sun Ain't Gonna Shine Anymore (The Walker Brothers)
18. The Kids Are Alright (The Who)
19. Heart Full Of Soul (The Yardbirds)
20. She's Not There (The Zombies)