川瀬智子によるトミー・プロジェクトのダークサイドの方、トミー・ヘヴンリー6のベスト盤はフェブラリーのベスト盤と同時に発表され、両者のキャラクターの違いを際立たせました。どちらも豪華な仕様で発売されましたから、ついつい買ってしまいました。

 とはいえ私が入手したのはさすがに完全生産限定盤ではありません。そちらにはアルバムのテーマにふさわしいトミー・デザインの文房具などが付けられており、瞬く間に完売してしまったのでした。収まるべきところに収まったということで大変結構です。

 手元にあるのは通常盤で、ブルー・スペックではなく通常のCDとMVを全て収録したDVDがカップリングされているものです。これだけでも大そう豪華ですし、64ページにも及ぶフォト・ブックというかスタイル・ブックが添付されていて特別感を演出しています。

 アルバムはゴシック・メルティング・アイスクリーム・ダークネス学園のナイトメア・クラスに通うトミー・ヘヴンリー6の作品ということになっています。卒業制作なのか何なのか、確かにMVを見ながら作品を聴いていると学校制作っぽい感じが少しして楽しいです。

 トミー・ヘヴンリー6のデビュー・アルバムは2005年8月の発表です。このベスト盤は2009年2月、その間にセカンド・アルバムが発表されていますが、結局この時点ではアルバムは2枚のみです。また、この間のアルバム未収録曲は数えるほどしかありません。

 このベスト盤はデビュー作から9曲、セカンドから7曲、初収録が2曲、ボーナスで新曲が1曲という構成です。逆に以前のアルバムから本作に収録されていないのは7曲のみです。本作の直後にサード・アルバムが出ることを考えると面白い構成です。

 まず本作品の完全生産限定盤にはブルー・スペックCDが採用されています。当時の最新鋭CD規格で圧倒的に音が良いと言われていました。さらにCD収録曲はすべてリマスターが施されています。わずか数年前の音源であるにもかかわらずです。

 本作品のプロデューサーは8人もの名前がクレジットされていますが、ようやくこのベスト盤でそのすべてがブリリアント・グリーンの奥田俊作の変名であることが公式に表明されました。ジェームズ・ホワイトにはちょっと期待したのですが、まあそうですよね。

 ヘヴンリーのキャラ設定はフェブラリーのダークサイドということになっており、サウンドはロリポップ・キャンディではなくて、ゴシック・ダークネス、すなわちバンド・サウンドです。オルタナからパンク、ゴシック・メタルまでギターが活躍するロック・サウンドが持ち味です。

 フェブラリーの陰に隠れていたヘヴンリーですが、結局、そちらの方も面白くなったのではないでしょうか。ライバルはオアシス、なんて。仕切り直して本格的にスタートするために過去作品をリマスターして再構成することにした、そんな感じがします。

 いずれにせよ、センスの光るMVをまとめて見ることができるベスト盤は重宝します。「アイム・ゴナ・スクリーム」や「ヘヴィー・スターリー・チェイン」など名曲が並ぶ中、やはり私は「プレイ」です。もう私はこの曲が好きで好きで。やっぱり私はこのプロジェクトが大好きです。

Gothic Melting Ice Cream's Darkness Nightmare / Tommy Heavenly 6 (2009 DefSTAR)