Pファンクは1976年にマザーシップ・コネクション・ツアーを行って大成功を収めた後、間髪を入れず、1977年にアース・ツアーを敢行します。マザーシップ・ツアーを踏襲して、巨大な宇宙船が降臨するというド派手なショーです。

 このツアーの模様を収めた歴史的なライブ盤がこの作品です。Pファンク初のライヴにして2枚組、しばしば彼らの最高傑作とも言われる凄いアルバムです。スタジオ作品により黒さを練り込んだようなねとねとのファンクが繰り広げられています。

 一度テレビで映像を見ましたが、キンキラキンのそれはそれはぐちゃぐちゃで派手なステージでした。宇宙船が降臨して中からドクター・ファンケンシュタインに扮したジョージ・クリントンが登場するところなど鳥肌ものです。

 ツアーは1977年1月に始まっています。そしてこの作品はその1月19日と22日、会場はロスアンゼルスとオークランドですから、ツアーも初期の初期。しかも発売は4月、まだツアーを行っていた時です。これは観客への良いお土産になります。

 アルバムは2回のショーから編集されているので、必ずしもツアーの曲順になっているわけではありません。さらに3曲もスタジオ録音作品が含まれています。一曲はPファンクのコマーシャルのような「ランディング」です。何でここでと思うような場所にあります。

 あと2曲は、2枚目の冒頭「ウィ・ファンク・ウィズ・ユー」と最後の「ファンタジー・イズ・リアリティー」です。最後の曲は♪幻想こそ現実。おじいちゃんが言ってた♪と歌います。Pファンクの世界こそ現実なんだと、とても哲学的にアルバムを締めているんです。

 しかし、全体を聴き終えるとスタジオ録音曲があったことを忘れてしまうほどライヴの熱気が凄いです。ジョージの語りで始まる1曲目に続く2曲目「ドクター・ファンケンシュタイン」から観客の大合唱が始まっています。凄い熱気です。

 そして「マザーシップ・コネクション」から「スウィング・ダウン・スウィート・チャリオット」に至る中盤はグレン・ゴインズの熱狂的な呼びかけに応じて、いよいよ宇宙船マザーシップが轟音とともにステージに着陸し、観客の熱狂は最高潮に達します。

 ここで2枚目に移り、スタジオ録音曲を挟んで宇宙船から出てきたドクター・ファンケンシュタインが説教を垂れ、またまた観客が大合唱で応えます。そこからは針は振り切れ、最後に「ファンキー・オールナイト」でマザーシップが見送られていきます。

 Pファンクになくてはならないブーツィー・コリンズとエディー・ヘイゼルはクレジットはあるもののステージにはいません。スタジオ作とオーバーダブで参加しているのみのようです。ということはオーバーダブがあるわけですが、そんなことは全く気になりませんでした。

 とにかく夢のような異世界が繰り広げられています。会場に自分がいないことだけが残念です。確かにこちらが現実なのでしょう。人間社会自体も虚構の上に成り立っていることは事実。それでも現実だというなら、幻想が現実であってもちっともおかしくありません。

Parliament Live P.Funk Earth Tour / Parliament (1977 Casablanca)

マザーシップ・ツアーですが。