ジャケットはプログレ初期に数々の傑作を生みだしたキーフの手になるものです。第一次世界大戦の頃を思わせる色調で、兵士と馬がひと時休息している姿を描いて秀逸です。キーフの写真加工のセンスは素晴らしいです。
左上隅にはヴァーティゴ・レーベルの渦巻き模様が見えています。ヴァーティゴはオランダの大手電機メーカー、フィリップスの子会社フォノグラムが1969年に設立したレーベルです。当時勃興しつつあった新しい動きをマイナー・レーベル的に押さえようとした試みでした。
ウォーホースはそんなレーベル側の思惑に完全に一致する存在でした。過不足なく当時のロック・シーンを代表しています。ハード・ロックとプログレッシブ・ロックの境目がまだなかった頃合いのブリティッシュ・ロック・シーンを見事に体現しているんです。
中心となったのはアメリカ人歌手マーシャ・ハントのバック・バンドです。マーシャがミック・ジャガーとの子どもを妊娠して活動を休止してしまったことから、バック・バンドの面々は新しくバンドを結成して自立した活動をすることにしました。
そのリーダーだったのは第一期ディープ・パープルのベーシストだったニック・シンパーでした。ギターのゲド・ペック、ドラムのマック・プールを加えた三人は、まずニックの友人のアシュリー・ホルトをボーカルに迎え、キーボーディストを加えた5人組ウォーホースが誕生します。
当初のキーボードは何とあのリック・ウェイクマンでしたが、リハーサルをしょっちゅうすっぽかすという理由でくびになり、ランブルというバンドにいたフランク・ウィルソンが加入して、デビュー・アルバムのラインナップが揃いました。
このラインナップで作成したデモ音源はさっそくデッカとフォノグラムの耳に止まり、結局バンドはフォノグラム傘下のヴァーティゴからアルバムを発表することになりました。至極順調な道行です。ただし、低予算で短期間という制約付きでした。まあしょうがないですね。
セルフ・タイトルのデビュー作は、1500ポンドの予算でわずか5日間で制作されました。しかし、満を持して挑んだデビュー作ですから、これで十分だったのでしょう。アルバムはそれなりに売れました。特にヨーロッパの大陸側での反応が良かったようです。
彼らのサウンドは同じレーベルのブラック・サバスと比較されました。これはバンドにとっては驚きでした。なぜなら彼らはサバスを聴いたことがなかったからです。これは時代のなせる業でしょう。当時の音楽シーンの息吹きを存分に吸い込むと似てくるのはやむを得ません。
ウォーホースはハモンド・オルガンが特徴的ですが、基本的にはメタルに突き進む前のサバスと同じく、プログレからハード・ロックが切り出される前の混沌としたサウンドを体現しています。個性が強すぎない分、余計に時代のサウンドになっています。
残念なことに、マネジメントはしっかりしておらず、この作品はアメリカでは発売されることもありませんでしたし、プロモーションも今一つでした。彼らにとっては不運です。結果として、2枚のアルバムを残して解散してしまいます。その点でも時代密着型です。
Warhorse / Warhorse (1970 Vertigo)
左上隅にはヴァーティゴ・レーベルの渦巻き模様が見えています。ヴァーティゴはオランダの大手電機メーカー、フィリップスの子会社フォノグラムが1969年に設立したレーベルです。当時勃興しつつあった新しい動きをマイナー・レーベル的に押さえようとした試みでした。
ウォーホースはそんなレーベル側の思惑に完全に一致する存在でした。過不足なく当時のロック・シーンを代表しています。ハード・ロックとプログレッシブ・ロックの境目がまだなかった頃合いのブリティッシュ・ロック・シーンを見事に体現しているんです。
中心となったのはアメリカ人歌手マーシャ・ハントのバック・バンドです。マーシャがミック・ジャガーとの子どもを妊娠して活動を休止してしまったことから、バック・バンドの面々は新しくバンドを結成して自立した活動をすることにしました。
そのリーダーだったのは第一期ディープ・パープルのベーシストだったニック・シンパーでした。ギターのゲド・ペック、ドラムのマック・プールを加えた三人は、まずニックの友人のアシュリー・ホルトをボーカルに迎え、キーボーディストを加えた5人組ウォーホースが誕生します。
当初のキーボードは何とあのリック・ウェイクマンでしたが、リハーサルをしょっちゅうすっぽかすという理由でくびになり、ランブルというバンドにいたフランク・ウィルソンが加入して、デビュー・アルバムのラインナップが揃いました。
このラインナップで作成したデモ音源はさっそくデッカとフォノグラムの耳に止まり、結局バンドはフォノグラム傘下のヴァーティゴからアルバムを発表することになりました。至極順調な道行です。ただし、低予算で短期間という制約付きでした。まあしょうがないですね。
セルフ・タイトルのデビュー作は、1500ポンドの予算でわずか5日間で制作されました。しかし、満を持して挑んだデビュー作ですから、これで十分だったのでしょう。アルバムはそれなりに売れました。特にヨーロッパの大陸側での反応が良かったようです。
彼らのサウンドは同じレーベルのブラック・サバスと比較されました。これはバンドにとっては驚きでした。なぜなら彼らはサバスを聴いたことがなかったからです。これは時代のなせる業でしょう。当時の音楽シーンの息吹きを存分に吸い込むと似てくるのはやむを得ません。
ウォーホースはハモンド・オルガンが特徴的ですが、基本的にはメタルに突き進む前のサバスと同じく、プログレからハード・ロックが切り出される前の混沌としたサウンドを体現しています。個性が強すぎない分、余計に時代のサウンドになっています。
残念なことに、マネジメントはしっかりしておらず、この作品はアメリカでは発売されることもありませんでしたし、プロモーションも今一つでした。彼らにとっては不運です。結果として、2枚のアルバムを残して解散してしまいます。その点でも時代密着型です。
Warhorse / Warhorse (1970 Vertigo)