「永遠の詩」はサウンドトラックです。レッド・ツェッペリンのライヴを映画化した作品「永遠の詩」のサウンドトラックとして発表された作品です。収録されているのは、1973年7月27日から29日にかけてニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行われたライヴです。

 「永遠の詩」は曲名をそのまま映画のタイトルにしたものですが、邦題はそれでは手ぬるいとばかりに「狂熱のライヴ」と副題をつけ、さらに2007年に再発された時に再編集されて収録曲も大幅に増えたことから「最強盤」が追加されました。

 凄い力の入りようです。確かにツェッペリンのライヴの凄さは定評がありました。3時間から4時間にも及ぶど迫力のブリティッシュ・ハード・ロックの嵐。この凄まじいライヴでツェッペリンはスーパースターとなったわけですから、まさに伝説のライヴです。

 日本には世界に誇るツェッペリン完コピ・バンド「シナモン」がいます。彼らは、この映画を見倒してコピーを始めたそうです。彼らの完コピぶりは凄まじく、ツェッペリンの特定の日のライヴをコピーするので、ジミー・ペイジ・リーダーのミスタッチまで再現するそうです。凄い。

 私はこの映画を一応見るには見たのですが、結論から言うと、音だけの方が好きです。レッド・ツェッペリンの音楽は凄いと思ってはいるのですが、ツェッペリン命とまで入れ込んだことがあるわけではない身にとって、この映画はちょっと辛い。

 というのも、この映画にはライヴ・シーンだけではなくて、メンバーそれぞれの幻想シーンが入っているのです。好きな人は好きなんでしょうが、思い入れがないとなかなか辛いものがあります。それでも彼らのライヴが見られるとあって、人気は高いですけれども。

 このライヴ盤は映画の音源そのままというわけではないようですし、スタジオで加工されたりしていますから、あまり映画と結び付けて考えなくても、十分に楽しめる作品となっています。2007年の再発時に大幅に曲が追加されて、よりライヴに近くなっています。

 時は1973年ですから、「聖なる館」発表の頃。曲は当然それ以前の曲ばかりです。一番目立つのはレコードではB面全部をしめていた「幻惑されて」でしょう。30分近い長さで、目まぐるしい展開を見せます。途中でロバート・プラントが「花のサンフランシスコ」を歌いもします。

 確かにすさまじいライヴで、冒頭の「ロックン・ロール」から最後の「胸いっぱいの愛を」まで130分以上に及ぶ収録時間はあっと言う間に過ぎていきます。凄いですね。やはりとりわけ凄いのはボンゾのドラムです。ライヴとなって、さらに自由闊達に叩きまくっています。

 10分以上に及ぶ「モビー・ディック」でのドラム・ソロは圧巻です。ドラム・ソロでこれだけ聴かせるロック・ドラマーがかつていただろうか、いやいない。思わず反語を使ってしまいたくなります。実際、会場で体験したらその迫力におしっこを漏らしそうな気がします。

 後に「BBCライヴ」、さらには「伝説のライヴ」が発表されるまで、公式なライヴ盤としてはこの作品が唯一でした。スタジオでの完璧な音づくりもいいですが、たった4人でここまで迫力のある演奏を繰り広げるのですから、もっともっとライヴ盤を発表して欲しかったところです。

The Song Remains The Same / Led Zeppelin (1976 Swan Song)

*2014年4月26日の記事を書き直しました。



Personnel:
(disc one)
01. Rock And Roll
02. Celebration Day 祭典の日
03. Black Dog
04. Over The Hills And Far Away 丘のむこうに
05. Misty Mountain Hop
06. Since I've Been Loving You 貴方を愛しつづけて
07. No Quarter
08. The Song Remains The Same 永遠の詩
09. Rain Song
10. The Ocean
(disc two)
01. Dazed And Confused 眩惑されて
02. Stairway To Heaven 天国への階段
03. Moby Dick
04. Heartbreaker
05. Whole Lotta Love 胸いっぱいの愛を

Personnel:
John Bonham : drums, percussion
Robert Plant : vocal
Jimmy Page : guitar, theremin
John Paul Jones : bass, Fender Rhodes, Mellotron