「L」というのも不思議なタイトルです。これは路上教習中を示すために車につけるサインのつもりではないかと言われています。何とも人を食ったタイトルです。スティーヴ・ヒレッジはもちろん新人ではありません。カーン、ゴングを経験した立派なミュージシャンです。
スティーヴ・ヒレッジのセカンド・アルバムです。デビュー・ソロ・アルバムはまだスティーヴがカンタベリー・シーンの重要バンド、ゴングに在籍していた頃に制作されていますから、全く一人になってから制作したソロ・アルバムはこれが最初です。
セルフ・プロデュースだった前作に対し、今回はトッド・ラングレンをプロデューサーに迎え、渡米して本作を制作しました。トッドのプロデュース手法を大いに学んだということですから、「L」のタイトルも伊達ではありません。
スティーヴはトッド・ラングレンズ・ユートピアのファーストを気に入っていて、コンサートを見に行っていたそうで、レコード会社経由でプロデュース話が実現することになりました。このアルバムの音を聴けば誰もが納得する経緯であろうと思います。
スティーヴはガールフレンドのミケット・ジローディと共に、ニューヨーク郊外のウッドストックにあるトッドのスタジオを訪ね、そこでアルバムが制作されました。バックを固めるミュージシャンはユートピアの三人です。そこまでやるかという気持ちの良いトッドおまかせっぷりです。
素敵なハプニングとしては、面白そうなことをやっていると聞いて電話をしてきたご近所さんのカーラ・ブレイがスタジオに遊びに来た際に、ドン・チェリーを連れてきたそうで、チェリーはそのままレコーディング・セッションに加わるということがありました。
アルバムのタイトルは「ハーディ・ガーディ・マン」です。同名の曲が収録されていますが、これは1968年にドノヴァンが歌って大ヒットした曲です。スティーヴはこの曲を大そう気に入っていて、ゴング時代にもレパートリーに入れていたそうです。
古楽器ハーディ・ガーディを実際に使っていて、カンタベリー・シーンらしい、ちょっとトラッドっぽい雰囲気もある中世ヨーロッパ・チューンです。スティーヴの甘えたようなボーカルも素敵で、彼の代表曲とも言えます。タイトル曲がカバーというのも珍しいかもしれません。
この他に、ビートルズの「イエロー・サブマリン」収録のジョージ・ハリソン作「イッツ・オール・トゥー・マッチ」、インド音楽のレコードから「オム・ナム・シヴァーヤ」と2曲のカバー曲があります。後者ではドン・チェリーがタンブーラを演奏しています。多才な人です。
オリジナル曲も3曲。このなかでは何といっても「ルナー・ミュージック組曲」が圧巻です。スティーヴ・ヒレッジと言えばコズミック・ギター、宇宙を感じるギターです。そのギター・プレイを堪能できます。それにドン・チェリーのペットが炸裂するわけですから良くないわけがない。
カンタベリー周辺のサイケなプログレがトッドとユートピアの色に染められて、ほとんど両者が区別できないことになっています。なんと相性が良いことでしょう。そこに、ドン・チェリーの位相が極めて面白いアクセントになり、忘れられない作品になりました。
L / Steve Hillage (1976 Virgin)
スティーヴ・ヒレッジのセカンド・アルバムです。デビュー・ソロ・アルバムはまだスティーヴがカンタベリー・シーンの重要バンド、ゴングに在籍していた頃に制作されていますから、全く一人になってから制作したソロ・アルバムはこれが最初です。
セルフ・プロデュースだった前作に対し、今回はトッド・ラングレンをプロデューサーに迎え、渡米して本作を制作しました。トッドのプロデュース手法を大いに学んだということですから、「L」のタイトルも伊達ではありません。
スティーヴはトッド・ラングレンズ・ユートピアのファーストを気に入っていて、コンサートを見に行っていたそうで、レコード会社経由でプロデュース話が実現することになりました。このアルバムの音を聴けば誰もが納得する経緯であろうと思います。
スティーヴはガールフレンドのミケット・ジローディと共に、ニューヨーク郊外のウッドストックにあるトッドのスタジオを訪ね、そこでアルバムが制作されました。バックを固めるミュージシャンはユートピアの三人です。そこまでやるかという気持ちの良いトッドおまかせっぷりです。
素敵なハプニングとしては、面白そうなことをやっていると聞いて電話をしてきたご近所さんのカーラ・ブレイがスタジオに遊びに来た際に、ドン・チェリーを連れてきたそうで、チェリーはそのままレコーディング・セッションに加わるということがありました。
アルバムのタイトルは「ハーディ・ガーディ・マン」です。同名の曲が収録されていますが、これは1968年にドノヴァンが歌って大ヒットした曲です。スティーヴはこの曲を大そう気に入っていて、ゴング時代にもレパートリーに入れていたそうです。
古楽器ハーディ・ガーディを実際に使っていて、カンタベリー・シーンらしい、ちょっとトラッドっぽい雰囲気もある中世ヨーロッパ・チューンです。スティーヴの甘えたようなボーカルも素敵で、彼の代表曲とも言えます。タイトル曲がカバーというのも珍しいかもしれません。
この他に、ビートルズの「イエロー・サブマリン」収録のジョージ・ハリソン作「イッツ・オール・トゥー・マッチ」、インド音楽のレコードから「オム・ナム・シヴァーヤ」と2曲のカバー曲があります。後者ではドン・チェリーがタンブーラを演奏しています。多才な人です。
オリジナル曲も3曲。このなかでは何といっても「ルナー・ミュージック組曲」が圧巻です。スティーヴ・ヒレッジと言えばコズミック・ギター、宇宙を感じるギターです。そのギター・プレイを堪能できます。それにドン・チェリーのペットが炸裂するわけですから良くないわけがない。
カンタベリー周辺のサイケなプログレがトッドとユートピアの色に染められて、ほとんど両者が区別できないことになっています。なんと相性が良いことでしょう。そこに、ドン・チェリーの位相が極めて面白いアクセントになり、忘れられない作品になりました。
L / Steve Hillage (1976 Virgin)