「孤独な影」、「錻力の太鼓」と傑作を発表し、冷たかった英国でもようやくジャパンの魅力が発見されました。しかし、成功が現実のものとなるにつれて、デヴィッド・シルヴィアンはバンドの継続に意欲を失ってしまいます。もはや解散は避けられない状況です。
ようやく成功を掴んでさあこれからという時期です。マネジメント・サイドは気が気じゃなかったことでしょう、何とか解散を思いとどまらせるべく、ツアーを企画します。もう一度みんなで演奏すれば元の鞘に収まるのではないかと期待があったようです。
しかし、覆水盆に返らず、結局、このツアーが解散ツアーということになってしまいました。期待通りの素晴らしい演奏を見せたツアーはこうしてライブ・アルバムに記録され、大ヒットとなりましたから、マネジメント陣もちょっとだけ意地を見せたわけです。
この時期、ジャパンの面々はYMO周辺の日本のミュージシャンと関係が深くなっており、解散ツアーには一風堂の土屋昌巳がギターで参加しています。音楽面はもちろんのこと、土屋ももともと化粧をしていましたから、そんな面でもジャパンと相性が大変良いと思います。
当時のジャパンにはさほどギターの活躍する場面はないように思いますが、ライブの映像をみると、土屋はギターにコーラスにキーボードにと大活躍しています。そして、演奏の途中で一人だけ静止してしまう不思議なパフォーマンスも面白いです。
パフォーマンスと言えば、ベースのミック・カーンです。膝から下だけを動かしてステージを動き回るという蟹歩きパフォーマンス。やる気なさそうにキーボードを操るリチャード・バルビエリとは好対照です。各自がバラバラなところがジャパンらしい。
サウンドは素晴らしいです。ライブ・アルバムではありますけれども、ジャケットには表裏一切、ライブだとは書いてありません。録音場所も書いていない。ごくごく控えめに収録されている拍手の音が唯一ライブらしいことを伝えるのみです。
ジャパンらしい美意識に貫かれたアルバムです。本作のためにスタジオ録音された短いインストゥルメンタル曲が3曲、最初と最後、中間部に配置されています。実際のライブでもテープが流れていますが、レコード化も当初から意識されていた模様です。
曲は、「孤独の影」と「錻力の太鼓」からの曲ばかりで、アリオラ・ハンザ時代の曲は「クワイエット・ライフ」一曲のみ。いずれもスタジオ盤よりもパワー・アップしており、ジャパンの演奏力の高さを証明しています。プロデューサーに戻ってきたジョン・パンターの貢献も大きい。
特に「錻力の太鼓」ではやや軽めのドラム・サウンドでしたから、ここでのスティーヴ・ジャンセンのド迫力のドラムが嬉しいです。本作品は後にかなりスタジオで手を入れていることが判明しますけれども、要であるスティーヴのドラムはほぼライブそのままだとか。凄いドラム。
本作品は二枚組ながら、チャート的には最も成功したアルバムになりました。全英5位、ゴールド・ディスクとなっています。これを機に過去作やデビッド・シルヴィアンのソロ・アルバムなどが売れて、英国はちょっとしたジャパン・ブームになりました。文句ない傑作です。
Oil On Canvas / Japan (1983 Virgin)
*2011年12月15日の記事を書き直しました。
Tracks:
01. Oil On Canvas
02. Sons Of Pioneers
03. Gentlemen Take Polaroids 孤独な影
04. Swing
05. Cantonese Boy
06. Visions Of China
07. Ghosts
08. Voices Raised In Welcome, Hands Held In Prayer 歓迎の叫び、祈りの手
09. Nightporter
10. Still Life In Mobile Homes
11. Methods Of Dance
12. Quiet Life
13. The Art Of Parties
14. Canton
15. Temple Of Dawn
Personnel:
David Sylvian : vocal, keyboards
Mick Karn : bass, clarinet, sax
Steve Jansen : drums, marimba
Richard Barbieri : keyboards
***
Masami Tsuchiya : guitar, keyboards
ようやく成功を掴んでさあこれからという時期です。マネジメント・サイドは気が気じゃなかったことでしょう、何とか解散を思いとどまらせるべく、ツアーを企画します。もう一度みんなで演奏すれば元の鞘に収まるのではないかと期待があったようです。
しかし、覆水盆に返らず、結局、このツアーが解散ツアーということになってしまいました。期待通りの素晴らしい演奏を見せたツアーはこうしてライブ・アルバムに記録され、大ヒットとなりましたから、マネジメント陣もちょっとだけ意地を見せたわけです。
この時期、ジャパンの面々はYMO周辺の日本のミュージシャンと関係が深くなっており、解散ツアーには一風堂の土屋昌巳がギターで参加しています。音楽面はもちろんのこと、土屋ももともと化粧をしていましたから、そんな面でもジャパンと相性が大変良いと思います。
当時のジャパンにはさほどギターの活躍する場面はないように思いますが、ライブの映像をみると、土屋はギターにコーラスにキーボードにと大活躍しています。そして、演奏の途中で一人だけ静止してしまう不思議なパフォーマンスも面白いです。
パフォーマンスと言えば、ベースのミック・カーンです。膝から下だけを動かしてステージを動き回るという蟹歩きパフォーマンス。やる気なさそうにキーボードを操るリチャード・バルビエリとは好対照です。各自がバラバラなところがジャパンらしい。
サウンドは素晴らしいです。ライブ・アルバムではありますけれども、ジャケットには表裏一切、ライブだとは書いてありません。録音場所も書いていない。ごくごく控えめに収録されている拍手の音が唯一ライブらしいことを伝えるのみです。
ジャパンらしい美意識に貫かれたアルバムです。本作のためにスタジオ録音された短いインストゥルメンタル曲が3曲、最初と最後、中間部に配置されています。実際のライブでもテープが流れていますが、レコード化も当初から意識されていた模様です。
曲は、「孤独の影」と「錻力の太鼓」からの曲ばかりで、アリオラ・ハンザ時代の曲は「クワイエット・ライフ」一曲のみ。いずれもスタジオ盤よりもパワー・アップしており、ジャパンの演奏力の高さを証明しています。プロデューサーに戻ってきたジョン・パンターの貢献も大きい。
特に「錻力の太鼓」ではやや軽めのドラム・サウンドでしたから、ここでのスティーヴ・ジャンセンのド迫力のドラムが嬉しいです。本作品は後にかなりスタジオで手を入れていることが判明しますけれども、要であるスティーヴのドラムはほぼライブそのままだとか。凄いドラム。
本作品は二枚組ながら、チャート的には最も成功したアルバムになりました。全英5位、ゴールド・ディスクとなっています。これを機に過去作やデビッド・シルヴィアンのソロ・アルバムなどが売れて、英国はちょっとしたジャパン・ブームになりました。文句ない傑作です。
Oil On Canvas / Japan (1983 Virgin)
*2011年12月15日の記事を書き直しました。
Tracks:
01. Oil On Canvas
02. Sons Of Pioneers
03. Gentlemen Take Polaroids 孤独な影
04. Swing
05. Cantonese Boy
06. Visions Of China
07. Ghosts
08. Voices Raised In Welcome, Hands Held In Prayer 歓迎の叫び、祈りの手
09. Nightporter
10. Still Life In Mobile Homes
11. Methods Of Dance
12. Quiet Life
13. The Art Of Parties
14. Canton
15. Temple Of Dawn
Personnel:
David Sylvian : vocal, keyboards
Mick Karn : bass, clarinet, sax
Steve Jansen : drums, marimba
Richard Barbieri : keyboards
***
Masami Tsuchiya : guitar, keyboards
